ガラス工芸作家 大槻洋介さん(再放送)第3回 ~瑠璃色は沖縄の海の青さに重なります~ | みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

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生命礼賛をテーマに彫刻を創作。得意な素材は石、亜鉛版。
クライアントに寄り添ったオーダー制作多数。主なクライアントは医療者・経営者。
育児休暇中の2011年よりブログで作家紹介を開始。それを出版するのが夢。指針は「自分の人生で試みる!」


みなさま こんにちは。

彫刻工房くさか 日下育子です。


今日は素敵な作家をご紹介いたします。

ガラス工芸作家の大槻洋介さんです。





大槻 洋介さん


以下、2014年5月の再放送でお送りいたします。

前回登場の川﨑 文雄さんからのリレーでご登場頂きます。

  彫刻家 川崎 文雄さん 第1回 第2回  、第3回  、第4回  、第5回  


大槻洋介さん  第1回  ~全く未知の世界に興味を持ちました~  

  第2回 ~「Gate・門」というテーマがライフワークです~  

     

第3回の今日は、Gateなどのガラス作品の制作手法と
瑠璃色のガラス、アズ―ル・ブルーについてお話をお聴かせ頂きました。


塊のガラスを熱い状態から手で触れてられる状態にするのに
とても長い時間をかけて冷ますというお話など制作手法のお話をお聴かせ頂きました。


また大槻洋介さんはガラスの無垢の透明さに最も魅力を感じるそうですが、
色を用いたガラスでは、瑠璃色のガラスに魅力を感じて制作されているということです。


どうぞお楽しみ頂ければ幸いです。



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Gate_18a
Gate 18
2012 L-21
W12×D12×H28cm



Gate_17a

Gate17
2010
W13.5×D20.5×H28cm




Life_8
Life 8
2009
W16×D15×H18cm



Life_6

Life ,6
2009
W8×D7×H11.5cm



Plantery ring12

Plantery ring12
2012
W12×D12×H16.5cm



Plantery ring4

Plantery ring4
2008
W15×D14×H18cm




m_Azre-blue_1_4_jpg

Azre-blue
2010
W11×D11×H15cm



kou_14
Kou(孔)14
2010
W17×D17×H53cm




kou6b

Kou(孔)6
2003
W19×D19×H63cm
W23×D23×H53cm
第40回神奈川県美術展 大賞





日下
大槻さんのホームページ、Gateの作品詳細 を開くと
作り方が記載されていますね。


その中に「~気泡を封じ込め~」とありますが、
吹きガラスのように竿でガラスを扱って制作なさるのでしょうか。



大槻洋介さん
そうです。
僕はいわゆる型にガラスを流し込むのではなくて
吹きガラスの竿にガラスを巻き取って、少し大きな無垢の塊を作って、
それが冷めて固まってから面を削り出して・・・。



日下
Gateの2010年、2012年の作品はかなり細かいさざ波のような面が入っていますが
削りだすのにかなり時間がかかるものなのでしょうか。



大槻洋介さん
はい、かなり時間がかかります。
重い塊を持った状態で、ダイヤモンド砥石のついたグラインダーを
高速で回転させながら削るので、しばらくすると腕の筋肉がパンパンになるような体勢で
プルプルしながらグワーッと削って繊細な作業をして行くので・・・。



日下
これは期間的にはどのぐらいかかるものなのでしょうか。



大槻洋介さん
他の作品との同時進行にはなりますが
大体一つの作品に3カ月はかかりますね。



日下
それはかなり作り込まれるということなんでしょうね~。



大槻洋介さん
この説明文にあるように、
「高温で溶けたガラスに様々な気泡を封じ込め~
 ~後に常温に冷めたガラスを研磨して仕上げる」と
かなり簡略化して書きましたが、


普通のぐい飲みやグラス、皿みたいなものですと
成形したものが手で触れる常温までになるまで一晩かけて冷まします。



日下
ええ、ええ。(興味津々)



大槻洋介さん
それは、一晩かからないと冷めないというより
一晩かけてゆっくり冷まさないとガラス自身が割れてしまうのです。


その為、Gateの様な塊の大きな作品ですと、

大体10日から2週間かけてゆっくり冷ましていかないと
常温でバキバキに割れたガラスの塊になってしまうのです。


常温で手で触れる状態になるのに半月から1ヶ月ぐらいかけて冷まして
その後、そこからまた削り出していかないといけないので、三ヶ月ぐらい。


それ一個にかかりきりではないのですが、そのぐらいかけて作ります。
長いものだと半年ぐらいかけて手を加えています。



日下
重いものを手で持って作られるというお話ですが
比重はどのぐらいでしょうか。
石だと2.7とか2.8ぐらいですが。
私の印象的では、石より重いのではないかと思うのですが。



大槻洋介さん
ガラスは色々比重が違うものが何種類かありますが、
基本的には石とだいたい同じものだと思います。
石よりかなり重いガラスもあります。



日下
それでは、仕事的には結構な力仕事ですね。



大槻洋介さん
表面を磨く機械ですと、ガラスを置いた状態で使う道具もあるのですが、
細かい模様を削る機械だとガラスを持って削るので大変です。



日下
それから、同じく説明分の中に「~白色LEDの光によって発光する~」
と書いてありますが、光を当てているということなのでしょうか。



大槻洋介さん
当てているというより
この作品写真では見づらいかと想いますが
Gateの作品の下の所に自分で作った箱状の台座がありまして
この中に発光ダイオードのLED照明が内蔵してあります。


これは単純に下の発光体も含んだ照明の明かりのオブジェの作品で
電源コンセントに差して光を発する作品です。



日下
そうなんですか~!(感動!)



大槻洋介さん
先ほど挙げた星の誕生、Life、流動、Planetry ring(プラネタリーリング)
Tower(タワー)、Azre―blue(アズ―ル・ブルー)などのシリーズは
全て自分で発光するようにLEDの明かりが内蔵されている、
オブジェでもあり照明器具でもある作品です。



日下
そうですか~。
アズ―ル・ブルーの作品は、もの自体が光を放っている感じがとっても美しくて、
詳しくお聴きしてみたいと思っていました。
では、照明でもある作品なんですね。



大槻洋介さん
はい。照明という形で卓上にちょっと置いて
光として照らして頂くことができますし、
もちろんオブジェとしても見ることができます。


アズ―ル・ブルーについてお話しますと、
他の作品も見て頂いておわかりになるかと思いますが
色ガラスの発色がいろいろありまして、かなりな綺麗な色があるのです。


ホームページの上半分のものは、色のない透明のものが多いのですが。


アズ―ル・ブルーと孔の作品はコバルトブルーの色をしています。
この青、瑠璃色というのは、色ガラスの色としては
本当に昔からあるガラスの色で、
私個人色ガラスの中では最も美しい色だと思っています。


やはり最近できた目新しい色ではなく
透明、もしくは透明でないのであれば、

この一番シンプルで一番美しい色と光を駆使して

表現していきたいと思っています。


私がなぜこの色の何に一番惹かれるかというと
私は大学時代、沖縄の海に水泳部の合宿で海に潜ってた時の
海の青さと美しさに重なるのです。


その色、美しさにはまだ及ばないですが
少しでも近づけたらいいなという想いで、当分しばらくは
この青の色は良い作品ができるまで、納得ができるまで
作り続けたら良いなと想っています。



日下
この色はどのように作られているものなのでしょうか。



大槻洋介さん
ガラスに色をつける原理としては
コバルトブルーは鉱物のコバルトをガラスに混ぜているということです。
ガラスに鉄を混ぜるとみどり色、金を混ぜると赤になるという原理です。



日下
そうですか~。興味深いですね。
素敵なお話をありがとうございました。



 ************************


kou7
Kou(孔)7
2003
W13×D13×H60cm




今回、川崎文雄さんからのご紹介で、初めて大槻洋介さんのお話をお聴かせ頂きました。


大槻さんはいくつかのテーマをシリーズで制作をされていますが、
ガラスの透明な塊に子供の頃からの宇宙への憧れを重ねて
制作していらっしゃるのだそうです。


今回のインタビューでは、特にGateといライフワークのシリーズに絞って
詳しくお話をお聴かせ頂きました。


Gate・門というものを、制作を続けていくご自身の生き方に重ね合わせて
定期的に制作なさっているというお話にとっても共感を覚えました。

大槻さんはガラスの透明でありながら、手にふれることの出来ない不思議な空間に
子供の頃からの宇宙への憧れを感じながら、
日常の空間に非日常を送り届けたいという想いで
制作に向き合っていらっしゃるところがとても素敵だと感じました。


みなさまもぜひ、大槻洋介さんの彫刻作品をご覧になって見てはいかがでしょうか。


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◆大槻洋介さんが登場するWEBページ

 ◇  大槻洋介さんのホームページ
   
 大槻ガラス工作工房 OTSUKI GLASS STUDUIO 


 ◇  大槻洋介さん ガラス工房フェイスブック



◆大槻洋介さんの作品が直接見られる所 

 ◇  大槻工房ホームぺ-ジ
 


◆大槻洋介さんの作品がご覧頂ける展覧会



大槻洋介作品展 彩りのガラス展 
 (※終了いたしました。)

切り子のグラス、ペンダントなど資格と味覚で楽しむガラスをお届け

します。

2016年8月24日(水)~29日(月)  10:30~19:30

会期中、作家によるカットグラスの実演を行います。

日本橋三越本店 本館5階和食器

東京都中央区日本橋室町1-4-1 電話03-3241-3311

 

◆大槻 洋介 さんのプロフィール

  第1回  ~全く未知の世界に興味を持ちました~ 
 (最後に記載してあります。)

本日もご訪問下さいましてありがとうございました。

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