私にとって、各地の美術館で絵を見て回ることは、旅の楽しさの大きなひとつ。
そんななか、たくさんの画家の中でも、ちょっと特別な存在なのが、フェルメール。
理由は、もちろん、緻密で美しい絵の素晴らしさもそうなのですが、「もしかしたら全部の絵を見てしまえるかもしれない」 と思わせる、作品点数の少なさです。
全世界でも30数点 (諸説ありますが、一説によると 36点) しか存在しない、寡作の画家フェルメールの全作品。一生のうちに、全部見ることはできるのでしょうか?
ヨーロッパに限って言えば 全作品中の22点を見ることができるのですが、わたしは今までに、そのうちの 18点を見てきています。
⇒ 詳しくは、こちらでおさらい。
「 フェルメールを追いかけて 」 「 続: フェルメールを追いかけて 」
「続: フェルメールを追いかけて (ロンドン・ケンウッド・ハウス) 」
ヨーロッパに残るフェルメールはあと 4点!
・・・というわけで、今回スペインにいくのにフランクフルト乗り換えのルフトハンザを選んだのは、そのうちの 1点を見に、シュテーデル美術館に足を運ぶためでした。
そして、これがその一枚。
制作年代: 1669年
2011年 12月 22日。
・・・実はこの 「地理学者」、わざわざドイツまで見に行くまでもなく、昨年 2011年に日本の美術館の企画展のために来日していました。
「フェルメールの《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」
↑ この企画展でご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
・・・だけど、いつでも見に行ける Bunkamura での展示をあえて見なかったのは、22枚すべてを、所蔵美術館で見たかったからです。(行脚することまで含めて、楽しみたいじゃないですか!)。
というわけで、今回晴れて、フランクルトでご対面となりました。
珍しく本人の署名まで入ったこの絵は、彼が残した絵画のなかでも二枚しかない、男性をモチーフにした作品です。
女性を描かせたときのキラキラ感はないものの、大航海時代を経て世界が拡大し、商人など普通の人たちの力が増した当時のフランドルで、地理学者ってきっと最先端の学問だったんじゃないかなあ。
そういう、未来を向いている明るい感じが、この絵からは伝わってくるような気がします。
さて!「ヨーロッパにあるフェルメール全点踏破」 までは、あと 3点!
ドイツ
ブラウンシュヴァイクのヘルツォーク・アントン・ウルリッヒ美術館 「ワイングラスを持つ娘」
アイルランド
ダブリンのアイルランド美術館 「手紙を書く婦人と召使」
イギリス
ロンドン、バッキンガム宮殿 「音楽の稽古」
あんまり急いで見てしまうのも残念な気がするし、死ぬまでに全部見れるかな?
くらいの感じでいようかなぁと思いますが。
ちなみに、 「手紙を書く婦人と召使」 は現在来日中。
東京にお住まいの方、ご興味があればぜひ~!