「たまに自分の非を絶対に認めない人っているよな」
「………………」
「どう考えても正しくないような意見でも言い争いになったら絶対に引かなかったりして」
「………………」
「最終的に正しくないのが証明されても謝らなかったり、認めなかったり」
「………………」
「そういう人と上手に付き合うにはどうしたら良いんだろうな」
「………………」
「えーと、話聞いてたか?」
「………………」
「おい、大丈夫か?もしかして体調が悪いとか……」
「うるさいわね。聞こえているに決まってるじゃないの。心配掛けて悪かったわね。ごめんなさい」
「いや、謝る必要は無いんだけど……聞いてないのかと思ったからさ」
「あらそう。そんな風に思わせてしまったのね。ごめんなさい」
「いや、ただの僕の勘違いだし、お前は謝るような事は全くしてないから謝らなくて良いって」
「あらそう。気を使わせてしまったわね。ごめんなさい」
「なぁ、どうしたんだ?普段は謝るような事はほとんど無いのに……」
「まぁ、やはりそうだったのね」
「え?何が?」
「私が普段間違いだらけなのに全く非を認めず謝らないような頑固で意固地で固定観念に捉われたどうしようもない性格な事を揶揄して言っていたんでしょう?あなたの事は何でもお見通しよ」
「別にお前の事を言ってたわけじゃないぞ!それに今ちゃんと謝ってたじゃないか」
「ええ、そうね。心が篭っていない言葉だけの謝罪だったらいくらでも出来るわよ。悪かったわね。ごめんなさい」
「うっ、謝罪とか感謝の言葉に心が篭ってなかったら結構酷いと思うぞ」
「あらそう。でも言葉なんて口ではどうとでも言えるものね。その後の態度に表れるかどうかが重要なんじゃないかしら。だから相手が感謝や謝罪の言葉を言った段階では何も判断しない方が良いと思うわ」
「なるほど。謝罪の後に結局同じ事をされたら、全く謝罪の意志なんて無かったと気付けるわけか」
「ええ、そうね。全然笑い転げていないのに【マジウケル】とか言い出したり、涙なんて全く流していないのに【超ヘコム】とか言い出したりしている人がクラスに大勢いるじゃないの。ひょっとして【マジ】や【超】は否定の接頭語なのかと思ったけれど、どうやら強調の接頭語らしいものね」
「意外とクラスメイトの会話を聞いてるんだな……まぁ確かにその後の展開を見るまでは、口で何を言われても信用ならないというのも言い過ぎじゃないかもしれないな」
「ええ、そうね。私が出会った人の中で最も理解力が低いあなたのわりには頑張ったじゃないの」
「こら!どうして突然罵られるんだ!いくらなんでも酷いぞ!」
「うるさいわね。やはり理解力が低いじゃないの。口で言った事なんて何一つ信用ならない、とあなたがついさっき言ったのよ。それなのにどうして怒るのかしら?」
「うっ、確かに言ったけど……でも思ってないんだったらあえて言わなくたって良いじゃないか」
「あらそう。悪かったわね。ごめんなさい。本当はあなたの事が大好きで嫌いなところなんて何一つ無いわよ。当たり前じゃないの」
「ええっ!?と、突然またそんな……」
「と言ってもあなたは信じてはくれないんでしょうね。残念だわ」
「ううっ、こういうどっちか分からない時しかはっきり言ってくれないんだからな……」
「謝罪もクリックみたいに数字で見れれば便利なのにね」
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