そらそうでしょ、カナダの誇る天下のテサモエ組が優勝争いに絡んでいるのだから。
ヴァーテュー&モイヤー組は"Canada's Sweethearts"(カナダの恋人たち)って呼ばれるくらい、こちらでは愛されています。オリンピックですでに金メダルを獲っている、ということだけでなく、ほんの子供の頃からずっとペアを組んで踊ってきているのを皆が知っているので、一緒に成長を見守ってきた、という気持ちになるのだと思います。
皆さんもご存知かと思いますが、テサモエたちはアメリカのライバル、メリチャリ(メリル・デイビス&チャーリー・ホワイト)たちと同じデトロイトのリンクで練習しています。しかもコーチまで一緒。
とてもじゃないけど考えられない状況ですよね。
結弦くんはハビエルと同じクリケット・クラブですが、それとはちょっと違う。たとえば浅田真央とキムヨナが同じところで、っていうのに匹敵するかも知れません。
それほどこの二組はここ数年、火花を散らしてきているのです。
フィギュアにおいて、アイスダンスほどジャッジングの影響が大きい種目はないと言います。
4年前のバンクーバー五輪ではテサモエが優勝している。だから今回はメリチャリが優勝するだろう、そのためにすでに連盟とジャッジの間で色々と取り決めがあるらしい、というきな臭い噂が浮上するのもあまり驚きません。
そこで我らがディマンノ女史、昨日は傑作な記事を書いています。
Virtue-Moir suspicious second after Olympic ice dance short
ヴァーテュー&モイヤー組、オリンピックのSDが終わって怪しい二位
この記事では、要するにショートダンスの演技が終わった時点でテサモエが二位、メリチャリが一位であったことに対して疑問を呈しているわけです。
ディマンノ女史によると、テサモエのSDは完ぺきだった、なのにやたらスコアが低かった。
彼女は「これまで書いたものを見てもらったら明らかだけど、私は無分別に自国のアスリートを贔屓するタイプじゃない」と言い置いた上で、
If the fix is not in against Tessa Virtue and Scott Moir, then I’m the Princess of Wales.
これでテッサ・ヴァーテューとスコット・モイヤー組を陥れるための八百長が仕組まれていない、と言うんだったら、私は英国皇太子妃だわよ。
↑ これは英語の言い回しで、誰が見たって違うって分かるでしょ、という意味です。
(ディマンノさんの容貌からすると、よけい可笑しい。)
何から何まで、ケチのつけようのない出来でした。
音楽が止まると、スコットは本当に嬉しそうに飛び跳ねて、ジャッジへのアピールを差し引いても自分たちの出来栄えに大満足していることが伺えました。
そして解説者たちも大騒ぎ。これは良かった、良い点が出るだろう、とカートもキャロルもはしゃぎ、ワクワクしながらスコアを待ちました。
ところが出たのは彼らのPBにも及ばない76.33.
(ちなみにこれに対して、その後のメリチャリの出したのは世界新記録の78.89でした)
咄嗟にカートは(いつものように正直だから)
I know what they did, they know what they did, everybody knows what they did
と言いました。
「ぼくも、彼ら自身も、見ている皆も、彼ら(の演技内容)が素晴らしかったのは分かっている」
そして「このスコアはそれを反映していない」と言いたかったわけですね。
聞いてて面白かったです。
ちなみにこのブログでは男子SPの時のカートさんたちの解説を聞き取ってご紹介しましたが、フリーに関してはやる気が起きていません。
なぜならカートたちもあのフリー競技については、特に結弦くんとパトリックの部分においては、とてもテンションが低かったからです。
珍しくお通夜っぽい雰囲気でした。
終わった後、カートはこの大会を
「まるで何かのウィルスが蔓延して、皆がそれにやられちゃった、って感じ」
と称しました。
それでも最後のフラワーセレモニーの時にはカートが結弦くんのことを
「初めて(ユヅルに)会った時、それまで出会った選手の誰も持っていないものをこの子は持ってる、って思った」
という初印象を語っていました。
(つづく)