緋友禅//北森鴻 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
緋友禅 (文春文庫―旗師・冬狐堂 (き21-4))/北森 鴻

¥600
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 「緋友禅」


 北森鴻、著。 2003年


 ゆっくりと、北森鴻さんの作品を読んでゆこうと思っています。
少しづつ…。
もう、増えることがないのが悲しいですけれど…。

 以前より読みたかった旗師・冬孤堂シリーズです。
ちょっとした勘違いで『緋友禅』から読んでしまいました。
しかし、支障はないようです。
━むしろ、改めて、最初からシリーズを追いたいと感じさせられました。

 旗師とは、店を持たない骨董商のこと。
フリーと言っても良いし、わけありと考えることも出来る。
主人公・宇佐見陶子はまさにフリーでわけありの骨董商です。
━そのわけとは『狐罠』に…ということになるのでしょうが、…未読です。

 30代、離婚歴ありの美女。
頭が切れて、勝気で情もある。
北森さん、こういう主人公を書くのが上手い。

 本人も好きなタイプの女性であったのであろうかと…。
まぁ、そのような事を考えてみたりする。
無論、私も好きであるということは論を待つまでもない!

 いや、私のことはどうでも良い。
こんなところでカミングアウトしている場合ではないのだ。
というか、皆、そんな事に興味はないと思う。
━どうせぼくなんて…。

 しかし、魅力的な主人公です。
骨董の世界の闇をゆく、冬の狐。
狐ってやつは酷薄に見えて、意外に情が深いですからね。
━恩返しもすれば、人間と情を通じて子をなしたりもする。
余談ながら、阿倍晴明の母は狐だしね。

 他の作品も良かったけれど、やはり表題作『緋友禅』が実にまとまりが良かったように思えます。
起承転結が小気味良く決まった秀作。
面白い短編のお手本みたいな作品だと思いました。

 こういうものを読むと嬉しくなりますね。
なんとも風情のある作品集。
北森さんらしい作品です。

 面白かったです♪