朱/森真沙子 | mokkoの現実逃避ブログ

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朱 (ハルキ・ホラー文庫)/森 真沙子
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編集者の小原貴子は、歴史学者の入江教授の別荘を訪ねたが、
教授の首にはナイフが刺さり、既に息絶えていた。
貴子はとっさに室内にあった原稿を持ち出した。
そこには、聖徳太子の時代の恐るべき事件が描かれていた。
「疫病が蔓延していた推古二十五年の夏、飛鳥では、
奇々怪々な“首狩り事件”が頻発していた。
切断された首には必ず朱い顔料が塗られていた」。
“首狩り事件”の真相とは?入江教授の死との関係は?
渾身のホラーミステリー長篇。

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鎌倉時代にリメイクされたという飛鳥時代末期から
奈良時代初期に書かれた書物を現代語に訳したものを
読んで欲しいと歴史学者に呼び出された編集の小原貴子だったが
別荘を訪ねると教授は首にナイフが刺さり死んでいた。

小原が原稿を持ち出したところまでが10ページ。
そこからは、持ち出された原稿が大半を占める。


推古25年、夏。主人公は12歳の犬君(いぬき)
2年前、父は遣隋使として中国に渡ったが、その帰りに
船が嵐で難破し、海に沈んだ。
母も後を追うように死に、犬君は孤児となったが
叔父が引き取ってくれたとはいえ、その実は労働者だった。
耐え切れず深夜に馬を盗み逃げ出した犬君は、
異様な者に周りを囲まれるが、寸でのところで救われる。

助けてくれた者は斑鳩(いかるが)の主と名乗った。


斑鳩?それって何だ?斑鳩寺?どこだそれ?
と思ったら、なんともタイムリーな事に
ブロ友のももいろきりんさん

奈良旅行記をアップしていた。


斑鳩寺って法隆寺でしたかぁ~

そうなんです!犬君を救ったのは
上宮厩戸皇子(かみつみやのうまやどのみこ)
聖徳太子だったのです。
この時代の名前がもの凄く読みにくいんだけどね・・・

すんません<(_ _)>日本史大嫌いなんです。


おかげで犬君は、舎人(とねり)として働けるようになるのだが
そんな時、奇怪な首狩り事件が頻発する。
鋭利な刃物で首を切り取られ、死体が野ざらしにされる。
その顔は朱い顔料で塗られていたことから朱首事件と呼ばれた。
魔除けか呪術か疫病封じか、物部の報復なのかと

色々な噂が立った。


更に犬君の父が乗っていた遣隋船は嵐に遭ったのではなく
火災で沈んだという。
犬君は真相を知りたいが為に執念で情報を集める。
ここで原稿の上の巻が終わり、それを察したかのように
小原貴子のところに脅迫電話が入る。
小原は、慌てて下の巻を読み始める。


遣隋船沈没の真相は?朱首事件の真相は?
魔物とも聖人とも取れるような太子の描写が
不気味なまでに妖しくて、ゾクゾクしました。
最後は、教授の死の真相が書かれて終わるんだけど

教授の死と、朱首事件の繋げ方が天晴れですよぉ~
これが真実だと言われたら、信じてしまいそうなくらいです。


最後に<本書は全てフィクションです>と書いてある。
それすらも疑いたくなるような面白さでした。
不気味なまでの怪しさ&妖しさがたまらんとです!
いやぁ~当たりが続いて嬉しい限りですよぉ~v(〃>∇<〃)v