日本の昔話//柳田国男 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
日本の昔話 (新潮文庫)/柳田 国男

¥380
Amazon.co.jp


 「日本の昔話」

 柳田国男、著。 1983年


 昨日の記事「眠り姫、官能の旅立ち」に皆様からコメント
を頂いて、思ったのですが、「アン・ライスだからきっと何
かあるに違いない」と、たぶん皆考えたのでしょうね。

 う~ん、本好き人間って、同じような事を考えるのだなあ。
何か、可笑しいような、嬉しいような気分です。
うん、ブログも結構楽しいなあ。

 さて、先日古本屋で「日本の民話」を見つけて購入。
柳田国男や折口信夫、民俗学関係の本は見つければ出来るだけ
買うようにしています。

「柳田国男全集」なんて、実に高価で買えないしねえ。
それに、全て読みたいわけでもないし、出物があれば買って
います。

 これは、昭和5年版の現代語訳です。

全国の民話・昔話を収集し、素朴な原型のまま纏めたもの。
類型の整理や、分類などの作業をしていないので、実に土臭い
というか、爺婆の語るお話っぽいのが良い。

 「クラゲの骨なし」「狸と田螺」などの有名どころもあれば、
知らない話も多い。

 最初の「猿の尾はなぜ短い」などは、

 猿の尻尾は昔、三十三尋もあったのだが、熊に「その尻尾を
河に浸けておくと、きっと魚がイッパイとれるよ♪」と騙されて、
冬の夜にそれをやったら、河が凍って尻尾が抜けなくなった。

 で、思い切り力んで引っ張ったら根元で千切れてしまい、今
のような姿になった。力み過ぎたため、顔の色も元に戻らず赤い
ままだ。

 と言うようなお話です。
実に面白いけれど、教訓も感動もない。

でも、そこが良い。

 「婆ちゃん、猿の尻尾はなんで短いんじゃ?」
「おお、みー坊、それはのう・・・」
そんな雰囲気が伝わります。

 囲炉裏を囲んで、あるいは、布団の中で、このような話を聞く、
そういう素朴な楽しみが確かにあったのだろうなあ・・・。

 今となっては収集不能な話。
口伝文化はいつか散逸し、失われて行く。
おそらく、この時代あたりが最後の収集機会だったのでしょう。

 実に面白い話が多かったです。
時折、引っ張り出して読み返したい一冊になりました。