彫刻家 安藤英次さん 第5回~必ず頭のどこかに制作中の作品のことがあるということ | みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

生命礼賛をテーマに彫刻を創作。得意な素材は石、亜鉛版。
クライアントに寄り添ったオーダー制作多数。主なクライアントは医療者・経営者。
育児休暇中の2011年よりブログで作家紹介を開始。それを出版するのが夢。指針は「自分の人生で試みる!」

みなさま こんにちは。

彫刻工房くさか 日下育子です。


今日は素敵な作家をご紹介いたします。

彫刻家の安藤英次さんです。


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

安藤英次さん


前回の彫刻家 織本 亘さんからのリレーでご登場頂きます。

  彫刻家 織本 亘さん 第1回  第2回  第3回   第4回 

 

安藤英次さん 第1回  第2回  第3回   第4回

 

 
第5回目、最終回の今日は、
社会との接点についてと「あなたにとってアートとは?の問いに
お聴かせ頂きました。

 
お楽しみ頂ければ幸いです。


************************


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-1998tamago


「たまごのなかでおこっていること」 1998
砂岩・大理石
15×15×35cm


日下
安藤さんは「たまごのなかで おこっていること」という
とても根源的で、普遍的で、本質的なテーマに長年
取り組んでいらっしゃると思います。


そういう大テーマで作り続けていらっしゃいますが
安藤英次さんご自身の人生と共に
社会でもいろんな事象が置きますよね。

そういうものの影響の受けたりはしますでしょうか。


例えば世の中の出来事であるとか
近頃であれば自然災害であるとか
そういったまわりから起こって来るものによって
制作に向き合う気持ちとか
同じテーマでも込めようとする想いが変わってくるとか。



安藤英次さん
多くの作家の方が、例えば 3・11 の震災や津波、原発事故、
それに伴うさまざまな問題に、生活面でも、あるいは制作の上でも、
影響され、また自ら取り組んでおられると思います。

安藤栄作さん(※)なんかはそういうところをお持ちだと思います。
彼は、いわきの海の近くに住まいとアトリエを持っておられました。
それが3・11の津波で、家族の命以外のものを、全て失ってしまった。

  

(※)安藤栄作さん



日下
そうでいらっしゃるんですか。



安藤英次さん
さらに、福島の原発事故の影響で、戻ることができない。
あれは、明解に、人為的ミスが原因で起きた大事故で、
いっこうに状況が改善される見込みが見えず、
重大な社会不安として日本全土に、暗い影を落とし続けています。
こういう事象は、ごく当たり前に作品のテーマに絡んでくると思います。


ただ、僕の場合、「たまごのなかで おこっていること」に
こういった問題は入って来ません。
もちろん生活のなかでいろいろ不安を感じたり、
この後に及んで、安全や安心よりも経済を優先しようとする人たちに
腹が立ったりすることはあります。


地球の上でしか生きていくことの出来ない我々地球上生物の、
生存そのものを脅かす「原子力」に頼ろうとする姿勢を、
なんとか方向転換して、一刻でも早く「原子力発電」というものを
なくしてほしい、という願い、というか、叫び、というか、・・・
祈るような気持ちが安藤栄作さんの作品からは、痛いほど伝わってきますし、
僕も、まったく同じ気持ちです。

事ある毎に、人にその話題を持ち掛けますし、
フェイス・ブックでも反原発の姿勢を取り続けています。


でも、僕は、「命」や「魂」をイメージするとき、社会とか
不安、憤りという生活に伴う事象が入ってきません・・・
というより、僕が「たまごのなかで おこっていること」で
イメージしている「命」や「魂」は、もっともっと奥底の、
静かな世界のことなのです。


本来、安藤栄作さんみたいに生活の中の、社会と関わる大きなテーマを
取り入れて制作し、発表するということはとても重要な事だし
とても羨ましく思います。

ただ僕には出来ないですね。



日下
はい。
ありがとうございます。
ありのままにおきかせ頂いて。


作家さんによって色々なスタイルがあると思いますが

私が書かせて頂いている記事の中では
どういうあり方が良いかという良し悪しではなく
ありのままに伝えて行くことで現在の美術の多様性を
面白さをお伝えしていこうと思っています。



安藤英次さん
安藤栄作さんは東松山市の丸木美術館で
展覧会をされています。


※ 丸木美術館


日下
そうですか。
良い情報をありがとうございます。





アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

たまごのなかでおこっていること 2011
黒御影
W 23×D 10×H 12cm




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-2011.2png

たまごのなかでおこっていること 2011
黒御影
W 23×D 10×H 13cm




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-2011.3png

たまごのなかでおこっていること 2011
黒御影
W 23×D 10×H 13cm





日下

安藤英次さんご自身の近年の活動内容、
今後の発表予定などございましたら、
お聴かせ頂けますでしょうか。



安藤英次さん
昨年の12月に(※1)ギャラリーなつか 

View‘s view小品展に出品しました。


今年は10月にNOW ART展というグループ展に出品します。
さいたま市の(※2)エル・ポエタ と、櫻守(さくらもり)  というギャラリーです。

 


日下
ありがとうございます。
次回のリレー作家をご紹介いただけますでしょうか?



安藤英次さん
彫刻家の小渕俊夫さんを紹介します。 




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-2011.4png

たまごのなかでおこっていること
黒御影・大理石
W 15×D 14×H 29cm



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-2011 .5png


たまごのなかでおこっていること
黒御影・大理石
W 17×D 12×H 30cm


日下
では最後に
「安藤英次さんにとってアートとは?」
ということをお聴かせ頂けますでしょうか。



安藤英次さん
いつも頭の中に作品のことがある、という意味でいえば
生活そのものだと思います。
たつきの道には、なりませんが・・・。


作家活動のみで生活している方もいますが
ほとんどの方がなにがしかの仕事をしながら
作家活動をしていると思います。

普段、いろいろな用をしていても必ず頭のどこかに
制作中の作品のことがある、ということです。



日下
その作ろう、表現しようというもの、作品のために
アンテナの立たった状態でいるために何か
気をつけていらっしゃること、
心がけていらっしゃることはありますでしょうか。



安藤英次さん
出来るだけアトリエに行くようにしています。
アトリエまで、自宅から車で40分ぐらいかかりますが
作品を眺めているだけ、
というときでも行くようにしています。
どうしても行けないときは、
イーゼルに向かってドローイングを進めます。



日下
そうですか。
そういう、自分の打ち込む事に
いつも心身離れない環境に置くことが大切なのですね。

今回は素晴らしいお話をたくさんお聴かせ下さって
ありがとうございました。



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-2004natsuka.2png

「たまごのなかでおこっていること」    2004
黒御影・大理石
33×33×65cm

*************************


今回、織本亘さんのご紹介で
初めて、安藤英次さんとお話をさせて頂きました。

安藤英次さんの「たまごのなかでおこっていること」というテーマの作品群に
とても共感を覚えました。


四角いフレームに象徴していると仰るたまごの殻とたまごの関係性が
私という個とそれを取り巻く世界に重ね合わせて感じられます。

安藤英次さんのホームページ表紙のメッセージには
「人の心の奥底は、海の底がつながっているようにつながっている」
とあります。


その作品をご覧になる方々それぞれが
作品を通して、そんな想いを体験されるのかなぁと思いました。


みなさまもぜひ安藤英次さんの作品を
直接ご覧になって見てはいかがでしょうか。


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◆安藤英次さんのホームぺ―ジ



◆ 安藤英次さんが昨年の12月に

  View‘s view小品展に出品されたギャラリー 

   ギャラリーなつか   

   http://www.facebook.com/gallerynatsuka



◆ 安藤英次さんが今年10月に出品されるグループ展

  NOW ART展

  会場:  POETA(エルポエタ)
        埼玉県さいたま市大宮区高鼻町2-285-8
        TEL 048-644-9877

 

        櫻守(さくらもり)

        埼玉県さいたま市大宮区堀の内町2-57 
        TEL 048-642-7859





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アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-2002seiroka.2png

「たまごのなかでおこっていること」 2002
黒御影・大理石




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-2005-65tamagono_c

「たまごのなかでおこっていること」 2005
黒御影・大理石
24×40×29cm




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-2006 tamago

「たまごのなかでおこっていること」 2006
樟・大理石
33×33×53cm




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-2008 tamago 1

「たまごのなかでおこっていること」 2008
黒御影影・大理石
16×16×21cm



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-2010 tamago 1

「たまごのなかでおこっていること」 2010
黒御影・大理石
16×16×16cm