
訳者:大瀧啓裕
発行年月: 2011年05月
サ イ ズ: 446P
邪神シァトッグアが地底に潜み、魔物が跋扈する超古代大陸ヒュペルボレオス。
栄華を誇る首都コムモリオムが放棄されるまでの
奇怪な顛末を描く「アタムマウスの遺書」、
異端の魔術師エイボンと宿敵の対決が思わぬ結末を迎える「土星への扉」
他、アトランティス最後の島ポセイドニスの逸話も併載する。
『ゾティーク幻妖怪異譚』に続き、美と頽廃の詩人による
23の綺想を収める傑作集。
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mirokuさんに頂いた本です。
初めての作家さんです。
どうやらこれ、前作があるようですねぇ~
これだけでも十分に楽しめるんだけど
これを読んだら前作も気になるところです。
ヒュペルボレオスとは、クトゥルフ神話に登場する架空の地で
グリーンランド近辺にあったとされる大陸だそうです。
更にコムモリオムとか他にも出てくる首都やら山なんかも
同じ関連のようですね。
クトゥルフ神話を読んでいる人は、楽しみが倍増したのでしょう。
mokkoはクトゥルフも読んでいないので、ちょっと悔しい!
それでも十分に楽しませていただきました(o^o^o)
本作では、ヒュペルボレオス編、アトランティス編
そして、他を舞台とした幻夢郷綺譚からなっているのですが
幻想ホラー短篇集だからね、首都の放棄とか国の滅亡とか
救いようのない絶望的な話がメインなんだけど
そこに登場する人間というのは、魔術が存在しようがしまいが
金や権力が大好きで卑屈なところなんて
今と全く変わってなくって、そういう奴が自業自得で罰せられる。
こういうのがいいなぁ~(^◇^;)
楽しい話ではないんだけど、古代史とか好きな人なら
ワクワクするのは間違いないと思うのですよ。
元の作品世界を知らないから、想像したもん勝ちって感じで
栄華を誇っていた時代や、未来から見た太古の昔とか
気付いたら知らない世界に足を踏み入れていたとか
そういうのを読んでいると、バミューダトライアングルとか
日本でいうところの神隠しとかを連想してしまいます。
面白い作品ばかりだったんだけど、中でもお気に入りは
「マリュグリスの死」です。鎖蛇がいい!
そしてアトランティス最後の人間がどうなったかが記された
「スファノモエーへの旅」も予想外の結末で、
これがまた何とも美しいのですよ。
そして最後の「柳のある山水画」も実に印象的。
やっとまともな人間が出てきた(^◇^;)
貧しい生活の中で、弟の為に家宝を切り売りし
昔から愛してきた山水画さえも手放すことになるんだけど
弟に対する責任と思いと、作品に対する愛情が伝わってきて
この結末も想像は出来るものの、大満足の状態で読み終わりました。
久しぶりの神話?だったけど、いやぁ~いいものを読みましたぁ~