長人鬼 // 高橋克彦 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
長人鬼 (ハルキ・ホラー文庫)/高橋 克彦
¥440
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 「長人鬼」


 高橋克彦、著。 2000年。



 う~ん、風邪気味のぼ~っとした頭で考える・・・。

以前、読んだかも・・・。

まあ、良いか♪


 しかし、高橋克彦さんの作品は、どうも当たりはずれ

が大きいですね。


 浮世絵シリーズなどは、実に面白いのだが、「竜の・・・」

シリーズ、特に続編などになると「竜の正体は、ロケットだ、

UFOだ!」と、「トンデモ」全開で、しかもエッセーなどを読む

と、真剣に信じておられるようです。


 臨死体験や、霊なども「完全肯定派」のようだし・・・。

まあ、否定も肯定もいたしませんが、作品的にどうなのだ

ろうと思う事もしばしばです。


 妖しげな作品大好き人間の私が言うのも何ですが・・・。

とにかく、あたりはずれは大きいと思う訳であります。

ちなみに、私は高橋克彦さんのファンであると申し添えて

おきます。



 天変地異や変事を扱う陰陽寮の頭(かみ)、弓削是雄(ゆ

げのこれお)は当第一の術士と衆人より目されていた。

彼は陰陽師の紀温史、蝦夷の淡麻呂、陸奥で山賊の女頭目

であった芙蓉・・・・・・と多士済々の者たちを配下に従え、忙し

い日々を送っていた。 そんなある日、羅城門に人の倍以上

も背丈がある鬼「長人鬼」が現れた。 一方、是雄は関白から

の急な呼び出しがあり、「淡路行き」の命を受けるが・・・・・・。

是雄たちが怪異に謎に挑む、妖かしの新物語。

 (文庫裏表紙より引用)


 時代は西暦884年。 菅原道真存命のころ。

晴明より少し前の時代。

主人公は、弓削道鏡の子孫・弓削是雄。


 陰陽寮は、後の時代ほど栄えていない。

七名の定員ながら、人材不足で四名しか陰陽師がいないという

零細ぶり。


 ただし、是雄は腕がたつ。 人望もある。

部下というか仲間には、陰陽師はもちろん、女頭目や予知者、

髑髏鬼なる頭蓋骨だけの鬼までいる。


 さてこの連中が、「淡路廃帝」の怨霊(?)や、都を騒がす

長人鬼に立ち向かうのだが、この一連の騒動には当然裏がある。

さて、その真相は?


 なかなかに妖しい物語。

「圧倒的に面白い」わけでは無いけれど、楽しめる作品でした。

この前後の時代に思いをはせると、さらに興味深い。


 この手の話の場合、「術」や「鬼」などの存在と能力の設定

が作者の腕の見せ所であると思います。

無制限に認めてしまうと、リアリティなどあったものでは無くなる

し、第一、何がなにやら分からなくなる。


 さりとて、全否定ではどうしようもない。

そのあたりのさじ加減が、この作品は実にバランス良い。

読んでいても、楽しさを損なわないように感じました。


 しかし、この作品。 続編があるのは解っているのですが、

ストーリー的な面から考えれば、どうも、これ以前のエピソードが

あるハズなのですが・・・。


 それが続編に含まれるのか、あるいは全く別に「前作」が存在

するのか?

シリーズとしては、これが第1作ではあるのですが・・・。


 高橋克彦さんも、作品数の多い作家だけに、そのあたりが

どうも良く分からない・・・。

とりあえずは、第2作を読みたいと思っております。