
訳 者:藤本和子
発行年月:1989年01月
サ イ ズ:456P 16cm
販売価格:714円
取扱状況:絶版重版未定
戦時中ドイツで行方不明になった富豪の息子を捜し出せ―
金儲けのために手を組んだ元OSS大尉ジャクソンと小人の悪党プルスカーリュ。
しかし二人の追うその息子とは、米英ソ三国がそれぞれの思惑で
必死に捜索中の凄腕の暗殺者だった。
第二次大戦直後の混乱のドイツに展開する追跡劇―
クライム・ノヴェルの最高峰が贈る傑作長篇。
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テーマ読み第二弾は『8』です。
初めての作家さんです。
舞台は第二次世界大戦直後のヨーロッパ。
戦時中、OSS(戦略事務局)で働いていたマイナー・ジャクソンは
金儲けを持ちかけてきた奇妙な小人プルスカーリュの話に乗り
ある裕福なユダヤ人の男の父と姉に頼まれて
その男:クルト・オッペンハイマーを探すことになった。
ナチス支配下にあったユダヤ人の悲劇は誰もが知っての通り。
そしてクルト・オッペンハイマーは、戦時中に凄腕の暗殺者として有名で
戦後になって、またしても暗殺を始めた。
しかしそれは、ナチとしての経歴を隠し、平穏に暮らしている者たちを
リスト順に殺していくという報復殺人のようなものだった。
戦後の混乱に乗じて彼を暗殺しようとしてる国と、自分たちの手駒として
使いたい国が彼を狙い、情報部やら諜報部員を送り込んでいた。
マイナー・ジャクソンは、小人と組んでいるとは言っても、
全く信用していない。だって嘘吐きの裏切り者だから・・・
果たしてクルトを先に見つけるのは誰だ?
これはミステリなのか?
クライムノベルって書いてあったけど、ミステリなの?
( ̄ヘ ̄;)ウーン まぁ~いいんだけど(^◇^;)
確かに戦後の混乱期だから、そこかしこで金やら食料を求めて
犯罪が横行している。
そんな中での殺人者探し。
色んな国があの手この手で情報を得ようとするのだが、こいつらも
キツネやタヌキなもんだから、駒を動かしてるようでいて
実は動かされていたり・・・
クルトだって凄腕の暗殺者だから、そう簡単に見つかるはずもなく
戦中戦後にはよくあったように、身分を買って他人になりすます。
おかげで後になってから、一緒に酒を飲んでいたのがクルトだと知り
地団駄を踏んだりすることになる。
登場人物が横文字で、階級持ちがやたらと出てきて
しかも目線がコロコロ変わるから
誰が誰だからわからなくなったり(^◇^;)
殺人だって、サラっとサクっとやっちゃうもんだから
残酷だという感じが全然しない
まぁ~報復というか復讐みたいな殺人だし
率先してユダヤ人虐殺に手を貸しておきながら
他人になりすまして穏やかに暮らしてる奴らを
殺しちゃうから、そこに感情がわかない。
いわゆる、当然だとさえ思ってしまう(^◇^;)
で、色んな国の色んな人の色んな思惑が絡み合いながらも
確実にクルトに近づいていく。
タイトルの意味は途中でわかるんだけど
思わず「そこですか?」って感じ(^◇^;)
最後の方では( ° ▽ ° ;) エッ?ってことになるけど
やっぱり小人はただ者ではない。
終わり方も何となくいいんだなぁ~
こういうのも嫌いではないですね。
進んで読もうとは思わないけど、貧しいのに
どこかギラギラしたものを持っていて
疲れきっているようにみえて、実は熱かったり・・・
雰囲気とキャラ同士の会話は楽しめました。
テーマ読みまとめ

素材屋さんは→ Silverry moon