国語学者、北原保雄氏のコラムを読んでいて、面白い記事があったのでシェアしますね。
北原氏と言えば、著書の『問題な日本語』シリーズが70万部以上のベストセラーになっています。

問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?/北原 保雄

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コラムに書かれていたのは、「敬語の2つの基本」について。

1.敬語はモノや行為を敬うのではなく、あくまで人を敬う表現であること
2.敬語は人と人との距離を保つための表現であること


1.は、例えば「洋服」を「お洋服」と言うのは洋服を敬っているのではなくて、着ている人を敬っているから。「行く」の尊敬語の「いらっしゃる」は、行く行為を敬っているのではなくて、行く行為をする人を敬っているからです。
例文で、
『あなたのお洋服』とは言うが、『お前のお洋服』とは言わない」
と書かれていたのが面白かったです。

2.は敬語は目上の人や敬うべき人だけに使うものではなくて、対等の関係や年下の人にも使いますよね。初対面の相手にいきなり馴れ馴れしく話しかけたりはしないし、敬語である程度距離を保って、親しくなるにつれて言葉使いも打ち解けていく感じですね。


このコラムはあくまでも‘話し言葉’について書かれていたんですが、文章でもまったく同じことが言えると思いました。
私たちは相手によって‘話し言葉’を変えるように‘書き言葉’も変えています。
きちんとTPOを考えて書ける人が大人だということですね。
文章においてもこの「敬語の2つの基本」は覚えておくといいですよ!


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