日本の昔話 (新潮文庫)/柳田 国男
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「日本の昔話」
柳田国男、著。 1983年
昨日の記事「眠り姫、官能の旅立ち」に皆様からコメント
を頂いて、思ったのですが、「アン・ライスだからきっと何
かあるに違いない」と、たぶん皆考えたのでしょうね。
う~ん、本好き人間って、同じような事を考えるのだなあ。
何か、可笑しいような、嬉しいような気分です。
うん、ブログも結構楽しいなあ。
さて、先日古本屋で「日本の民話」を見つけて購入。
柳田国男や折口信夫、民俗学関係の本は見つければ出来るだけ
買うようにしています。
「柳田国男全集」なんて、実に高価で買えないしねえ。
それに、全て読みたいわけでもないし、出物があれば買って
います。
これは、昭和5年版の現代語訳です。
全国の民話・昔話を収集し、素朴な原型のまま纏めたもの。
類型の整理や、分類などの作業をしていないので、実に土臭い
というか、爺婆の語るお話っぽいのが良い。
「クラゲの骨なし」「狸と田螺」などの有名どころもあれば、
知らない話も多い。
最初の「猿の尾はなぜ短い」などは、
猿の尻尾は昔、三十三尋もあったのだが、熊に「その尻尾を
河に浸けておくと、きっと魚がイッパイとれるよ♪」と騙されて、
冬の夜にそれをやったら、河が凍って尻尾が抜けなくなった。
で、思い切り力んで引っ張ったら根元で千切れてしまい、今
のような姿になった。力み過ぎたため、顔の色も元に戻らず赤い
ままだ。
と言うようなお話です。
実に面白いけれど、教訓も感動もない。
でも、そこが良い。
「婆ちゃん、猿の尻尾はなんで短いんじゃ?」
「おお、みー坊、それはのう・・・」
そんな雰囲気が伝わります。
囲炉裏を囲んで、あるいは、布団の中で、このような話を聞く、
そういう素朴な楽しみが確かにあったのだろうなあ・・・。
今となっては収集不能な話。
口伝文化はいつか散逸し、失われて行く。
おそらく、この時代あたりが最後の収集機会だったのでしょう。
実に面白い話が多かったです。
時折、引っ張り出して読み返したい一冊になりました。