性愛人類史観・エロトポリス // 荒俣宏 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!

 荒俣宏COLLECTIONⅡ

 性愛人類史観

  エロトポリス 」


 荒俣宏、著。 1998年。



 このブログに足りないものは何か?

私は、考えた・・・。

そうだ、エロだ!


 ナルホド、これは盲点でした。

そこで、

吟じます・・・。



ああ・・Myu’s Style / とにかく本が好き!

 (美と愛の女神・アフロディーテ)


 怪人・アラマタ。

この、博識で無邪気な好奇心に満ちた作家が

何故か好きで、あれこれと読んでいます。


 このお人、小説ではオカルト的なものがほとんど

なのですが、その興味はあらゆる分野に跨り

コレクターとしても有名なようです。


 ピンナップ雑誌のコレクションが昂じて、

ついにはその思考は性愛人類史にまで至る。

これもまた、先生らしいと言えるのかも知れない。


 古代ギリシアのアフロディテ神殿には娼婦が

おり、信者たちと交合し快楽を与えた。

コリントでは、この女神の尊称を「アフロディテ・

ポルネ」として、これがポルノの語源となった。


 さらに話は酒と快楽の饗宴「ディオニソス祭」に、

章を改め、ピンナップの歴史に、また

ストリップティーズの起源について語る。


 また別の章では、ボボリ庭園のグロコッタを

見分し、15世紀の性愛観を各種の像から紐とく。

話はメヂティ家のエロテックな庭園にも及び、

キリスト教下のタブーにまで至る。


 ホメロスの「オデッセイア」では、ニンフはゼウスの

娘であり情熱的で酒神ディオ二ソスの巫女たちと

年に一度狂乱の夜宴を行うとされる。


 先生は、

これが「二ンフォマニア」の語源であると看過する。


 さらに他の章では、ナチス芸術について述べ、

ソ連の社会主義リアリズムとの共通点について

考察する・・・。


 つまり悪趣味なエロティズム。

それは、逆立ちする裸女の写真を例にして

語られる。


 しかし、タヒチの伝説から、中国の愛図、さらに

ファッションの変遷から植物学にいたるまで、

これ全てを性愛を基準にした逸話を元に体系

付けて語るこの怪人は、何と言う知識のモンスター

だろうか。


 381ページに及ぶ性愛・エロスに関する著述と、

歴史及び博物学的知識を基盤とした考察。

しかも、単なるうんちくに堕する事も、アカデミック

に偽することもなく、この書物はあくまでも

エンターティメントとして成立している。


 まぁ、要は面白い。

これに尽きます。

いや~、エロも奥が深い・・・。


 めくるめく知識の洪水の中で、

「吟じます」どころが、「うう・・うう・・」と唸るばかり

です。

修行が足りぬ・・・。


 荒俣先生の頭の中はどうなっているのでしょう。

怪人・アラマタ、恐るべし!!