去年の夏にスペインのイビザ島で美味しくて感動した斬新な最先端のスペイン料理 。
あの味を再び味わいたくて・・・
8月は二人の誕生月だったので先週末、思い切って麻布十番にある[山田チカラ] に行ってきました。
オーナーシェフの山田チカラさんは、スペインの三つ星レストラン「El Bulli(エル・ブリ )」で
修業したのち、「旬香亭グリル・デ・メルカド 」の料理長を経て、2007年5月に自身のお店を
麻布十番にオープンしたそうです。
バルセロナ郊外にあるエル・ブリは、世界中の食通から注目され、世界でもっとも予約が取れにくいと
いわれているレストラン。
料理を通して“驚き”や“発見”を提供してくれるお店です(■ )
この[エルブリスタイル]を味わうことが出来る日本でも数少ないレストランが[山田チカラ]。
お店の入口はミニマムモダンなデザイン。
シンプルな店内には8席のカウンターと炉を切った茶室のみ・・
装飾をそぎ落としたような空間でした。
照明もかなり抑えてあり、私の席の前の縦に走る間接照明が唯一の灯りでした。
なので、お料理の写真が全体的に暗いのが残念。。
(フォトショップでなるべく明るくしてみましたがそれにも限界があり)
一品一品の驚きを伝えにくいのがちょっともどかしいです。
カウンターには手書きのお品書きが置かれ、それに沿って料理が運ばれてきます。
食前酒は[マタドール]というテキーラとパイナップルジュースのカクテル。
マタドールというのは[闘牛士]という意味なので、やはり導入はスパニッシュからなのでしょうか。。
最初に出されるのは、飯・汁・一菜のおしのぎ
まず初めにごはんが出てくるのは珍しいですが、茶懐石の作法にのっとっているようです。
一握りの白米に、胡麻豆腐の白味噌汁、そしてカニのジュレの前菜。
上品なお味付けです。
本マグロの正油ヌーベ
小さな四角いベージュの固まりはふんわりとムース状になった醤油、そして丸いのは山葵。
【素材を再構築する】という[エルブリ]の独特な料理法の始まりです。
醤油や山葵もこんな形にすると、お刺身をまろやかな風味でいただけるものなのかと再発見。
最初にイベリコ豚の生ハム(もちろんこれだけでも充分に美味しい!)を一口噛んでから、
まるで生卵のようなメロンピューレを固めたものをつるっと流し込んで一緒に味わう一品。
もともと生ハムメロンが大好きですが、この見たことも食べたこともない斬新な生ハムメロンには感激です。
イベリコ豚の塩味と夕張メロンの甘みが絶妙な取り合わせでした。
ウニのフラン
生ウニの入った冷たい茶碗蒸しみたいなものです。
こういうなまなま系大好き~
のどぐろ
海老の濃厚スープに焼いたのどぐろ(魚)、そしてその上には乗っているのは パルメザンチーズの泡。
こういうエスプーマ(泡)を使うのも[エルブリ]ならではのもののようです。
口に入れるとすっと溶けてしまうけれど、ほのかに香るチーズの味がアクセントとなっていて
やっぱり美味しい♪
キノア
液体窒素で凍らせたフォアグラをすりおろしたもの(器の左部分のパウダー状のもの)に
熱いコンソメスープをかけていただく新しいスタイルのスープ。
冷たいものと熱いものが口の中でミックスするなんとも不思議な食感です。
口に入れた途端、冷凍フォアグラパウダーがしゅわしゅわ~と溶けていくのが気持ちがよかった!
このキノア(粉末)はこのお店のスペシャル、定番のようです。
このグラスが出てきた途端、「これがスパニッシュオムレツ??」とびっくり。
グラスの一番下部分には炒めて甘くなったたまねぎ、その上にはじゃがいもと卵の濃いポタージュみたいな
もの、そして一番上には白トリュフ。
エルブリ的に【素材を再構築する】とオムレツもこんな風に斬新になるんですね~
穴子スモーク
お椀の蓋を開けた途端、白い煙がもくもくと出てきて目の前が真白になる驚きの演出。
柔らかい穴子の下には蓮根のすりおろししんじょ。
これは正当派の和食のお味、木の芽が味のアクセントになっていて、本当に美味しかった・・
佐賀牛
メイン料理は、牛肉のざぶとんという部位、牛タン、そしてほろほろ鳥からのセレクト。
私はひれ肉のように柔らかいざぶとん、P。は牛タンの赤ワイン煮にしました。
こちらはゆず胡椒でシンプルにお肉を味わうという感じでどちらかというと正統派。
あと別皿でちょっと甘めの美味しいビネガーを使ったグリーンサラダも出ました。
五島うどん
コースの〆は、大根おろしとたっぷりの岩のりがのった冷たいうどんを、かぼすをきゅっと絞って
さっぱり味でいただきます。
もうこの時点でかなりおなかがいっぱいでしたが、あっさりとしたおうどんはつるつるっとおなかの中に
納まりました。ガラスケースに入った数種類のチーズの中からミモザとブルーチーズをセレクト。
付け合わせの干しいちじくと干しぶどう、はちみつをチーズと一緒に食べると、こくのあるチーズの味が
さらに引き立ちました。
もう終わりなのに、ここでまたワインが飲みたくなっちゃった^^
デザート
キャラメルアイス、カスタードプリン、ショートケーキ
デザートのあとはお茶室に移って、女将の点ててくれたお抹茶をいただきました。
お茶菓子はミニフィナンシェと金平糖。
最後まで和と洋の融合です。
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次々と出てくる意表をつく斬新なお料理の数々は本当に溜息ものでした。
液体窒素を使ったエスプーマ(泡)、パウダーといったちょっと化学的手法を用いたり、
熱いものと冷たいものを一緒に出して食感を楽しむという遊びの部分も楽しい[エルブリ]スタイル。
和食とこのエルブリスタイルを融合させた独特の世界が、山田チカラシェフの料理です。
ただ単に斬新で奇をてらうというだけでなく、お味も素晴らしく大満足でした。
また行きたい!とは思うけれど、度々行けるようなお値段ではないのでまた何かの機会に。
お抹茶をいただきながらシェフの奥様である女将と話したところ、今やスペインのマドリッドが
世界の料理界の頂点だとか。
そういえば、サンセバスチャンやイビザ島でいただいたお料理のお味は、今まで食べたことのないような
斬新なものでした。
そしていろいろ話していくうちに、イビザ島のホテルで忘れられないほど美味しかったあの甘酸っぱい味は
[ペドロヒメネス]というスペインのシェリービネガーではないかということを教えていただきました。
ぜひぜひこのビネガーを探してみたいと思っています。
バルセロナでお財布をすられたP。は、同じ経験のある奥様と話が合っていました^^;
今までのスペイン料理の意識を変えてくれました。