【会話ブログ】驚きがもたらしたもの 後編 | 【会話ブログ】

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前回


「………………」

「………………」

「…………ん?」

「………………」

「…………気のせいか」

「………………」

「…………いっ!!」

「………………」

「いててててて!ちょっ!ちょっと!」

「………………」

「……あれ?起きたわけじゃないのか…………無意識に爪を立てるとは……」

「………………」

「いっ!いててててて!おい!ちょっと!起きてるんだろ?今はマズイって!」

「うるさいわね。起き抜けから一体何なのかしら。こんな目覚まし時計が癇癪を起こしたような騒々しい環境で目を覚ましたのは生まれて初めてよ」

「いや、ホントは爪を立てるちょっと前から起きてたんじゃないのか?」

「さぁ、どうかしらね。実は頭を膝に乗せて目を閉じていただけで、全く眠っていなかったという可能性もあるじゃないの」

「いや、ついさっき【目を覚ました】って言ってたし……凄く気持ち良さそうに寝てるように見えたぞ」

「………………」

「まだ寝たいならそのまま寝てくれて構わないぞ。起きたい時間があるなら伝えてくれたら起こすしさ」

「うるさいわね。今はマズイとか何とか、どさくさに紛れて私に触れようとしていたのはお見通しよ。私は眠っていても殺気を感じるから妙な考えは起こさない方が身のためだと思うわ」

「そっ、そんな事しないぞ!ずっと膝枕をしてて足が痺れてたからさ。痺れて敏感になってるところに爪を立てられるのは流石に耐えられなかったから言ったんだ」

「あらそう。血の流れが止まって動かなくなってしまった足を弁償しろと言いたいのね。それならもっと思い切り爪を立てたら血の流れが元に戻るかもしれないわ」

「流血するまでやらなくて良いぞ!全く。えーと、とにかく、おはよう」

「あら、おはよう。そうね。何だかあっと言う間に目が覚めてしまったような気がするわ。まさにおはよう、お早いお目覚めというカンジね。余程寝心地が悪かったのかしら。それを足が痺れたとか何とかずいぶんと恩着せがましい事を言うのね。今後もたまには利用しても良いかと思ったけれど、そのうちとんでもない見返りを求められそうだから辞めておこうかしら」

「いや、お前を膝枕してる幸せな気持ちだけでもう充分だぞ。っていうか、ホントにすぐ目が覚めた感覚なのか?それって熟睡出来たからなんじゃないのか?」

「何を興奮しているのか分からないけれど、普段もせいぜい週に一度、1時間から2時間しか眠らないと話したじゃないの。今回はそれよりも短かったでしょう?だから熟睡ではなくて実際にすぐ目が覚めたというだけよ」

「えーと……3時間以上寝てたけど……」

「………………」

「ほら、もう周りも暗いじゃないか。気付かなかったか?」

「まぁ、私がたくさん眠ったというウソを信じ込ませるためだけに日本全体を暗くするなんてずいぶん手が込んでいるわね。これがあなたの準備したサプライズだったのね」

「そんな事出来るわけないだろ!」

「うるさいわね。という事は私の体内に知らぬ間に何か薬物を投与したのね。この私がそんなものに屈して長時間眠ってしまうなんて、確かにサプライズだと思うわ」

「いや、別に寝たら負けとか、そういう事じゃないんだし……普段よりも長く寝ちゃったお前の体調だけが気がかりだけど、気分はどうだ?」

「最悪ね。あなたが勝ったもの」

「いや、だから勝ち負けじゃ……」

「違うわよ。話せなかったもの、って言ったの。せっかくのあなたと二人きりの時間を眠って過ごすなんて最悪の気分よ、って、何を言わせるのかしら、みっともない」

「ううっ、そんな嬉しい事を想ってくれるとは……と、とにかく体調が悪いわけじゃないみたいだから良かった。朝は突然サプライズを準備する流れになっちゃったからハラハラしたぞ」

「あらそう。最初からあなたがサプライズなんて何も準備していない事は分かっていたけれど、でもこういう展開にすればあなたも準備しておくという事が分かったわ」

「って事はわざとああいう事を言って僕にサプライズを準備させたわけか……全く恐ろしいな……でも、どうだった?まさかほとんど寝ないお前を膝枕するってのはちょっとはサプライズになったんじゃないかな」

「ええ、そうね。驚いたわよ。まるで死んだみたいだと思ったもの」

「どういう事だ!死にたくなるほど嫌だったって言いたいんじゃないだろうな」

「違うわよ。またしてみたいと思ったもの、って言ってるじゃないの。睡眠なんて単なる時間の無駄としか捉えていなかったけれど、こういう形なら悪くないかもしれないわね、って、さっきから何を言わせるのかしら、みっともないわね。まだ寝惚けているのかしら」

「まさかそこまで気に入ってくれたなら嬉しいな。僕の膝で寝たいならいつでも言ってくれ」

「あらそう。それなら明日の朝までこのまま眠らせてもらおうかしら」

「そうしたいのはやまやまだけど、いくらなんでも家に帰らないとマズイぞ……」


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「クリックしないなんてサプライズはしないわよね」

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