【マンガ感想】
『え!?絵が下手なのに漫画家に? (施川ユウキ)』
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え!?絵が下手なのに漫画家に? (ヤングチャンピオンコミックス)
秋田書店 2009-11-20 by G-Tools |
【あらすじ】
単行本未収録のデビュー原稿「がんばれ酢めし疑獄!!」や過去の同人誌発表作品、幻の読み切り「闇色ドロップス」、カラスヤサトシ氏とのコイバナ限定対談、大量の描き下ろしコラムなど、施川たんファン垂涎の漫画家10周年記念初エッセイマンガ集!!
『サナギさん』などの作品で知られる4コママンガ家・『施川ユウキ』の最新作です。
この作品は、『施川ユウキ』の漫画家デビュー10周年を記念して発売されたマンガ集でして、
自分が漫画家としてデビューするまでを描く作品を中心に、日頃感じている事をエッセイ漫画風に
語る作品、単行本未収録のデビュー漫画、単行本未収録読みきりまで多くの作品が収録されています。
この作品のメインとなるのは、もちろん作者が漫画家デビューするまでを描く作品ですね。
この作品は、2部構成となっていまして、第1部は作者が高校卒業後、専門学校に通うこととなり、
そこで出会った女性との恋愛話を描いていく内容で(掲載が女性誌)、第2部はその専門学校を辞め、
4コマ漫画家としてデビューするべく様々な雑誌に投稿していくという内容となっています。
第1部に関しては、連載誌が女性誌ということで担当編集者から「恋愛話を書いてください」という
無茶な注文を受けて書かれた作品だけあって(笑)、普段の『施川ユウキ作品』のようなキレは無く、
非常に淡々と作者の若き頃の恋愛体験が描かれているだけなので、正直、面白くないです(^^;。
しかし、第2部になると、掲載誌も変更され、本書のタイトル・『え!?絵が下手なのに漫画家に?』に
準じるような内容の作品が描かれるようになると一気に面白くなり、作者がどのように漫画家を目指し、
どのような行動を取って、どのようにして漫画家としてデビューしたのかが描かれていきました。
個人的にですが、その漫画家を目指すストーリーの中で、一番共感を持てたシーンが、
作者が週刊少年チャンピオンの新人賞で佳作を取ったときのシーンですね↓。
作者曰く、この人生最大の「ホッ」は、
“「自分は一生陽の目を見ない生涯を送るに違いない」という思い込みが打ち砕かれた瞬間”に
出てきたため息でして、「ヤッター!!」などのリアクションを取ることはなかったそうです。
私自身も、この作者のように苦しんだときがありまして、先の見えない未来に一筋の光が射したときの
あの瞬間は「やった!」という感情ではなく、「ホッ」と感じたことがありました。
なので、上記のシーンを読んだときは、「この感情は私だけではなかったんだ」と改めて感じ、
この話について、共感を持って読むことが出来ました(^^ゞ。
全体的に見ても、なかなか面白かったですよ。
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【総評】
作者がどのように漫画家を目指し、そして漫画家としてデビューを果たしたのかなど、
『施川ユウキ』のファンならば、一度は読んでおきたい作品だと思います。
点数的には
85点
です。
こういう作品は、この作者のことを知っているか、知っていないかで評価が変わると思います。
個人的には面白く読めましたが、この作者を知らないのであればスルーした方が良いと思います。
では、ここまで。