second scene136 ~Episode・Shinozuka6~
瞬が貴子にたいして嫉妬らしい感情を抱いていたのは知っていた。
貴子には黒岩親子について、それとなく調べてくれるよう頼んでいた。それだけだ。他意はない。たしかに大学時代、貴子と交際をしてはいたが十年以上も前のことだ。貴子に友情以上のものを感じることはないし今後もそれ以上の関係になることはない。
俺もガキだな……。
もっと嫉妬してみろと心の中でほくそ笑んでいたのだ。あの冷静で媚びない男の心を乱してみたい。捨てないでくれと言わせてみたい。悪い癖だ。つねに上位にいた学生時代の恋愛をいまだにひきずっている。
瞬の純粋さを弄ぶ結果になってしまったとわかったのは昨夜のことだ。北沢からかかってきた電話がすべてを物語っていた。
昨夜、篠塚は貴子と青山のカクテルバーで飲んでいた。
携帯電話の着信に見慣れないナンバーが表示された。でると相手は北沢だった。なにかしらの予感があったのだ。貴子に目配せして店の隅までいき用件をきく。北沢の抑えた声音が響いてきた。
「いま赤坂の料亭なんですけれど、徳川くん、酔ってしまって」
「料亭?」
「ええ。ふたりで食事でもとおもいまして」
「徳川は、かなり酔っているんですか」
「寝ちゃっているんですよ。介抱してもいいですか」
「介抱?」
「いちおう断っておかなくてはと思いましてね。……いったでしょう、手を出すなって」
「………」
普段の瞬であれば北沢とふたりで料亭にいくなど考えられない。しかも酒まで飲んでいるというではないか。後のないところまで追いつめてしまったのだろうか。とりかえしがつかない気がした。
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