- ユージニア (角川文庫)/恩田 陸
¥660 Amazon.co.jp
- 「ねえ、あなたも最初に会った時に、 犯人って分かるの?」
こんな体験は初めてだが、俺は分かった。
犯人はいま、俺の目の前にいる、この人物だ。
かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。
数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。
いったい誰がなぜ、無差別殺人を?
見落とされた「真実」を証言する関係者たちは、
果たして真実を語っているのか?
日本推理作家協会賞受賞の傑作ミステリー。 - 角川サイト
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タイトルと表紙がすごく気になっていて
順番無視して手に取りました。
タイトルの意味は最後の方に出てきます。
読み始めは戸惑いました。
恩田作品を全部読んでるわけじゃないので
このパターンの書き方は初めて。
もしかしたら選択を誤ったか?
先にQ&Aを読んでおいた方がよかったのか?
タイトルから、なんとなくそう思っただけなんだけど・・・
Q&Aは未読なもので、何ともいえない。
「夏の終わりの薔薇」に似てるようで違うし・・・
本を巡る物語としては「三月は深き紅の淵を」風だけど、それとも違う。
そして、謎を解かないままに終わります。
きたね・・・(^◇^;)
舞台はK市。最初の方で、それがどこなのかがわかります。
そして、青い部屋を見たくなるはず。
いつか行ってみたい場所でもあります。
犯人の自殺により一応解決をみたはずの
数十年前に起きた大量毒殺事件。
事件現場近くに住む事件の当事者でもあった小学生が大学生となり
事件の関係者にインタビューしたものを本として出版。
「忘れられた祝祭」はベストセラーになる。
その後、再び事件の真相を求めて関係者から
証言を聞いて回るインタビュアー。
章ごとに証言者が変わるし、時期もずれるし、
インタビューの証言者の返答のみが書かれているから
語り手が誰かというのは、考えながら読まなきゃいけない。
わかるんだけどね(^◇^;)
見た人の印象や感じ方で証言も変わってくるし
脳みそがザワザワする。
思考力と記憶力を試される本とでもいうのか・・・
読んでるつもりでも気に止めてなかったので
最後に自分が色んな場面でイメージしてたものが
実は違っていたってことがわかって驚愕する。
そうなると、疑問が出てくる。
困った!
動機もぼかしたままになってる。
謎も解けないまま、より深くなって終わる。
あぁ~必死に読んできたのに、これですかぁ~
暑い夏の日に関係者に事件の事を聞いて回って
喉がカラカラなんですよぉ~
事件当時は台風みたいだったから、ずぶ濡れなんですよぉ~
っていうか、それくらいにイメージしやすいんですよ。
だから夏に読んでください。
数十年前ってのがあらかじめわかっているから
イメージとしてはモノクロに近いセピア色なんだけど
時としてハッキリとした色が鮮やかに出てくるんですよね。
白・赤・青・黄 これはイメージの中でも眩しいです。
決して書かれることのない「もう1つの『忘れられた祝祭』」
これで締めくくるのは悔しいけれど
こういう終わり方は嫌いではない。
たぶん、読んだ後に誰かと語りたくなる。
あなたはどう思う?って・・・
あれってどうなのよ?って・・・
ただ、これは好き嫌いが分かれると思います。
恩田作品って、こういうのが多いから(^◇^;)
mokko的には有りなんで、こういうのも含めて好きです。
単行本の装丁はすごく凝っていたらしい。
最後に、そのことが語られているんですけど
カバー作るのって大変なんですねぇ~
文庫の表紙も大阪の公団住宅とのこと。
こういう風景が実際に存在してたなんてスゴイわぁ~
読み始めの部分で、かなり気に入った部分があった。
「奇」というのは日本文化には結構重要な隠し味だと思う。
いびつなもの、気味悪いものを一歩引いて愛でる。
ああ嫌だ気持ち悪いと目を逸らさずに、冷徹に観察して
美の一つとして鑑賞する、面白がる。
(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
このインタビュアーに同感です!