夜のピクニック // 恩田陸 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
夜のピクニック (新潮文庫)/恩田 陸
¥660
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 「夜のピクニック」



 恩田陸、著。 平成十六年。



 高校時代には、友人とよくキャンプなどに行き

ました。 土曜日、授業終了後に一度家に帰って

、夜になると駅に集合します。


 当然、テントなどを担いでハイキング・コースを

夜歩く訳です。 土地感がある訳でもなく、地図で

調べただけの山などを登る。


 で、適当な場所でテントを張る。

タンクに入れて運んだ水を使って夜食を作る。

まあ、星空は見事でしたねえ。


 朝になってみると、実は道路際で、トラックなどが

至近距離を走っていたり、墓地の隣だったことも

ありました。


 まあ、無謀です。 馬鹿です。 無茶苦茶です。

それが実に楽しくて・・・。

そのような年代だったのですね、要は。



 さて、「夜のピクニック」ですが、学園ものですね。

80キロを昼夜通して歩くと言う高校のイベントが舞台

です。


 主人公たちは3年生で、これが高校生活最後の

イベントになる。 思い出作りにしては、実にハード

なイベントです。


 で、主人公たちは会話しながら歩いています。

ただ歩いている。 ひたすら、歩いている。

そう言う小説です。


 妖しいものも出ません。

殺人事件も起こらない。

何一つ、事件らしきものは起こらない。


 ひたすら、歩いているだけの小説です。

会話も高校生らしい話題。 学園ドラマです。


 主人公と同じクラスに異性の異母兄妹がいる。

二人はわだかまりがあって、口をきいた事が無い。

その二人が、このイベントを通じて和解する。


 ストーリーは、それだけです。


 会話も、女性は良いとして、男子高校生の方は

やはり女性作家の目線で書いてあるので、いささか

違和感がある。 おしりのあたりがこそばゆい時が

あります。


 だけど、面白い。

そして、感動しました。


 瑞々しい感性。 郷愁の念。 切なく美しい物語。

過ぎし日々へのオマージュ・・・。

・・・言葉を並べたてる事に意味は無い。


 ただの学園もの。

ひたすら歩いているだけの物語。

そして、実に良い物語でした。