くっすん大黒 // 町田康 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
くっすん大黒 (文春文庫)/町田 康
¥410
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 「くっすん大黒」


 町田康、著。 平成九年。



 以前、7kichiさんが記事を書いておられました。

記事は面白いのだが、本の内容に触れていない・・・。

でも、星5つの評価・・・。


 ・・・困ったもんだ。(*^_^*)


 実は、少し立ち読みした事がありますが、その時は

「なんと読みにくい文体だ?!」、と感じて購入を見送る

事になったのです。 でも、やはり気になって今回読んで

みました。


 「口語体・文語体」と言う分類がありますが、この作品

は究極の口語体。

話すように全てが綴られています。


 やはり、読みにくい。

しかし、2~3ページ辛抱して読んでいると・・・?

いや、これ面白いじゃないか!


 要は、ハマったのですね。

この本には、「くっすん大黒」と「河原のアパラ」の二作が

収められているのですが、どちらも実に面白い。


 「くっすん大黒」のストーリーは、働くのが嫌になり、

毎日ぶらぶらしている男が主人公です。

ある日、妻は全財産を持って逃げ出す・・・、まあ逃げる

でしょうねえ・・・。


 で、むかむかしながら周りを見渡すと、訳のわからん

大黒像があって、むかつくので処分しようとする。

処分しようと外に出るのだが、どうも上手い具合に行か

ない。


 で、年少の友人に押し付けることにする。

そのまま、彼の家で二人でぐだぐだと酒を飲み始める。

何日か逗留する間に、共に金が尽きる。

まあ、主人公ははなっからカラッケツなのですが・・・。


 仕方ないから、何故かブティックで一日置きにバイト

する。 ここの、「おばはん」がまたとんでもなく壊れた

女性で、やってられない。


 そこに、以前ちょっとだけやっていた役者のオファーが

来て、リポーターの役を引き受けるのだが、この監督の

女性がこれまた壊れている・・・。


 あ~、ストーリーを紹介しても訳がわからん!!!

こんなもの説明出来んのじゃあ!!!


 しかし、無茶苦茶な話なのだけど、人生の悲哀を感じ

つつも、可笑しくてパワフルで実に面白い。

何よりも、その独自の文章が面白い。


 よくもまあ、こんな下らない内容でこれだけ面白い

作品が書けるものだ。

少し、昔の筒井さんに似ていると言えなくもない。


 私としては絶賛!、なのですが、受け付けない人も

多いかも知れません。

ハマれば、これは実に面白い作品です♪