「よくライバルの存在が成長に繋がる、とか言われるな」
「あらそう。どうしてそう言われているのかしら」
「え?そりゃやっぱりお互いに負けたくなくて競い合っていればどんどん実力が上がっていくからだと思うぞ」
「あらそう。そうしていつまでもずっと似たような実力で勝ったり負けたりしていられればお互いに成長するかもしれないけれど、現実的にはある時点で勝者と敗者に分かれて終わるんじゃないかしら。例えば入学からずっと同じような成績の二人がいて、お互いにその事実は全く知らずに過ごすのよ。ある時同じクラスになって仲良くなってその事実をついに知ってしまうけれど、全教科の合計点が近いだけで、お互いの得意教科はずいぶんと違っていたわ。だから二人は競う事も喧嘩する事もなく、一人は貿易商、一人は歯科医師として成功するのよ」
「……それのどこが例え話なんだ?」
「商社と歯医者じゃないの」
「ダジャレだったのか!まさかお前がそんな話をするとは……えーと、驚いて何を話してたのかよく分からなくなったぞ」
「あらそう。いざこの二人が競い合いになってしまったとしても、歯医者が商社の虫歯に銀歯を被せれば勝ちよ。商社は必死に銀歯を輸入しないように抵抗するけれど、防御だけで攻撃の手段を持っていない商社は完全に不利な形勢と言わざるを得ないわね。虫歯の治療どころか歯を真っ白にしてあげる寛大さを見せ付けられて、商社は完全に白くなった歯を見せて白旗よ。商社が敗者で歯医者が勝者になった瞬間ね」
「だから何なんだその話は!全く……えーと、ダジャレの前は確か現実的には勝者と敗者になったところで終わる、みたいな事を言ってたな」
「あら、という事はその後の虫歯の治療にはいかないのね。って、そろそろ飽きてきたわね。とにかく都合よくこちらのペースに合わせて成長してくれるような理想のライバルはそう簡単には見付からないと思うわ。そんなに波長の合う人がいるならライバルと言わずにいっそ仲良くした方が良いんじゃないかしら」
「なるほど。競うんじゃなくて近くにいるだけでお互いに高め合えたら最高だろうな。でもそういう人もやっぱり中々見付からないんだろうけど……」
「ええ、そうね。だから今の自分よりもちょっと上を目標において目指すのが一番手っ取り早いと思うわ。ただ単に目標を設定するだけでも良いでしょうし、それが出来ない人は誰かそういう人を探して目標にするのも良いでしょうね」
「そっか。お前にもそういう人っていたのか?」
「ええ、いるわよ。あなたがライバルよ」
「えっ!?僕?お前には何も適わないと思うんだけど……」
「違うわよ。あなたは愛があるわよ、って言ったの。近くにいるだけでお互いに高め合う事が……って、何を言わせるのかしら、みっともない」
「ううっ、僕が近くにいてお前を高める事が出来るなんて、こんなに嬉しい事は無いぞ」
「あらそう。あなたの近くにいるとみっともなくて恥ずかしい想いがどんどん高まってしまうわ。どう責任を取るつもりなのかしら」
「たぶんそれは僕にしか出来ないからちょっと誇らしいかもしれないぞ……」
「クリックしてくれるとクリック数が高まるわ。って、当たり前だけれどね」
「ツイッター とかいうものを始めてみたわ」
公認会話士の小説連載中
小説版会話ブログ
第一弾【はじまりの日】
第二弾【拝啓、わが路】
第三弾【そして欠片は花弁のように】
公認会話士の展示会情報
会話ブログRPG
第1章
第2章
「リクエストや質問 、待っているわ」