EARLY LAST DAYS 松尾耕 | Dance Company MKMDC

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Dance Company MKMDC主催の本公演やORICHIKAに関する情報をお届けします。



Dance Company MKMDC 第3回公演
Second WIND 最終章『EARLY LAST DAYS』
終演いたしました。


今年度はMKMDC15周年記念ということで、
今までよりたくさんの方に本公演に出演してもらい、
たくさんの方に観てもらえる環境で行いました。


そのぶんの苦労もありましたが、
やはり多くの方々に関わってもらい良かったと思っています。
観にきてくださった皆様。
出演者・STAFFを始め、関係者の皆様、
本当にありがとうございました。



人間が生で行う表現
にとって、「距離」という要素はとても大きな影響を持っています。
いままで小劇場空間で本公演を行ってきた我々にとって、
700人キャパのホールという空間は、まるで別世界でした。
遠い距離で人間をどう伝えるか、ということをずっと考えていました。
そして、その場所でダンスを通して何を伝えるかを。


蕨、という劇場を選んだのも、
「伝わりやすい」という点でずっと目をつけていた劇場だったからです。
袖やホリ幕を全て飛ばし、高さを出した劇場空間は、
1番後ろの席から見ても吸い込まれるような空間ができました。
アート要素を減らし、エンタメ要素を増やし、
より壮大に、そして群像での見せ方を増やしました。
総勢110人で駆け抜けるシーンも創り、
言葉を用意し、目の前のダンスに対する感性を提供しました。


アンサンブルダンサーは、
きっと自分たちの置かれる立場と意外な責任の大きさに翻弄されもしたでしょう。
でもいつのまにかちゃんと本編の一部になっていました。
一統さんが君たちにあげた照明がいつも素敵だったのは、ここで君たちが活躍することの
大切さをわかっていてくれたからです。
メインダンサーみんなも感謝してたよ。ありがとう。

公募ダンサーのみんな、
本編にも関われず、風と証とも関われない彼らは今回とても難しかったと思います。
でもみんなが進化し、舞台上を生き、繋いでくれたからこそ
この公演に最後の風が吹きました。
大切なのはクライマックスではないんです。そこまでの課程を繋ぐことなんです。
アンサンブル、公募、供にこの作品でちゃんと生きようとしてくれてありがとう。


そしてメインダンサー。
どんな風景を見せたら、この子達は人生の最期を想像できるだろう、と考えていました。
それは死、そのものではなく、生のきらめきのようなものだと思いました。
生きる衝動を感じればこそ、終わることの実感も生まれる。
当初90分を予定していた上演時間は、120分にせまるほどの、たくさんの風景に増えました。
メインダンサーたちがこなさなければいけない振りの量は、膨大な量だったと思います。
苦しんでいる姿も見かけたけど、苦しまなきゃ成立しないとも思ってました。
とにかく、
いつもすぐ傍で供に駆け抜けていてくれた、誇れる戦友たちです。
願わくば、この子たちの人生に最後の風が吹くとき、
この公演で掲げた証のことを思い出してくれればと思います。
ほんとうにありがとう。


女優・まりぃとは出会ってからも長く、だからこそ遠慮無く日々演出を変えていたんだけど、
全て対応してくれました。
ダンス公演なだけに言葉が勝ってもいけなく、台本変えまくりました。
最終的にね、演出いらないなぁと思わせられることもあって。
結局自然とダンサーと役者が影響し合うんですよね。見ていて安心しました。
まりぃ、ありがとう。


vagueさん、MKMDC初めてのオリジナル楽曲。
ダンスは言語表現ではないので、どんな詩を創ればいいのかというのが最大の焦点でした。
主題歌が最後に流れて、ああ、と思えなければいけない。
でも台本も全部呼んでくれて、ちゃんとこの公演に合う詞をね、創ってくれたんです。
MKMDCのキャッチコピーである「さぁ、踊りなさい」も。
出演者に愛される曲になっていたのも、嬉しかったです。素敵な曲をありがとうございました!


MKMDC STAFFチーム。
ハードなスケジュール・内容に対してトラブル無しでこなしていただきありがとうございました。
余談ですが、
風なんて送風機借りれば誰でも起こせるんだけど、出力30%~50%の領域をつかいこなすようになり、
機材の騒音をシーンに合わせてコントロールしてたからね。まさに送風機の神たちw。
たくさんの安心、をくれてありがとうございます。



劇場に入ってからは、
空間と言葉とダンスとのバランスとの戦いでした。
ずっと走っていたように思います。
調整を繰り返し、毎公演、距離感の違うステージになりました。
千秋楽、最後は前のほうで見ました。出演者のみんなの空気を感じたかったからです。
終演直後、客席後方に戻ろうとしたとき、
多くの人が泣いていたことに驚きました。

たくさんの感謝が尽きません。



この風景が見えるかい。
これはね、誰かが生きた証なんだ。
こうやってみんな、何かを残していく。

舞台花道に作った、布の巻いてある流木は、墓標のイメージでした。


最後に、
終演した途端に降り始めた雪、
Seconmd WIND の風が、雪雲も止めていてくれたのかな、
とロマンティックなことを言って終わろうと思いますw


ほら、風が吹いているよ。
もう行くんだろう?
夜が明けたから。


また、「おかえりなさい」と言う日まで、ね。



ありがとうございました。


松尾耕