まほろ市の殺人 (ノン・ノベル)/有栖川 有栖 我孫子 武丸
¥920 Amazon.co.jp
「この街はどうかしている-」海沿いに位置する地方都市、
真幌では季節が巡るごとに怪事件が起こる。
春にはベランダから突き落とされたはずの男が
遠く離れた場所でバラバラ遺体で発見される。
夏には新人作家の淡い恋に驚くべき結末が。
秋には人気小説家と陰気な刑事のコンビに
シリアルキラーが立ちはだかる。
冬には大金に目がくらみ兄を殺害した男が
その亡霊に悩まされ…。
“まほろ”を舞台に描く傑作シェアード・ワールド!
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最近、やたらと「まほろ市」という名を目にする。
三浦 しをんさんの作品名だったりするけど・・・
しかし、mokkoにはまだ早いと思っていたところ
本書を発見した。
偶然とは言え、同じ「まほろ」
「まほろ市」とは何ぞや?と思って調べたら
幻(まぼろし)を都市名にしたもので
「どこにも存在しない場所」ということらしい。
1つお利口になったわ(^◇^;)
まほろ市(地図付き)を舞台にしたアンソロジーです。
それぞれの作品で、それぞれの登場人物や
場所がチラリと出てきたりします。
全てが中篇ということを頭に入れて読めば
納得できる内容かと・・・
それぞれの作品の文庫本が出ています。
春「無節操な死人」倉知淳
春のお話なので、のほほんと呑気な感じになりました。
でも、ちゃんと本格ミステリなのですよ。
真幌の春の風物誌「浦戸颪(おろし)」が吹き荒れた翌朝、
美波は幽霊から痴漢されたとぼやき
カノコは「人を殺したかもしれない」という。
7階の部屋のベランダで覗きをしていた男を
モップで突き落としてしまったらしい。
しかしカノコが突き落とした男は、それ以前に殺され、
真幌川でバラバラ遺体で発見された。
先日読んだ「星降り山荘の殺人」 もそうだけど
読みはじめの部分が苦しい。
「真幌市」に関する説明が多過ぎるような気がする。
まぁ~トップバッターだからしかたないのかもしれない。
不可解な事件に学生カップルが挑戦するという内容ですが
そんなオチでいいのか?
鮮明な妄想が出来る人は、オエッとくると思うなぁ~
思いっきり想像してしまったけど、想像したくないです。
っていうか、そんなんでいいのか???
夏「夏に散る花」我孫子武丸
架空の街での競作中編という、ありそうで
なかったコンセプトをお楽しみください。
真幌市に住む新人作家君村の許に届いたファンレターに
返事を出した事から四方田みずきとのメールのやり取りが
始まり、まだ見ぬ彼女に恋をした。
一度は彼女に会うことができたものの、
彼女との連絡はとぎれ…。
そして、思いを募らせる君村がとった行動が、
思いがけない事件を呼ぶ!
初めての作家さんです。
とても読みやすかったんだけど、ダークだ。
そして切ないというか、哀れというか辛すぎるぞ。
秋「闇雲A子と憂鬱刑事」麻耶雄嵩
殺人多発地帯、真幌市。今日も誰かの悲痛な叫びが。
愛憎うずまく、ここは地獄の一丁目?
「早く乗せて!」
非番の刑事・天城憂の車に、女性が乗り込んできた。
真幌市在住の有名なミステリー作家・闇雲A子だった。
この春から11件も連続して殺人事件が発生している。
その「真幌キラー」をA子は追っていたのだ。
死体の耳が焼かれ、傍には必ず何かが置かれている。
犬のぬいぐるみ、闘牛の置物、角材・・・・・・。
真幌市を恐怖のどん底に陥れる殺人鬼の正体とは?
初めての作家さんです。
闇雲A子の推理に振り回されながらも
一緒に真幌キラーを追いかける?メランコ刑事。
警察の裏をかいたように殺人事件が続き
死体の傍に置かれた物の意味は解けない。
この二人が当然、事件を解決してくれるのかと思ったら
第三者に丸投げ。
そんなんでいいのか?(゚O゚;
名探偵コナンの怪盗キッドを連想してしまった(^◇^;)
そして、真相に気づいた時、ゾクリとしてしまった。
そこで話を終えないでぇ~とお願いしたかった。
これが一番面白かったかも♪
冬「蜃気楼に手を振る」有栖川有栖
蜃気楼の向こうの皆様へ。真幌はどうかしています。
ミステリに呑み込まれて歪んだのでしょう。
「真幌はどうかしている」冬になると、
真幌の海に蜃気楼が現れる。
満彦は五歳の頃、美しかった母に連れられて
初めて兄弟たちとそれを見た。
蜃気楼に手を振ったら幻の町に連れて行かれる。
だから手を振ってはいけない、と母に言われた。
直後、こっそり手を振った長兄が事故死し、
25年後の今、三千万という金が残された兄弟の運命を翻弄する!
読み始めから話しに引き込まれるから有栖川作品は好き♪
ほんの出来心から犯罪に手を染め、更に兄を殺してしまった満彦。
ほとぼりが冷めるのを待っていたのだが
埋めたはずの兄と瓜二つの男を見かける。
現実的に話が進んでいたのに、途中からホラーですか?と
思わせるような妖しげな展開になり、
こういう終わり方だけはやめてよねと思っていたら
あぁ~やっちゃった(^◇^;)
そして最後にダメ押しまで付けてくれちゃった。
そこまでやるか!って感じでしょうか・・・
蜃気楼から始まった話は、読んでる間中
惑わされてる気分だったし、雰囲気だけは
もの凄くよかったですよ(^◇^;)
全体として・・・
気分転換に読むにはいいかも・・・
いいのか?
「まほろ市」に踊らされたと言っておきましょう(^◇^;)
まほろ市の殺人 春―無節操な死人 (祥伝社文庫)/倉知 淳

まほろ市の殺人 夏―夏に散る花 (祥伝社文庫)/我孫子 武丸
¥400 Amazon.co.jp
まほろ市の殺人 秋―闇雲A子と憂鬱刑事 (祥伝社文庫)/麻耶 雄嵩
¥400 Amazon.co.jp
まほろ市の殺人 冬―蜃気楼に手を振る (祥伝社文庫)/有栖川 有栖
