山道グルグル | Minahei

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ライター戸塚美奈のブログです。

昨日は昼過ぎから川崎の入院している義母の様子を見に行った。

先週行ったルートは、どうやら遠回りのようで、別のルートをダンナにすすめられる。病院のある百合ヶ丘のあたりに土地勘のあるダンナが、「このへんにTの家があって…」などと高校時代の友人のことなど思い出し始めるので、なんとなく信用できず、勝手にルート変更。右折の指示のところを直進し、別のルートで行くことにした。

ところが、見事に間違えた。行けども行けども目指す交差点はなく、どんどん道幅は狭くなる。地元の抜け道らしく、前後の車のスピードも落ちないので停車もできず。生田の山の中を突っ切り一通をグルグル……。広い道に出てやっとのことで車を停め、結局、おんぼろナビを発動してもと来た道になんとか戻った。

あのあたりは坂道が多いために交差点の見通しがすこぶる悪く、道路も入り組んでいて、かならず、もうかならず、曲がる方向を間違うのだ私は!

やっぱり、ダンナに聞いた道にすればよかった。

地図は食い入るように見るのだが、高低差はわからないから、実際に走行してみるとかなり勝手が違う。そんなこたァ、自転車でアチコチ動いていて百も承知なのに。

昔、長男とチームメイトを連れてよみうりランドのヴェルディグラウンドに行ったとき、どういうわけか道を間違ってしまい、よみうりランドの山の中を上っては下りてをくりかえし、時間に間に合わなくなって、途中で「ここで降りて!」と歩かせたことがあった。疲れ切ってグラウンドにたどり着き3人ともセレクション落ちたのかも。

 

義母は肺炎になってしまった。

看護師さんに、「原因菌はわかりましたか、炎症はおさまってますか」と聞いたけど、原因菌はまだわかりません、お教えできるかわかりません、検査の結果も医師でないとお伝えできません、と言われて、なにも教えてもらえなかった。発熱があったし、かなり痰が出ているということは、免疫力が発動しているということだから、きっと大丈夫、ポジティブに考えよう。

「手がかゆい」と言ってしきりにタオルケットにこすりつけるので、手指を開くとなんだか汗臭い。アルコール綿で拭いて、少しかいてあげた。次男が手を骨折したときに、手のひらの垢が面白いようにとれていたのを思い出した。手のひらって、すごく汗をかくのだ。

義母は「熱い、熱い、熱がある」と、私の手が熱いのがおかしいとしきりに心配する。こんなになっても自分のことより家族の心配をするのだ。

しばらくかいていたら、「昨日お風呂入れなかったですよね、手の洗浄しますね~」と看護師さんがやってきた。大き目のビニール袋にペットシーツ状のものを引き、ママレモンの入れ物に入ったお湯(「熱い」と言っていたからお湯らしい)とハンドソープで手際よく洗い始める。介護の現場を見たことがない私はいたく感動し、「ああよかった、今ちょうど、手が痒いって言ってたんですよ」と言ったのだが、看護師さんは注意されたとでも思ったのか、「あ、痒いって言ってたんですね」とニコリともせずに作業を続けていた。さっぱりしたのか、洗浄してもらったあとは、義母はタオルケットの上に手を重ねて落ち着いていた。

 

家に帰ってきたら、市から私あてに「大切なおしらせ」の郵便物が届いていた。なんの督促状かと慌てて封を切ったら、所得の低い市民に、臨時福祉給付金をくれるというありがたいお知らせ。去年は大きな仕事にかかりきりで稼げる仕事をぜんぜんしなかった。今年も積極的に仕事に動ける状況じゃない。「一億層活躍」の時代というのに、私はどうやら社会のお荷物になりつつあるらしい。

配偶者控除の廃止が問題になっている中で、専業主婦なんかけしからんとする記事がどんどん目に飛び込んでくる。ワタシは確定申告しているし、配偶者控除なんてさっさとやめりゃいいともちろん思う(その分社会保障を手厚くすればいい)。だけど、収入や生産性の高さだけを人の価値のように考える風潮には、責められているようで悲しい気持ちになる。今は、内職できる手作業や、日雇いの「ヨイトマケ」的な仕事は皆無に近いから、社会で活躍するのは指南のワザだ。ワタシは会社をやめないで働いていたら、「活躍」して「輝いて」いると胸を張っていられたんだろうか。

そんなことばっかり考えながら寝たら、朝、達成感と満足感とともに目が覚めた。雑巾とバケツをもって次から次へと部屋を拭き清めている私。……大張り切りで病院の掃除をしている夢を見た。