【会話ブログ】汗と流れて忘れてはいけないもの | 【会話ブログ】

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暑い、汗だく、ハンカチ忘れた!!さぁどうする? ブログネタ:暑い、汗だく、ハンカチ忘れた!!さぁどうする? 参加中


「しまった、どうしよう」

「………………」

「ああー、しまったな」

「………………」

「しまったしまった」

「………………」

「なぁ、ちょっと聞いて欲しいんだけど……」

「嫌よ」

「え?何で?」

「うるさいわね。そんな妙な掛け声で私に相撲を取らせようとしてもそうはいかないわよ。それとももしかして八百長騒動以降は【のこった】が【しまった】に変更になったとかいうウソ情報を私に信じ込ませようとしているのかしら?多くの人が内心そう思っているからこそ、表面上は通常通りに執り行うのがファンを裏切った事への罪滅ぼしだと思うわ。しかもそういう自虐的な発言というのはあまり好意的には受け取ってもらえないというケースも多いわよ。真剣味が伝わらないのがその理由でしょうね」

「ずいぶん長々と話してるのを悪いんだけど、僕は相撲の話は一切……」

「ちなみに行司の最高位である立行司は【軍配を差し違えたら切腹する覚悟がある】という意味で脇に短刀を差しているわよ。これこそ形としても想いとしても真剣というわけね」

「いや、それは知ってるけど、今は相撲の話……」

「あら、よく知っていたわね。一応相撲好きを名乗るだけの事はあるのかもしれないわ。そんな相撲くらいしか趣味の無いあなたが相撲を冒涜するかのような【しまった発言】をした意図について詳しく聞かせてちょうだい。場合によっては除名や解雇では済まないんじゃないかしら」

「相撲だけが趣味ってわけじゃないけど……っていうか僕は【しまった、ハンカチを忘れた】って言いたかっただけだぞ」

「あらそう。それと相撲とどういう関係があるのかしら。ずいぶん真剣味が足りない発言だったわね。ちなみにもう後の祭だけれど、力士達にもそれくらいの覚悟は持って欲しかったわ。まわしの中に短刀でも入れれば良いのよ。仲が悪い相手だとつい短刀を伝家の宝刀として使用してしまうかもしれないけれど、でもそれは正に真剣勝負であって否定されるべきではないし、観客も最後には牛が殺されてしまう闘牛を見ている時のような、怖いもの見たさという名の背徳感を味わうかもしれないわ」

「何だか知らないうちに僕がホントに相撲の事を話したみたいになってるな。お前が勝手に言っただけだぞ」

「いちいち揚げ足を取ったりしてうるさいわね。私と会話の相撲をするつもりかしら?番付外みたいな貧弱なボキャブラリーで幕下クラスの私と対戦するなんてずいぶん無鉄砲なのね。鉄砲は無くて真剣を持っているとでも言いたいのかしら」

「いや……お前と口喧嘩して勝てるわけが無いし……っていうかてっきり横綱クラスなのかと思ったけど、幕下なんてずいぶん謙虚だな」

「あら、だって十両や幕内の力士は給料がもらえるじゃないの。私はまだ口喧嘩でお金なんて稼いだ事が無いものね。テレビで政治家や司会者などに文句を言って喧嘩しているだけでお金がもらえるコメンテーターの域には達していないわ」

「ああいう人ってそれぞれのジャンルで活躍する文化人なんだし、そんな言いがかりばかり言ってる賑やかしみたいな言い方をしなくても……と、とにかく今日はハンカチを忘れたみたいなんだ」

「あらそう。それがどうかしたのかしら」

「いや、この時期は汗も掻くし、ハンカチが無いのはかなり不便だぞ」

「ええ、そうでしょうね。それがどうかしたのかしら」

「いや、だからそのハンカチを忘れたからしまったって言ってるわけで……」

「あらそう。全く問題無いわね。私は持っているもの」

「そりゃ持ってるお前は困らないだろうけど、持ってない僕は困るぞ!」

「違うわよ。私が持っているもの、って言ったの。私のハンカチを使えば良いじゃないの」

「えっ?もしやこんな時を想定して2枚持ってきてくれてるのか?」

「……何を言っているのかさっぱり分からないけれど、あなたも私の使っているハンカチを一緒に使えば良いと言っているのよ」

「いや……気持ちは嬉しいけど、それじゃ僕の汗を拭いたりするわけにいかないじゃないか。汚れちゃうぞ」

「汚れないわよ、失礼な。どうして私のハンカチを使うとあなたの顔が汚れるのかしら。人をバイキンみたいに言わないでちょうだい」

「逆だよ逆!お前のハンカチは汚くないぞ!僕の汗を拭いたらお前のハンカチが汚れるって話をしてるんだ!」

「まぁ、あなたが汗を拭いたハンカチを使うと私の手が汚れるのね、失礼な。あなたの汗に興奮して手から得体の知れない成分が滲み出たりするはずが無いじゃないの、一体私をどんな変態だと思っているのかしら」

「いや、違うってのに……えーと、何でこんな展開になってるんだっけ……?と、とにかくこれだけは誤解しないで欲しいんだけど、お前は全く汚くないからな。お前の事を汚いなんて思った事は無いし、今後も絶対にありえないぞ」

「……あらそう。突然何を必死になっているのか分からないけれど、それならハンカチがどうして汚れるのかしら」

「……いや、もう良いんだ。変な事を言ってお前の心や想いを汚したくない」


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