前回
「あ、ミニー。ハイジを見なかったか?」
「あら、何かしら、迷子の子犬が飼い主をようやく見付けたよう突然走り寄ったりして、気持ち悪いわね。いつかそのままの勢いで私に抱き付くための予行練習をしたいのかもしれないけれど、そんな事をしても無駄よ。本当にその気があるかどうかは目を見ればすぐに見抜いてしまうもの」
「いや、そうじゃなくて、ハイジ……」
「まぁ、初めて私を抱き締める事が出来てしまうかどうかよりもハイジの方が重要なのね、失礼な。二度と近寄らないでちょうだい」
「ちょ、ちょっと待った!別にハイジの方が重要なわけじゃなくて、ちょっと今はハイジに言いたい事があるんだ」
「あらそう。見たかもしれないし、見なかったかもしれないわ」
「そ、そっか。何か妙な事を言ってなかったか?」
「あら、何故か私がハイジに会った事が前提になっているのね。いつの間にそんな諜報法を身に付けたのかしら。それとも何か超方法があるのかしら。そういう特殊技術は超重宝した方が良いわよ」
「いや、よく分からないけど、ハイジと話したんじゃないかと思ってさ。ハイジの事だからてっきりもうミニーを見付けたんじゃないかと思ったけど、その様子だとまだ会ってないみたいだな。それなら別に良いんだ」
「あら、さっき会ったわよ」
「えっ、そっか……な、何か言ってたか?」
「……何を慌てているのか分からないけれど、何故か突然あなたの事をどう思っているのか訊いてきたわね。今更言うまでも無いのに何を考えているのかしら」
「そ、それでどう答えたんだ?」
「……うるさいわね。何だか正面を切って真剣に訊いてきたから正直に答えてあげたに決まってるじゃないの。いつもいつもいかがわしい事ばかり言って私をドキ……困惑させるし、今まで誰も理解しようとしなかった私の事を何故か理解したつもりになっているのが腹立たしいし、会話していて楽しいと思った事も無いし、いつもいつもずっと傍にいてうんざりしてしまうし、私にとって不幸の塊みたいな人よ、みたいな事を言ったかしら」
「うううっ、そこまで言わなくても……でもそれじゃハイジはずいぶん困惑したんじゃないか?」
「あら、どうして分かったのかしら」
「……僕達が甘いとハイジは毒にならないとバランスが悪いって言ってたしな……ミニーがここまで毒舌を言ったらハイジとしてはどうすべきか悩んだんじゃ……」
「何をごにょごにょ一度も事件を解決した事が無いのに大きな事件の担当にさせられてしまった新米刑事のようにつぶやいているのかしら、気持ち悪いわね。ハイジも毒がどうこう言って困惑していたわよ。毒にならないとダメだとか言って走っていなくなってしまったわ」
「……え?毒に?ウソだろ?」
「まぁ、どうして私の言葉がウソだなんて決め付ける事が出来るのかしら、失礼な。ハイジは本当にこんなに甘いと猛毒になる必要がある、とか言っていたわ。きっと落ちていたカビだらけの大福でも拾い食いしたんじゃないかしら」
「……ふーん、ハイジは猛毒に……なるほど……じゃぁミニーがホントに言ったのは……」
「引っぱたくわよ」
「何でだよ!何も言ってないじゃないか!」
「うるさいわね。ようやく分かったわ。あなたの事は何でもお見通しよ。どうせハイジを使って私の本音を聞き出そうとしたんでしょう?」
「ううっ、別に結託したわけじゃないんだけど、結果的にそうなっちゃったかもしれない……」
「そんな卑怯で回りくどい手を使わなくてもあなたが正面を切って直接訊けば良いじゃないの。ちゃんと答えてあげるわよ、腹立たしいわね」
「そ、そっか、何かハイジを利用して卑怯な事をしたって思われちゃったけど、まぁ仕方ないか。えーと、じゃぁ、僕の事をどう思ってくれてるんだ?」
「あら、さっき言った通りよ。いかがわしい事ばかり言って困らせるし、私を理解したつもりになっているのが腹立たしいし、会話していても楽しくないし、いつも傍にいてうんざりしてしまうわ。あなたと付き合っても不幸しか感じないわね」
「こら!それがホントじゃもう救いようが無いじゃないか!って、ちょっと、突然後ろを向いたりしないで真面目に聞いてくれ」
「あら、何の事かしら。大嫌いな人の言葉なんて一切耳には届かないわよ。少年が訊いてきてウザイわね」
「うううっ、どういう事なんだ……ホントに嫌われてるんじゃないだろうな……何か僕の事がただの他人みたいになっちゃってるし……」
「違うわよ。正面から訊いてきてちょうだいね、って言ったの。さっきから言っているじゃないの。そう簡単に正面に回られたりはしないけれど」
「ああ、なるほど。正面から訊かないと全部ウソで返されるっていうゲームに付き合わされてたわけか……?でもさっきの言葉が全部ウソだって分かればもうそれで僕としては充分幸せだぞ」
「……まぁ、つまらないわね。あなたみたいなつまらない人は二度と私に近寄らないでちょうだい」
「しっかり目を見て言わないでくれ!」
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