皆様、こんにちは。
みんなの学び場美術館 館長 日下育子です。
今日は素敵な作家を紹介いたします。
日本画家の岡田 昌平(おかだ しょうへい)さんです
岡田 昌平さん
第1回の今日は、美術を始めたきっかけ、制作テーマ、制作の思いについてお話を伺いしました。
どうぞ お楽しみ下さい。
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静かな時
P4縦
和紙、顔料(岩絵具、水干、胡粉)膠
霧雨
3200x1600mm
和紙、顔料(岩絵具、水干、胡粉)膠
日下
岡田さんが美術を始めたきっかけを教えてください。
岡田 昌平さん
自分でも本当のところはよく分かりません、幼い頃、記憶があいまいな頃から、絵を描くのが好きで広告やカレンダーの裏に絵を描いていて、その過程で次はこうしたい今度はこうゆう絵が描きたいと思いが重なりながら、一つの流れとして今に至っていると思います。
今改めて思い返してもこれといって変化をあたえるような出来事はありません。でも幼い頃も今も絵、彫刻などの立体作品は鑑賞するより自分で制作することに好意をもっています。
日下
御家族も絵がお好きでいらしたのでしょうか?
岡田 昌平さん
両親が特に絵を好きだったということはなくて、美大に行きたいと言った時の反発は凄かったです。
日下
そうですか。
どの作品も素晴らしいですね。特に大作の絵が凄いですね。題名は何という作品でしょうか?
岡田 昌平さん
題名はいつも適当につけているのですが「霧雨」です。
日下
岡田さんの作品はどれも自然を描いていらっしゃるのが多いですね。これは外で写生をされるんですか?
岡田 昌平さん
そうです。制作するにあたって、私は外でスケッチをして、要らないものを省いたり、描き加えたり、それを再構成して絵にしています。具象画ですが、表現したいのは自然そのものよりもその場をとりまいている空気、雰囲気、きれいだと思ったものなど、あいまいで抽象的なものかもしれません。
例えば雨上がりの湿気をまとった空気、地面から薄ら立ち込める土の匂い、時間とともに変化してゆく光と影をながめている時に思う感情、自分ではっきりと言葉にはできない思いなどで、それらを再構成された風景の中に表現することを目指しています。
日下
私が目を惹かれたのは「いざない」という作品です。この樹木の描き込みは凄いですね。
スケッチをされるということですが、これだけの細かい描き込みをされるのに写真を使われることはありますか?
岡田 昌平さん
基本使わないですね。写真を使うとそのものは描けるんですが、そのものにしかならず再構成できないというか。やっぱり、はしょってはダメだと思っています。スケッチしているからこそ自分で噛み砕けるというか、存在感を感じながら描けるというか。スケッチしながらああしょう、こうしようと考えているんじゃないかと思います。
日下
そこがまさに創作ということですよね。
岡田さんの制作の素材について、お聞かせ下さい。
岡田 昌平さん
私は基本的な日本画の技法を使って制作しています。手間のかかる素材ですが顔料と膠(定着剤)が分かれている分、それぞれの特性を理解して定着力など制御しながらの作業に向いています。
何より質感が自分の画風にあっているからです。
日下
手間のかかる素材ということについて、もう少し詳しく教えて頂けますか。
岡田 昌平さん
顔料と膠を指で混ぜるところですね、チューブから出してそのまま使うという訳ではないので。
あとは膠が腐りやすいので神経を使いますし、膠で顔料の定着力をコントロールするところも手間がかかります。
日下
そういう大変さのある技法にもかかわらず、岡田さんが日本画に魅力を感じ、こだわって制作されるのはどうしてでしょうか。
岡田 昌平さん
こういう画風が好きだということ、絵面というか。油彩のようなテカリも膠の具合で出せますが、画面がフラットな感じで、サラッとしたところが自分には向いているのかな、と思います。
そういう材料だからこういうものを描きたい、というのと、こういうものを描きたいからこういう画材で、という両方があると思います。どっちがどうということでなく。
日下
表現材料と表現なさりたい内容がマッチしているということなのでしょうね。
岡田 昌平さん
そうですね。
日下
なるほど~。本当に空気感や光の表現も素晴らしいと思います。
これだけ描くには時間もかかるのではないでしょうか。
岡田 昌平さん
かなり描きこんでいると思います。描きこんで、潰して、描きこんで、潰してみたいな。一発で描けたり、色を混ぜられたりする器用な人ではないので。
日下
本当に丹精込めて描いていらっしゃるのですね。
今日は素晴らしい作品とお話をありがとうございました。
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編集後記
前々回登場の画家 松原 遼さんのリレーで、今回は日本画家 岡田 昌平さんのお話をお聴きしました。岡田 昌平さんと松原 遼さんは三重県にある共同アトリエで制作されているお仲間とのこと。岡田 昌平さんは東京芸術大学と同大学院で日本画を学ばれたそうです。
この掲載に向けての連絡段階から、岡田 昌平さんは本当に日々制作に専心されている方だということがひしひしと感じられました。日頃、発表の場では自作を言葉で解説することはされず、作品によって伝えるという姿勢でいらっしゃるそうなのですが、今回はご自身の制作について詳しくお話して頂けて、とても嬉しかったです。
次回は、岡田 昌平さんの社会との接点、「あなたにとってアートとは?」についてお伺いします。
特に社会との接点では、国宝の現状模写のプロジェクトに参加されているという貴重な体験談をお聞かせ頂きます。
どうぞお楽しみに。
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■岡田 昌平さん 経歴
1982年 愛知県生まれ
2003年 東京芸術大学美術学部日本画専攻入学
2006年 個展 日本橋小津和紙ギャラリー
2007年 同、卒業
東京芸術大学大学院美術研究科日本画入学
09年 同、修了
修了制作模写(源氏物語絵巻)買い上げ
2010年~16年 グループ展燦の会、松坂屋美術画廊(東京、名古屋、大阪、)
2012年 伴大納言絵巻現状模写参加
個展 ギャラリー草笛
2014年 個展 ギャラリー草笛
2016年 グループ展ギャラリー彩
2017年 信貴山縁起絵巻現状模写参加
グループ展 みよし市文化協会展 ギャラリーかんしょ
現在 みよし市文化協会絵画部理事
本日もご訪問、ありがとうございました。
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