second scene137 ~Episode・Shinozuka7~
携帯電話をとじカウンターへとむかった。カクテルをなめている貴子の背中に「帰る」とつぶやく。貴子が不意をつかれた面差しで振り返ってきた。
「なによ突然」
「もうふたりで会うのはよそう」
「どういうこと?」
「好きなやつがいるんだ」
「きいてないわよ、そんなこと」
「だから今いってるだろう」
「まさか、いまからその相手に会いにいくっていうんじゃないでしょうね」
「そうだ」
「ちょっと」
「すまない」
「あきらめないわよ」
「……おまえな」
「どうせ、半年もすれば別れるに決まってるんだから」
「半年どころか、今夜ふられるかもしれない」
「あらステキ。雅人をふる女がいたなんて」
財布からカードをとりだし「すまないが」といって歩きだす。背後から貴子が恬とした口調でいった。
「ふられたら、その足で部屋にきてちょうだい。たっぷり慰めてあげる」
肩をつぼませ、おもわず吹きだす。
いい女だ……。
いま貴子と恋をしたら、きっと豊かな時間を共有できるだろう。だが駄目なのだ。いまは瞬意外の相手など考えられない。あの切なさを秘めた一途な瞳を片時も忘れられない。堕ちろというのなら、とことん堕ちてやる。でなければ同性に恋をしたりしない。譲れない恋など自分とは無縁のものだとおもっていた。結果がどうであれ、いまは瞬にめぐりあえたことに感謝したい。
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