ダイナマイトツアーズ//原宏一 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
ダイナマイト・ツアーズ (祥伝社文庫 は 8-3)/原 宏一

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 「ダイナマイトツアーズ」

 原宏一、著。 2004年


 「床下仙人」「姥捨てバス」に続いて、今回は本作をセレクト。
いささかエキセントリックでシニカルな作風が持ち味だと思って
いましたが、今回はハッピーエンドの直球勝負。

 ほーっ、こう言うモノも書くのだ。
うん、文句なしに面白いですよこの作品。


 雅也と麻由美の夫婦はろくに仕事もせず自堕落な日々を送って
いた。ところが新婚旅行中に雅也の父が急逝し、悠々自適生活が
急転直下、借金を背負うはめに!土地を売るために自宅を爆破
するも大失敗。大怪我を負いながらアメリカに逃亡した二人は、
ビルの解体を専門とする爆破屋・ボブと出会う。すっかりその
魅力にとりつかれた二人はボブに師事するが……。
 (裏表紙より)


 この雅也ってのが根性無しの馬鹿息子で、親父は一応小さなビル
を持ち、金物屋を経営しているのだが、この息子は専務の肩書など
を貰い、ブラブラしている。

 嫁の麻由美も、まあ、この男ならそこそこ金に不自由はすまい
と、打算で転がり込んだ軽薄馬鹿嫁。
どちらも、ろくなもんじゃない。

 借金取りに追われてアメリカに逃げるのだが、そこで目にした
爆破解体に魅せられ、一匹狼のボブ爺さんの弟子になる。
ボブに麻由美が弟子入りを志願する場面での台詞

 「ハズバンドが日本に帰ると言い出すかもしれない」
と言うボブに麻由美は決心する。そして言いきる。
「そのときは見捨てる」
「わたし、やっと覚悟ができた。もしこんどそんなことがあったら
、この人は見捨てる」

 この台詞にやられた!
何一つマトモな考えを持ったことの無かった麻由美が、頼る者の
ない異国で決意する。

 この瞬間に、この作品にハマった。
この作品は絶対に面白いと確信した。

 その後、雅也もこの道にハマり、直観を大切にするボブと麻由美
に対して、専門書の猛勉強により理論派への道を歩む事になる。
二人の修業は順調に行くと見えたが、そこに日本からの取立人の姿
が・・・。

 麻由美が脅しで構えた銃が発射されるのを見た(聞いた)雅也は、
根性無しの本領を発揮して一人で逃げ出してしまう。
しかし、その後・・・。

 駄目夫婦が道と師に出会い。
努力し、挫折し、友情と師の愛情で再起し、そして試練と陰謀を乗り
越え、最後には勿論ハッピーエンドが・・・。

 もうこれは黄金パターン、物語の王道、鉄板路線。
勿論、感動必至。
面白くない訳がない、と言う作品。

 深さには欠けるが、爽やかな読後感でした。
こう言う作品も良いなあ。
実に素直に読めて、楽しめました♪
麻由美がカッコイイよなあ♪