彫刻家 加藤裕之さん 第4回 ~彫刻して生きる! | みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

生命礼賛をテーマに彫刻を創作。得意な素材は石、亜鉛版。
クライアントに寄り添ったオーダー制作多数。主なクライアントは医療者・経営者。
育児休暇中の2011年よりブログで作家紹介を開始。それを出版するのが夢。指針は「自分の人生で試みる!」

みなさま こんにちは。

彫刻工房くさか 日下育子です。


今日は素敵な作家をご紹介いたします。

彫刻家の加藤裕之さんです。


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館
加藤裕之さん 


前回の彫刻家 渡辺 尋志さんからのリレーでご登場頂きます。


  彫刻家 渡辺 尋志さん 第1回目  第2回目  第3回  第4回 




第4回目の今日は、前回社会との接点との続きで、

ご自身の作品をどんなところで味わって欲しいかというお話や

今後の発表予定、リレー作家の紹介をして頂きました。


また、最後に加藤裕之さんにとってのアートとは?という問いに

お答え下さっています。


お楽しみ頂ければ幸いです。


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4.社会との接点について(続き)



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

2012「空をゆくもの」



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館


2011-2 「追憶の稜線あの丘まで)」




アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館


2010 「森へ」





日下
加藤さんはホテルで来客に向けて展示をされているそうですね。
そういう展覧会とも違う場や空間で見せるということについての
想いはおありでしょうか。



加藤裕之さん
やはり違いますね。
展覧会で未発表のものを見せるのと違って、
新制作展で見て頂いた作品などを                   
お貸しするような形でやっているんです。


支配人さんとは古くから知り合いだったものですから        
そのままお蔵に入ってしまうのも何だからということで。



日下
とてもいい取り組みですよね。



加藤裕之さん                   
作品が人目につくというのは、蔵に入っているより           
はるかに作家としてはありがたいことだし
彫刻だけではなく平面も結構置かせてもらっているんですよ。


その平面作品は遊び的な、実験的なものが沢山あるので、        
レストランやロビー、エントランスに飾らしていただいています。      

それは僕にとっては実験的な空間で、                 
楽しくやらせていただいています。                  



日下
私自身は、これからは生活空間で、普通の方に
作品を楽しんでいただけたらいいと思っているので、
こういう取り組みはとっても素晴らしいなと思います。  

   

加藤さん
はい、そうですね。
もっとそういう機会があればいいなぁと思ったときに、
住宅展示場とかがありますよね。モデルルームとか。         
ああいう所でできないかと思っています!

モデルハウスのなかの下駄箱の上に                  
ちょっと小さい彫刻がおいてあったり、
リビングの壁に彫刻がおいてあったりとか
できないかなぁと思っているんですけどね。

ちょっとまだそういうつながりがないものですから            
できないでいますけど。



日下
そうですか。
建築家の中にも彫刻があると
空間が引き締まって、よりよく見えるということを
ご存知の方がいらししゃるようですものね。

そういうことがもっとできるといいですね。



加藤さん
そうですね。
そういう意味では、彫刻とか絵画とか美術品とかが、
美術館やギャラリーだけにあるわけじゃないというか、          
生活空間の中でも、そのあり方を提示できればいいかなと         
思いますけどね。              


日下
はい。
それでは加藤裕之さんの今後の発表予定としては
ホテルと個展と新制作展ということですね。



加藤さん
新制作展は公募展ですが、
素敵な彫刻家が沢山いて、若い頃                   
彫刻家って格好いいなって思った展覧会です。  

         

新制作というのが新鮮で刺激になっていて
長くやってこれたのもそこで発表して叱咤激励されて
来たからというところがあるので、
そういう意味では長く、大事にしていきたいと思っています。      

だだそこはそこで、グループ展のようなものですから、
個展も大きなことは出来ませんが
続けていきたいと思っています。



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

ギャラリーなつかROUND2011 023



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

ギャラリーなつかROUND2011 022



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

ギャラリーなつかROUND2011 028



日下
次に紹介して下さる方をご紹介いただけますでしょうか



加藤裕之さん
織本亘さんです。                           
同世代で多摩美出身で新制作にも出していますが
苦労もお有りのようなので、                 
頑張ってもらうためにもご紹介したいと思います。



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

2010 「さんかくやま」



日下
では最期の質問ですが
加藤裕之さんにとってアートとは?



加藤裕之さん
大きいくくりですね。



日下
あるいは加藤さんにとって、彫刻とは? 表現することとはと
置き換えて頂いても良いかと思います。



加藤裕之さん
そういうことでしたら、自己表現、或いは自己実現の世界ですね。           
彫刻して生きる!の一言ですかね。

何のためにではなくて、彫刻して生きるなんです。単純ですが。

アトリエにいる時間が何よりしあわせです。
実際、制作していなくても、椅子に腰掛けてぼーっと物思いに耽っている時間も
いいもんです。
楽しくなけりゃやりませんね。
 

                                    
日下
それは大切なことですね。



加藤裕之さん
それからアートは大衆化じゃないですけど
軽くなって、人が触れ合えるようなものにはなっていますけど
僕らがやっているようないわゆるファインアートも、
もうちょっと目を向けてくれるといいのになということは
あります。                               



日下
加藤さんが目指していらっしゃる
自己実現とは、どのようなものか
もしよろしかったら
お聴かせいただけますでしょうか。



加藤裕之さん
今、自分の気持ち良いかたちとか
かたちに表せたら幸せじゃないですか。・

そのことに対して共感を持ってくれる人がいたら
もっと幸せですよね。


だからそういう意味では
自己実現したこと、自己表現したことが                   
人とつながるようなことになると素敵だなと思っていますけどね。  

それがみなさんとつながって
作家と見る人とが共感し合える何かが生まれたりするのが
一番豊かだなと思いますけどね。


どこかで作る人と見る人が

分かれちゃってるような気がするので。
それはつまらないなという気がします。


日下
そうですね。



加藤裕之さん
震災のあたりでは、
絆、絆ってみんな言ったじゃないですか。


絆って言って、みんなそのことを意識したわけですけども
アートの世界でも、どこかでイメージを共有したり、
その形、色、要素でいろんな人が共感する
何かが生まれたりするといいなぁなんて
まぁ幻想ですけどそんなことを思っています。
小さい幻想ですけど。



日下
そうですね。そういうものが・・・。(共感)



加藤裕之さん
本当はホテルの展覧会も震災のチャリティーのような
かたちでもやりたかったんですけども
事務的な手続きや処理、会計やら何やらと出てくるので
止めましたけど
何か本当はお手伝い出来ることがあればと思っています。


新制作展では震災のチャリティーの作品を
献品したりはしていました。


けれども個人的には、出来ることってそんなに多くなくて
やれないけど、本当はそういうことも、
作家としてもっと模索すれば良かったかな
なんて思っていますけどね。



日下
でも、そういう風に思っていらっしゃることが素晴らしいですよね。



加藤裕之さん
いいえ、本当に言い訳ですけども。



日下
震災ではご自身の方は大丈夫でしたか。



加藤裕之さん
僕の住んでいたところは内陸なので
自身の被害も津波の被害もほとんど無くて
大丈夫でした。
渡辺 尋志さんのところなんかも大変だと思いますけども。



日下
そうですね。
これから長い時間がまだまがかかりますからね。



加藤裕之さん
だから、本当はもうちょっと大きな
影響力のある作家になっていればと
思いますけどね。


グループ展やなんかも出来るんだろうなと思って
悔しいと思っていました。
もちょっと頑張ろうかなと思っています。



日下
そうですね~。
私自身も作り手のはしくれとして、
まだ何も力のあることはできないし、何も言えないのですが
どこできっかけがおとずれるかも
わかりませんので、
きっと、これから、と思っています。




では貴重なお時間をありがとうございました。





アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

羽化する形2 (2000制作)




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今回、渡辺 尋志さんのご紹介で
初めて、加藤裕之さんとお話をさせて頂きました。


岩手の風雪のある風土を純度の高い抽象彫刻に
されている作品がとても素晴らしいと感じました。


楠という木の素材感を活かしながら
冷たい、しかもかたちの無いものを、
温かみのある造形に昇華していらしゃいます。


その温かみというのは、木からくるものだけではなく
ご自身では大学で保育士養成など、
人間を培う造形表現を研究し、実践していらっしゃるという
人間的な温かさからもきているのだろうと感じました。


加藤裕之さんの作品は、東京池袋のホテルグランドシティ
でも常設されています。


みなさまもぜひ加藤裕之さんの作品を
直接ご覧になって見てはいかがでしょうか。


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◆ 加藤裕之さんの個展

  加藤裕之彫刻展 2013,5,7(火)~5,18(土)
  ギャラリー澄光
 


◆ 加藤裕之さんの過去の個展情報
   ギャラリーなつか
  


◆ 加藤裕之さんが掲載されている 新制作展ホームページ
  
  ⇒ 
http://www.shinseisaku.jp/member/profile/sculpture/kato_hiroyuki.html
    http://www.shinseisaku.jp/sculptor/news/news100227_2.html


◆ 加藤裕之さんの彫刻が展示されているホテル
   ホテル グランドシティ
  


◆ 加藤裕之さんご自身の制作に関する言葉 










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