新国立競技場・大騒動 | 「国家戦略特区」blog

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ポスト・グローバリズムの社会を考察。日本を貧しくする移民=外国人労働者受入れ政策に警鐘を鳴らしています。

『2520億円に予算増額した新国立競技場ですが更に混迷が深まっています。本エントリーは6月時点の内容ですが問題の背景を考察致します』



経世済民・建築論『新国立競技場・騒動の真相』

新聞やTVで大きな話題の新国立競技場の裏の裏を知りたいです。とのお方は以下のリンクをクリックにて、ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。


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『6月に入り事態は急展開か?』

色々と騒動になっている新国立競技場の問題ですが、6月に入りまた新たな動きが出て来ました。コンペで選定されたロンドンに事務所を構えるイラク人の女性建築家のザハ・ハディトが、設計者から外れるとの報道がなされたのです。これは問題が新たな段階に入ったと考えて良いでしょう。

『新国立競技場の問題点のまとめ』

減額の為の設計変更を繰り返したものの、当初の1300億円の予算に対し、減額案でも、3000億円の建設費が掛かるとの見積が出ています。そこで開閉式の屋根を東京五輪後に設置する1万5千人座席を五輪後に撤去するなどして、見積を2500億円程度に圧縮し、更に600億円の費用を東京都に負担させる等の報道がされています。


「コンペ時のザハ案:槇文彦氏設計の東京体育館が隣に小さく見える」


『2019年問題』

新国立競技場は、ラグビーW杯の会場としても使用されるので、2019年迄に完成させる事が条件です。時間的には今がタイムリミットです。因に前回の東京五輪では、丹下健三氏設計の国立代々木体育館は、20ヶ月で完成させています。ザハの案を4年で作れないというのは、施工担当の竹中工務店の言い訳です。

『コンペからの騒動の流れ』

プリツカー賞受賞者など応募条件を厳しくして、若手建築家を排除したコンペで、安藤忠雄氏などの審査委員が選んだのがザハの案です。敷地からハミ出すなどの大胆なデザインは、明らかに予算を度外視したモノでした。当然、予算オーバーを承知の上で、オリンピック招致の為のアピールです。


「東京体育館(槇文彦)周辺環境を考慮し高さを低く抑えた氏の代表作」


『コンペ時から反対運動が続出』

東京大学名誉教授でプリツカー賞受賞者でもある槇文彦氏が、コンペ終了後からザハの案に反対を表明します。槇氏はザハの案は余りに巨大過ぎて周囲の景観にそぐわないという意見でした。因に新国立競技場の敷地の隣には、槇氏設計のボリュームを低く抑えたの東京体育館があり、外にも周辺には槇氏の作品が数多く有ります。

『建築界の縄張り争い?』

コンペの審査委員長もプリツカー賞受賞者で東大名誉教授の安藤氏ですが、2016年の東京が落選した五輪誘致の際は、安藤氏がスタジアムをデザインしていました。今回ナゼ安藤氏が設計者から外れ、審査の方に廻ったか謎です。今回の騒動は、安藤氏と槇氏との縄張り争いという風に見えなくも無いです。


「槇文彦設計テピア:神宮外苑に位置する槇氏の作品群の一つ」


『安藤忠雄と槇文彦、対照的な二人』

槇文彦氏は、母方は竹中工務店の創業家、父方には慶応大学の理事と典型的なセレブです。ハーバード大学で教鞭を取ってから帰国し、幕張メッセ(表題写真)やNYの9.11テロ跡地の超高層ビルの設計も手掛けています。大阪の下町育ちで、プロボクサーから独学で建築を学んだ安藤忠雄氏とは対照的な人物です。

『積極財政の立場から物申す』

コンペの時から予算オーバーは分かり切った事なのですから、審査員の安藤忠雄氏などは、安倍総理や麻生財務大臣のところに出掛けて直談判するくらいのパフォーマンスをして、男気を見せて欲しいモノです。ちなみに前回の東京五輪の時は、丹下健三氏が、当時の田中角栄大蔵大臣に直談判して、代々木国立体育館の大幅な工事費増額を勝ち取りました。


「国立代々木体育館(丹下健三設計)1964年完成直後の様子


『ロンドンに三井不動産4000億円投資』

民間事業で単純比較は出来ませんが、円安にも関わらず三井不動産がロンドンのBBC関連の都市再開発に4000億円もの巨費を投じるとの報道がなされています。安倍総理もサミットで海外へのインフラ投資を積極的に行うと表明しています。お金が無いではありません。国内への投資が不足しているのです。

『コンペのやり直しは良く有る話し』

仮にザハが新国立競技場の設計者から降りる場合は速やかにやり直しのコンペを実施すべきでしょう。建築コンペで住民の反対運動などで計画が流れるケースは多々有ります。パリのセーヌ川の畔に計画された安藤氏設計の美術館も中止となりますが、現在、その敷地では同じ日本人建築家の坂茂氏の設計のホールの計画が進んでいます。


「安藤忠雄氏デザインのパリのピノー美術館は計画が中止となる


『建築家ナシの建築』

ここ数年気になった話として、東京スカイツリーや首相官邸など、話題になった建物が、一体、誰が設計したのか良く解らないケースが増えています。適当な委員会を作り偉い先生を呼んでお茶を濁して作るのです。意思決定のプロセスが不透明な建物は良い建築にはなりません。これは現在の政府の意思決定の不透明さに似ています。

『今回の騒動とは何か?』

東京は人口3700万人の世界最大の都市圏です。8万人収容の屋根付スタジアムは必要な施設です。新国立競技場は既に解体が終了した旧国立競技場の保存問題から端を発し、緊縮財政的な無駄な公共事業批判の一環として反対運動が展開されました。積極財政で国を豊かにする政策への理解は、全く進んでいません。

「安藤氏と同じ敷地では現在コンペに勝った坂茂氏の計画が進んでいる


『アンダーコントロールして欲しい』

この問題で目立つのは、自民党随一の移民推進派で、脱原発派の新自由主義者(ネオリベ)である河野太郎氏が、緊縮財政の立場から反対運動を展開している点です。安倍総理は、IOCでのプレゼンで『アンダーコントロール』と堂々と宣言したのですから、しっかり予算を付けてアンダーコントロールして頂きたいです。

『新国立競技場の最悪のケース』

今後の流れとして一番良く無いのは、ザハが降りて、金額ありきの減額案の提示がされ、槇文彦氏辺りがアドバイザーになって、何とも中途半端な『緊縮財政』型の、新国立競技場が完成する事です。安倍政権による緊縮財政のシンボルとして、東京五輪が、国民に財政危機をアピールする財務省の檜舞台とならない事を祈ります。


「安藤忠雄氏の意向で新国立競技場コンペで三位となった妹島+西沢案


『ザハ続投か?』

最新の報道ではザハは、今後も設計者を続けるとの事ですが、槇文彦氏にとって、国立競技場の隣にある東京体育館は、周囲の景観を考慮して出来るだけボリュームを抑えて作った代表作です。新国立競技場にもそのような配慮を求めるのは理解出来ます。ザハには建築家として、これら諸条件を呑み込んだ、より高いレベルのオリンピック・スタジアムの実現を期待します。

『安藤忠雄氏の説明責任』以下7月12日・追記事項

結局7月7日に工事費増額を政府が決定しましたが、世論は「無駄な公共事業」として批判的な論調が占めています。最新情報では、周辺環境に配慮したSANNA(妹島+西沢)案を3位に廻して、ザハ案を1位に押したとされる安藤氏は記者会見に姿を見せませんでした。安藤氏には、コンペの審査委員長としてザハ案にお金を掛ける意義について国民に説明する義務があるのです。


「減額案でもコスト増となり批判を受けるザハ設計の新国立競技場

『日本には漢(おとこ)が居なくなった!』

安倍総理は国会答弁で、民主党時代に決まった事だと答弁したそうです。消費税増税の時もそうですが都合が悪い事があると民主党のセイにするのは彼の悪いクセです。結局、新国立競技場はリーダー不在で迷走が続いています。今の日本には漢(おとこ)が居ないのです。そういえばザハも妹島さんも女性建築家でした。

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「音楽:サカナクション/建築:幕張メッセ/設計:槇文彦」


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