サムライ流!スパイラル・ツリー簿記学習法の後藤充男(みちお)です。

こんにちは!


5月29日の公認会計士短答式本試験が近づいてきましたね。


そこで、今回は、私の公認会計士短答式合格体験を交えて、5月29日の受験者へのメッセージを書きたいと思います。


結論は、

あまり、「まず短答合格!まず短答合格!!」とならないことです。


私は、平成9年と10年に、連続で公認会計士短答式試験に合格していますが、そのときは、ハッキリ言って、企業法(当時は商法といった)の判例の暗記と模試等を受けて、「取る所と捨てる所を瞬時に区別する」という練習をする以外は、特に「短答に特化した勉強」なるものはしませんでした。


当時と現在は出題傾向が違うかもしれませんが、「1~5のうち、一つだけ選ぶ」という本質的なことは変わらないと思うので、同じかと思います。


よって、あまり、「まず短答合格!まず短答合格!!」とならず、

あくまで論文合格を想定して勉強してください。


それが優れている考え方だということを、今の受験界の通説とは違うかもしれませんが、私も短答式試験は合格している(論文式は合格していないので、論文式合格の秘訣は論文式全科目合格者のI君 に任せます)ので、それなりの説得力はあると思う以上、以下、私見を書きます。


私が初受験の大学3年の20歳(現在39歳)ときは、短答式試験は存在せず、全員論文式試験からの受験でした。


その当時は、

結構、論文式1年で1発合格者はいました。


公認会計士論文式全科目を、たった1年で合格する人がたくさんいたのですよ?


信じられますか?


嘘だと思うなら、20年以上前に公認会計士試験に合格した人に聞いてきてください。


きっと、「事実です」というでしょう。


よって、今は、「まず短答合格。次に論文合格」が通説となっているようですが、私は、この説に異論を唱えます。


短答は、論文の勉強を通じて、勝手に出来るようになっていく性質を持っています。


少なくとも、私はそうでした。


私の時代は、各10問×5科目(簿記+管理会計(当時は原価計算)+財務諸表論+監査論+企業法)=50問を、3時間で一気に解くといった形式でした。


勉強が進んでいないときは、勘で当たることもあるので、20問~30問の間でウロウロしていましたが、勉強が進むと、一旦、点数が下がりました。


しかし諦めずに勉強を勧めると、グーンと点数が伸び、最終的には40問程度は毎回取れるくらいになり、2年連続合格しました。


なぜ、こういう現象が起こるのでしょうか?


それは、

或る程度勉強が進むと、知識が多くなって行きますが、あいまいな知識のままなので、そのあいまいな知識が邪魔をするのです。


つまり、初学のときは、知識が少ないので、「2~5の枝は分からんけど、1の枝は正解だから、1が解答だ」と判定できます。


しかし、中級者になると、「1の枝は正解なんやけど、3の枝はこの前講義でやったし、正解のような気もする…。ん?よく読むと、5の枝も正解かも…。あああっ!訳が分からなくなってきた!」となります。


このときに、一旦点数が下がるのです。


そして、諦めずに勉強すると、本当の意味での上級者になり、「1の枝は正解や。ふふん、3と5の枝は、この表現で受験生を引っかけようとしとるな。あまい、あまい!俺はそんなとこでは引っかからんよ」となり、いつも高得点が取れるように安定するのです。


もちろん、以上のようなプロセスは、一部の天才肌タイプの人は違うかもしれませんが、私を含めた凡人タイプには当てはまると思います。


また、

短答式は、たまに、全く勉強していない初学者が受かるときがあります


私は、Sさんという方が受かったのを目の当たりにした時は、愕然としました。


Sさんは、2年本科でしたが、何と、初年度の短答で合格し、周りの受験生を驚かせました。


また、入門生だったMさんは、たった数週間で、一気に校内トップになりました。


どうやら、短答式と言っても、日本語の問題なので、「嘘っぽい表現は×にする」という法則だけで、論点自体知らなくても、わかってしまうようなのです。


まあ、これは天才肌のやり方なので、凡人の私には真似できませんでしたが。


それはさておき、公認会計士試験は、短答式がメインではなく、あくまでも論文式がメインです。


つまり、

短答式は途中経過であって、論文式に合格しなければ、公認会計士になれません。


とすれば、初めから論文式合格を想定した勉強をした方が、効果的かつ効率的だと、私は考えましたし、当時は、そもそも短答式はなかったので、みなそうでした。


そして、

短答式導入され、1年で論文式まで合格する人が激減しました。


私は、仕事柄、現在の公認会計士試験の問題を参考図書として購入して研究しますが、ハッキリ言って、現在の問題は基本的な問題が多くなっています。


私のときは、たとえば、簿記で笠井先生対策とかいって、その先生独自の理論で出題されたので、試験直前には「今まで勉強してきた簿記は何だったんだ?」と思うほど、偏った出題でした。


ある年の管理会計の本試験は、2問中1問が「原価について述べよ(1,000字程度)」といった類の問題だったときもあるのですよ?


私は、ぶっ飛びました。


しかも、合格率は常に6%前後。


ほとんどの人が落ちる試験で、ほとんどの方が無職でがんばっていました。


当時と比べては申し訳ありませんが、

みな論文を想定して学習し、論文が出来る人は、みな短答も出来ました


そのため、あまり「まず短答!」と考える人は少なく、論文を中心に学習していたのです。


しかし、短答が導入され、「まず短答!」と考える人が増えてきて、そのニーズに合わせた大手簿記学校が、そのようなコースを設定し始めたのだと思います。


商売的には、「まず短答!」と考えた方が、リピートさせやすい以上、顧客一人あたりの生涯獲得収入が増えるので、有利に動くのです。


しかし、良心的な簿記講師等は、「まず短答!と考えてしまうと、結果的に受験期間が延びるから、常に論文式を想定した学習法の方がいいのに…」と内心は思っているはずです。


短答特有の細かい論点は直前期に勉強しなければならないかもしれませんが、それ以外では、常に論文式を意識して勉強した方が、戦略的です。


そして、常に論文式を想定して学習すれば、短答は通過点なので、いちいち短答式試験で緊張することが少なくなります。


その結果、あまり緊張せずに、模試の延長として短答本試験を受験できるので、最大のパフォーマンスを発揮できるのです。


また、

短答の解答速報会や自己採点は、無視した方がいいと思います。


なぜなら、そんなことをやって、点数が高ければいいですが、合格ラインぎりぎりだったり、不合格濃厚となった場合、その後の論文式の勉強に精が出ますか?


「また短答だ…。いつになったら論文の勉強を開始できるだろう…(涙)」となってしまい、堂々巡りで、ついには、最悪諦めてしまいます。


私は、短答の解答解説会や自己採点など、一回もやったことがありません。


短答が終わったその日から、普段と変わらず論文の勉強をし続けました。


その結果、論文式には合格できませんでしたが、商法の先生のご指導のもと、半年で1,000,000字の論文作成練習をさせていただき、そのお陰で、高校時にビリだった論文作成能力を培うことができました。


今、このときに培った論文作成能力をベースに、ブログも書けるようになりました。


また、企業法や民法の論文対策の知識は、簿記を分かりやすく説明するためにとても役に立ちますし、論文の財務諸表論の流れが理解できていないと、簿記講師をするときにも、理論的にわかりやすい説明などできずに、「これは暗記してください」となっていたことでしょう。


これでは、全国講演も夢のまま終わっていたでしょうが、今はそれも現実化 し始めてます。


よって、

私にとって、論文式の勉強で得た論文作成能力は、その後の人生において、物凄く役にたっていると同時に、私の人生を助けてくれています。


おそらく、短答式合格レベルでは、士塾の創業も無理だったでしょう。


しかし、短答に合格できないため、論文の勉強もせず、ずっと短答の勉強ばかりして、論文を1回も受験すら出来ずに諦める受験生の、何と多いことか!


何百万円も投資して、何千時間という時間も投資して、短答の知識のみと日商簿記1級合格程度では、もったいなくありませんか?


論文の勉強、つまり、論述作成能力は、公認会計士受験以外でも、とんでもなく活かせる能力なんですよ!


是非、「まず短答!」と考えるのではなく、「常に論文合格を想定」する考え方にシフトしてください。


そうすれば、あなたの人生が開ける可能性がグッと広まります。


あと10日程度となりましたが、この時期は新しい論点には手を出さずに基本論点の確認に終始して、いつも通り淡々と勉強し、5月29日は「あくまで論文合格のための通過点に過ぎない」という意識で受験し、解答チェックや自己採点などやらずに、夏の論文式を想定して突き進んでください。

合否が確定するまでは、決して諦めずに、引き続き論文の勉強をしてください。


それが、あなたの人生を助けることになります。


長文となりましたが、以上が公認会計士短答式合格者としての立場からのメッセージです。


あなたの公認会計士受験にお役に立てれば幸いです。