
サイズ:270P 16cm
夭逝した明治の日本画家・河野珠枝の「朱鷺飛来図」。
死の直前に描かれたこの幻想画の、妖しい魅力に魅せられた
女性イラストレーターとバイオレンス作家の男女コンビ。
画に隠された謎を探りだそうと珠枝の足跡を追って
佐渡から奥多摩へ。
そして、ふたりが山中で遭遇したのは時空を超えた
異形の恐怖世界だった。
異色のホラー長編小説。
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猫→鼠ときましてテーマ読み第3弾は鳥です。
初めての作家さん。
なんか犬や猫は、そのままでもいいんだけど
鳥に関しては種類があった方がいいような気がする。
スズメとか白鳥とか・・・
まぁ~別にいいんだけど・・・(-。-;)
バイオレンス作家の美鈴慶一郎に日本画家・河野珠枝を題材にした
小説を書くのでカバー絵を描いて欲しいと依頼を受けた谷口葉子。
明治30年代、亡くなる直前に描かれたという「朱鷺飛来図」を
雰囲気を生かしたままイラストレーションして欲しいらしい。
おりしも珠枝の生涯が映画化された。
その奔放な生き様と、芸術家達との数々のロマンス。
顔を傷付けられ片目になり、27歳という若さでの凄惨な死。
そして映画監督が不審死したことでも注目されていた。
珠枝のある程度のことはわかっているつもりだったが
依頼を受けるからにはと、絵画展のカタログで絵を確認したところ、
数羽の朱鷺と牡丹の幻想的な絵ではあるのに、その印象が
何故か恐ろしく首を傾げてしまう。
「朱鷺飛来図」を見て葉子と同じ印象を受けた美鈴。
二人は原画を見るために、展示されている美術館に向かうが
パンフレットの絵とカタログの絵が違っていた。
「朱鷺飛来図」は1枚だけではなかったのだ。
ほとんどの絵は珠枝の祖父母により、他人の手に渡っていたが
1枚の行方を突き止め行ってみた所、絵は焼かれた後だった。
珠枝の実家の新潟を訪れた二人は、偶然にも
絵に隠されたもう1つの顔を発見してしまう。
「朱鷺飛来図」は美しいが怖いというのはこういうことか。
なぜ珠枝はこんな絵を何枚も描いたのか?
残された片目を潰し、両方の耳に雪を詰め
石に頭を叩きつけて死んだのは何故?
映画監督も映画公開直後に珠枝の実家を訪れている。
彼女は何を発見したのか。
二人は珠枝の足跡を追い始める。
いやぁ~面白かった。っていうか怖かった。
「朱鷺飛来図」が描かれた理由と珠枝の謎の死と
映画監督の不審死の原因を探るために奥多摩に向かう。
消えた村とか、神社とか信仰とか祀られてるものとか・・・
ここまでなら、よくある好みの展開だったりする。
そして奥多摩の山の中に足を踏み入れた途端に迷い込む魔境。
辿り着いた村。何かがいる気配ではなく、いない気配。
想像してみ?怖いってば!
ここからがホラーですってば。
ヒッチ・コックの鳥も怖かったけど、本作も怖い。

朱鷺についても色んな説明があるんだけど
その穏やかな性格からして絶滅の道を辿ったんだなぁ~と
漠然と思ったりしてたんだけど、とんでもない。
朱鷺を見る目が変わってしまった。
何が怖いって、こういうのが怖いんだと思う。
これは種そのものを絶滅に追いやられた朱鷺の怨念だわ。
珠枝の死も映画監督の死も「朱鷺飛来図」を描いた理由も
散りばめられた伏線を回収するかのごとく収束に向かう。
その理由がわかった時、更なる恐怖が主人公たちを襲う。
ページを捲る手を止められなくて一気に読んだわ。
ただ・・・
本作ではイラストレーター谷口葉子の目線で物語が進む。
32歳バージン!金髪美少年のイラストが大人気。
それはいい。
問題なのは、一緒に行動する落ち目のハイパーバイオレンス作家の
美鈴慶一郎よ!
デカイ上に太っていて20代後半なのに頭が少々薄くて髭面。
しかも年中発情期というプレートを首から下げてるような男で
更にヘタレでもある。
何故だ!?
こういう場合、もう少し頼れそうな男を相手にするんじゃないのか?
よりにもよって鳥が苦手というか怖くて
鳥の羽ばたきだけで葉子にしがみつくような奴なのよ!
何でぇ~????? o(><" 三 "><)o
怖くてもしがみつけないってば!
しがみ付く気も起こらないってば!
でもまぁ~最後にはmokkoの考えは間違ってないという
証明がなされるからいいんだけど(○ ̄m ̄)
この二人が無事に生きながらえることを切に願う。
そして・・・本作でも腸が・・・
腸・・・il||li _| ̄|○ il||li
