【会話ブログ】何を言ったところで私は眠らない 前編 | 【会話ブログ】

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「最近うちの母さんが不眠症気味で睡眠不足らしいんだ」

「あらそう。良かったわね」

「いや、良くないから言ってるんだけど……」

「あらそう。でも不眠症にでもならないと誰かの話題にならないような生活をしているんでしょう?よく小さな子供が親や周囲の人の注目を集めるために悪さをしたりするけれど、それと似たようなものなのかもしれないわね。今はちょうどあなたのお母さんの策略にはまって私達は話題にしているのよ」

「こら!息子の注目を集めるために不眠症のフリって、一体うちの家族を何だと思ってるんだ!」

「うるさいわね。あながち否定ばかりもしていられないわよ。よくマザコンとかファザコンなんて言葉は耳にするけれど、最近はいつまでも子離れ出来ない親が増えているのよ。以前は親バカなどと言っていたけれど、現代風に言うとチャイコンというカンジかしら。あなたは息子だからサンコンかもしれないわね。狂った親子でギニアにでも亡命すれば日本の将来のためには良いんじゃないかしら」

「あのな……もう何か色々問題発言が入ってる気がする」

「うるさいわね。冗談よ。出来の悪い子供ほど親だけは可愛く感じるものだと聞いた事があるからつい思い込みが激しくなってしまっただけじゃないの。それで今日は何の話をしたいのかしら?」

「ちょ、ちょっと待った、とても冗談では済まない言葉が混じってたんじゃないのか?」

「あら、しつこいわね。チャイコンの話題が何故か問題発言だと言われたから違う話をしようと言っているのよ。どうして指摘したあなたの方がさっきまでの話を続けたがっているのかしら。話したいなら好きなだけチャイコン被害について話せば良いじゃないの。果たして解決出来るかどうかは分からないけれど、話を聞くくらいならいつでもしてあげるわよ。不気味な偏愛を見せる母親と違って、公平で偉大で優しい彼女で良かったわね。無理して感動の涙をこらえなくても良いわよ。眠たい時に眠るように、泣きたい時は泣けば良いのよ」

「うーん、何だかこのままじゃ母さんの風評被害が大変な事になりそうだ。別に僕は母さんの事で悩んだりはしてないぞ?母さんもホントに睡眠不足なんだと思うし」

「ええ、そうね。私も本当はその通りだと思うわ。でも息子であるあなたの言葉を鵜呑みにした結果だから仕方が無いじゃないの、本当に人の誤解や噂話というのは恐ろしいわね。出来の悪い息子を持つと色々と余計な苦労がかかるのかもしれないわ」

「そんなに僕は母さんの人間性について何かを言った記憶が無いんだけど……それに僕への評価だけは何があっても揺るがないみたいだな……何だかこのままじゃ睡眠不足になりそうな気がする」

「あらそう。良かったわね」

「だからさっきから良くないって言ってるじゃないか!」

「うるさいわね。あなたが自ら同じ気持ちを味わえば原因が分かるかもしれないじゃないの」

「ああ、なるほど。ずいぶん荒療治って気はするけど……ちなみにお前はどうして不眠症になるんだと思う?」

「さぁ、どうかしらね。眠りたいから眠れないんじゃないかしら」

「え?どういう事だ?」

「私はほとんど眠らないから分からないけれど、下手に【眠りたい】と意識するから脳が休まらずに眠れなくなるんだと思うわ。逆に大事な会議や授業の時に限って眠ってしまう人もいるわね。要するに脳の意識とは逆の反応を身体が示してしまうものなのよ。禁止された行為を求めてしまうのと同じね。勉強したい時に限って他の事ばかり気になってしまったり、大事な本番の時に限って集中を欠いて今まで一度もした事が無い失敗をしてしまったり。まさに私の事よ」

「なるほど、寝よう寝ようと思い詰めて考えない方が良いって事か。って、お前も本番で失敗したような経験があるのか?」

「違うわよ。まさに私の言葉よ、って言ったの。あなたやお母さんに酷い事を言うのも、意識とは逆の言葉を口が勝手に……って、何を言わせるのかしら、みっともない。出来の悪い彼氏を持つと本当に苦労するわね」

「……それも一応逆の言葉……って事にしておくか」


続く


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