画家 田中 充さん 第1回 | みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

生命礼賛をテーマに彫刻を創作。得意な素材は石、亜鉛版。
クライアントに寄り添ったオーダー制作多数。主なクライアントは医療者・経営者。
育児休暇中の2011年よりブログで作家紹介を開始。それを出版するのが夢。指針は「自分の人生で試みる!」

皆様、こんにちは。
みんなの学び場美術館館長 日下育子です。

本日の登場作家は画科の田中 充さん(たなか みつる)さんです。

田中 充さん

前回の清水玄太さんからのリレーでご登場頂きます。
清水玄太さん  第1回、 第2回、 

第1回目の今日は、田中 充さんの美術を始めたきっかけ、制作テーマ・素材についての思いを
お聴きしました。 どうぞお楽しみ下さい。
    
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松島の港
M30  
2015年
 

 

 



朝のモンマルトル
F50
2015年

 

 

 


香港の路地
F100
2016年
 

 

 


市場
P30
2016年

 

 


夜のゴールデン街
P30
2016年
 

 



千葉市街地眺望
F100
2017年




日下
美術を始めたきっかけについて聞かせて下さい。

田中 充さん
中学生のころから漠然と将来は絵描きになりたいと思っていました。はっきりと意識し動き出したのは高校の頃です。少し遅いかもしれませんが、高3の夏から地元の予備校に通い始めました。

日下

周りに美術をしている方がいたとか、ご家族の影響とかはありますか?
 
田中 充さん
それは特に無かったです。

日下

部活も美術部でしたか? 全く違う分野ですか?

田中 充さん
部活は中学の時も陸上部で、高校の時は山岳部でした。

日下
山岳部だったことと風景を描かれていることは関わりあると思いますか。

田中 充さん
直接的には関係は無いと思います。作品では街並みなどの景色が好きで描いています。
そういう意味では山に入る前の駅の周りの街の景色とかは好きです。

日下
山岳部では結構高い山にも登られたのでしょうか?

田中 充さん
日本で二番目に高い北岳、三番目に高い穂高には登りました。その後、富士山にも登りましたので、
日本で高い山ベスト3には登りました。高いですがそんなに険しくなくて割と初心者でも登りやすい山なんです。

日下
それは素晴らしい体験ですね。
絵描きになりたいと思う流れで、印象に残っている作品とか、出会いとかはありましたか?

田中 充さん
直接的なきっかけでは無いですが、小中学校のときはスタジオジブリの映画の背景を描く仕事に憧れていて、なるべく背景を描く仕事はしたいと思っていました。
ジブリの作品は今でもすごいなと思います。

日下
そうですか~。登場人物よりも背景に目が行ったというのはとても興味深いと思います。
アニメータになりたいという方は多いだろうと思いますが、背景を描く人になりたいというのは、そう多くはいないような気がするのですが。

田中 充さん
そうですね。その時から風景には惹かれていたのかも知れません。

日下

ちなみにジブリ作品で背景が印象に残っているのはどんな作品ですか?


田中 充さん
最近はあまり見ていないのですが、印象に残っているのは「平成たぬき合戦ぽんぽこ」の工事現場に
ショベルカーがぽつんとある絵があって、それが格好いいなと思ったのと、「耳を澄ませば」の実際の
モデルになっている町があるのですが、高台から見下ろした街並みとか、雰囲気が好きで惹かれていましたね。

日下
そうですか。制作テーマ・素材についてお聞かせ下さい。

田中 充さん
素材は油絵です。スケッチなどをするときは水彩で描くこともありますが、それ以外ではほぼ油絵の具しか使いません。オーソドックスな技法です。制作のテーマは、僕はものを見て描きたいので割と現実に忠実な具象絵画を描いています。外を歩くのが好きなので風景画が多いです。

日下
田中さんの思う風景画の魅力はどんなところにありますか?

田中 充さん
まず、ありのままというところですね。静物画だとモチーフを選ぶということがあると思うのですが、風景画は多少、削ったりすることろはありますが、見た瞬間にインスピレーションを受けて、それを
ありのまま描くところが魅力です。それが必ずしも良いのか悪いのかは分かりませんが。
モチーフを構成するという意味では、静物画の方が高度なのかもしれません。

日下

いつもみている風景の中でも絵にしようと思う風景のポイントはありますか。

田中 充さん
自分の好みにはなるのですが、学生の頃は狭い路地が好きで描いていて、今は空が広い景色とか割と
人工物があるのが好きなので、街並みのビルが建っている直線的な感じとかを描いています。
なぜ惹かれるのかと言語化するのはまだできないんですけど。

日下
頂いた作品写真の中では「夜のゴールデン街」だけが夜の風景ですね。

田中 充さん

それも昨年描いた作品ですが、夜の景色とかにもすごく惹かれていて、黒い空とか、黒い中に赤い光
とか、光が入っているのが綺麗だと思っています。
 

日下
私は田中さんの絵にとても透明感を感じていて、そのためか朝の風景が多いのかなと感じたのですが。

田中 充さん
僕自身はそこはあまり意識していなくて、意識しているところと言えば、空をどんな色にしようかと
いうことで、青がいいのか、グレーがいいのか、白っぽい明るい色がいいのかをかなり考えています。
それによって時間帯がどう表現されるかは、あまり意識はしていないんです。

空というのは、とても難しいモチーフの一つだと思います。それによって大分、絵柄の雰囲気って変わってくるので。僕自身の制作では、絵を描くときに空が一番最初に決まれば、絵が決まってくるというのはあります。

日下
確かに空の色に情緒を重ねて見る、ということはありますね。
田中さんがどういう思いで描いていらっしゃるのか、今お聞ききしてみてとても興味深いと思いました。
では、描きたい風景のポイントというのは、街並みの直線や空という感じなのですね。

田中 充さん
そうですね。山のような自然の曲線というよりは、街並みの直線、道路やその白線の直線とか、人工的なものの方が興味を引かれます。

日下
風景の中の人物には興味ありますか。

田中 充さん
学生の時は、それこそ人物は全部排除していました。人物画を描こうとは思わないんですが、最近になって風景の中にいる人の生活感や息遣いというものにも最近ちょっと興味が出てきて、その時の風景に
人がいれば描くこともあります。いなければ描かないです。

日下
そうですか。「千葉市街地眺望」というのは、お住まいの街を描かれたのでしょうか。

田中 充さん
そこは、自宅から車で30分ほどの千葉タワーという展望台で、海の方から見た市街地です。
この作品は、アントニオ・ロペスというリアリズムの絵描きがいて、高い所から見下ろした絵を何枚か描いているんですが、それがずごく格好良くて、こんな絵を描きたいなと思って描いたんです。
なかなか及ばないんですけど。

日下
とても素晴らしい作品だと思います。
描くときは、スケッチや水彩を描いてから油絵にされるのでしょうか。

田中 充さん
そういう時もありますし、写真だけ撮って、それを見て自宅で描くこともあります。
本当は現場でスケッチや水彩を描いた方が、写真を見て描くにしても絵にしやすいんですけど。
ケースバイケースですね。

日下
そうですか。今日はとても興味深いお話をありがとうございました。

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編集後記
 前回の清水玄太さんからのリレーで、今回初めて田中 充さんのお話をお伺いしました。
田中 充さんは千葉県千葉市在住で、日本大学大学院芸術学研究科のご卒業で、大学の芸術学部では、清水玄太さんとは同級生だそうです。
 主な活動として、毎年の個展の他、年に3回は作品発表されていますが、そのうち写実画壇展という

団体展では招待出品を経て、来年から会員に推挙されたそうです。

 田中 充さんの絵を初めて拝見して、私は透明感がとても魅力的だと感じました。私たちは誰しも
風景に囲まれて生きていますが、作品となる風景は作家にどんな意図をもって切り取られるのか興味がありました。今回は田中充さんの「人工的な直線」と「空」いう明快な意思をお聞きして、とても
興味深く感じました。

 次回は、田中 充さんの社会との接点、「あなたにとってアートとは?」をお聞きします。
どうぞお楽しみに。

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■田中 充さん 経歴
1986  千葉県生まれ。現在船橋市在住。 
2011  日本大学大学院芸術学研究科造形芸術専攻 修了
 
展示歴
2009  東京五美大卒業制作展 (国立新美術館)
       卒業制作選抜展 (ギャラリー絵夢)
       アラカルト~船橋現代アート展2009~ (船橋市民ギャラリー)
       田中充・仁科新 二人展 (ガレリアグラフィカbis)
2011 東京五美大修了制作展 (国立新美術館)
 修了制作選抜展 (ギャラリー絵夢)
 アラカルト~船橋現代アート展2011~ (船橋市民ギャラリー)
2012    有留拓人・田中充展 (ギャラリー檜)
2014    個展 (ギャラリーミハラヤ)
       Interactive -TOUTH- (ギャラリー檜)
新鋭作家展 (ギャラリー絵夢)   
第17回KIT展 (ギャラリーミハラヤ)
2015 個展 (ギャラリーミハラヤ)
     第18回KIT展 (ギャラリーミハラヤ)
2016   個展(ギャラリー檜)
     写実画壇展 (招待出品)
2017   桜志会展(ギャルリー志門)
        層展(ギャラリーストークス)
     写実画壇展(招待出品)
    新鋭作家展(ギャラリー絵夢)
    猫展(ギャラリーストークス)

 


■今後の発表予定
◇田中 充さん 個展 (高輪画廊
2017/11/27(月)~12/2(土)
平日:11時~19時  土曜日:11時~18時 休廊日:日曜・祭日    
高輪画廊
〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-6 MEビル1F
TEL 03-3571-3331

◇層展 (ギャラリーストークス

2017/12/17(日)~12/24(日) 12:00-19:00 最終日17:00  会期中無休
ギャラリーストークス
〒107-0062 東京都港区南青山6-2-10 TIビル4F  
TEL 03(3797)0856

■田中 充さんの情報がご覧になれるWEBページ
田中充 展 - 東京アートビート

田中 充 個展 | 個展なび

日本大学藝術学部美術学科 – Nihon University College of Art | 田中 充
 

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