神社の系譜・なぜそこにあるのか//宮元健次 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
神社の系譜 なぜそこにあるのか (光文社新書)/宮元 健次

¥735
Amazon.co.jp


 「神社の系譜・なぜそこにあるのか

 宮元健次、著。 2006年


 歴史の闇を、民俗学で埋めることは出来ない。
高田崇史氏のQEDに出て来る台詞だったでしょうか。
けだし名言、民俗学は考察の学問であり、論証するのみで
実証不可能である場合が圧倒的に多い。

 歴史の「何故」を考察したものは面白い。
論理のみとは言え、説得力のあるものを読み、「事実」が
ひっくり返る瞬間のあのゾクリとする感覚は堪らない。

 学生時代、友人と「超古代史研究会・ストーン・サークル」
と言う「サークル」を結成していた私です。
部員2名、活動は個別の読書と言う幽霊団体ですが・・・。

 それ以前に、小学生の頃には友人と洞穴に魔方陣を描き、
悪魔を呼び出す呪文を唱えた事もある。

文献は、もちろん、水木しげる氏の「悪魔君・千年王国」です。

 高校時代には、大台ケ原につちのこハンティング♪
むろん、洒落ですが・・・。
だいたい、つちのこハンティングの道具が釣り竿。
こいつで、ぶん殴ると言う名目なのだから、やる気の無いこと
オビタダシイ。

 それでも、小心な友人の一人は真剣にビビってました。
まあ、夜中の山道を蝋燭片手に登るのだから・・・無理もない
かも・・・。

 そんな輝かしい過去を持つ私ですが、妖しげな本好きはいまだ
に変わらない。
妖しくなくても、神話・伝承などは大好き。
三つ子の魂・・・だなあ・・・。

 ただ、妖しげな小説を読み続けると、やはりその根源に対する

興味が湧いて来ます。
で、時折、資料代わりにいろいろなモノを読みます。

 と言うか、読みたいだけですけどね。
で、この「神社の系譜・なぜそこにあるのか」は実に面白かった。
神社と自然暦の関係を主に書かれた本です。

 しかし、この本の情報量は半端ではなかった。
ほぼ、日本中の主な神社全てを網羅。
しかも、祀られている神の来歴・由来なども記載し、考察を加えて
います。

 ちょっとした「神社辞典」として活用出来るレベルですね。
わずか220Pほどの本とは思えない。
そして、本題の「自然暦」の考察と検証が、その周辺の神社や古墳、
自然神としての山などにまで及ぶ。

 その部分を簡単に説明すれば、その神社を中心として、その春分・
秋分、夏至・冬至の日の出、日の入りのラインにある神社や神聖視
される山の配置が自然の暦を構成する位置にある事を検証すると言う
事になるでしょうか。

 風水。
ある意味では、そのような考え方ですが、この本は「レイ・ライン」
などと言う「気の流れる道」について言及する目的は無い。

 ただ、古代人の思想として、そのような考えはあったであろうとは
述べている。
むしろ、宗教上及び、農作業などの年中行事を取り仕切る上でも、
この自然暦と言うモノは大切なものであったでしょう。


 これを、記載した神社全てに於いて調査した略図を添えて説明・
解説そして考察している。
読んでいて、圧倒されました。

 ただし、私も、実際に地図上で確認していないので、その精度が
どの程度のものかについては述べられない。
誤差の程度を調べない内は鵜呑みにには出来ないけれど、これは
なんとも面白い本に当たってしまったようです♪

 興味のある人はぜひ♪
手元に置いておくと便利(?)ですよ。
旅行の際、出先の神社の由来や祀られた神について蘊蓄を述べる事
が出来るというメリット付きです♪

 トンデモ本ではないので、メンドクサイと思う方には不向きです。
読み終えて、妖しいところに漂流する内容ではありません。

でも、面白いなあ、この本♪
手元に置きたい一冊ですね♪


 PS.特に、最近伊勢神宮などを巡られた方などにはね♪