黒い家 // 貴志佑介 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
黒い家 (角川ホラー文庫)/貴志 祐介
¥700
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 「黒い家」


 貴志佑介、著。 1998年。



 ある日TVでさんまが、大竹しのぶと暮らしていたころ

の話をしていた。

「ほんまの"黒い家”やで~」

そう言って、げらげら笑っていた・・・。


…その日、私は「黒い家」を読む気力を失いました。

関西人にとって、さんまの笑いは呪力があるのです!


 あれから何年、この本は積まれたままだっただろう…。

鈴と空 さん初め、皆さんの記事を読んで、私もやっと読む

気力が湧きました。


 さて、内容はいまさらですが…。


 生命保険会社に勤務する主人公・若槻慎二はある日

顧客の家に呼び出され、そこで子供の首つり自殺の第一

発見者になってしまう。


 その後、死亡保険金が請求されるのだが、死因に疑問を

持った若槻は独自に調査を始める。

しかし、それが恐怖の日々の始まりだった・・・。


 無感情な子供の父親。 彼はかつて自分の指を切断して

保険金を詐取した疑いがある。

母親の方は、以前の婚姻時にも、子供の死亡保険金等を

受け取っている。

この母親もまた、無感情な人間に思える。

(この無感情な様子がまず不気味です)


 疑惑の塊のような夫婦だ・・・。

愛情どころか、心さえ感じられない。

かおりさん夫婦を見習えと言いたい!


 ストーリーが進展するほどに、不気味さは恐怖へと変わって

行く。 ディティールに凝っているので、実にリアリティがある。

保険業界における過去の事例を引用し、あるいはまた心理学

的アプローチにより、物語の背景が支えられる。


 さらに、必要最小限度に抑えられたグロテスクな場面。

臭いや極度な不潔感などが、神経をささくれ立たせる。

これらが、実に効果的に恐怖感をバックアップする。


 主人公が、彼らの過去を追い、事件の核心に迫るほど、

恐怖感が増して来る。

じわじわと・・・増してくる・・・、そして!

第一級のサイコ・ホラー作品だと思います。


 怨霊や妖怪など可愛いモノです。

やはり、一番怖いのは人間だな・・・。

この作品、本当に怖いです。


 今晩、ちびらなければ良いと願う私なのです。