薄桜鬼・妄想小説【白雨の恋】第8話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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第1話はこちらから→





いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。




















輿入れ前日。


椎名が茜の部屋に訪れる。


「会いに来たよ」

「まず検診しとこうか」
茜の横に正座する。


「はい」
茜は素直に肌を露にした。


「ん。いいね。明日も大丈夫だろう」

「…茜、何だかスッキリした顔してるね」
茜の顔を覗き込む椎名。

「そうですか?」
茜はふわりと笑った。


茜が椎名に笑いかけてくれるなど久方ぶりのことで、
椎名は内心驚いていた。

「…まあ、いい。今日は君と話がしたくてきたよ」
姿勢を改めて、一息つく椎名。


「手を…繋いでいいかい?」
椎名の差し出された手にゆっくりと手を置く。
椎名はその白い手を優しく握る。


「君は誤解してると思って。僕は君が思っている以上に君の事を好いているよ。
このままこの家の籠の中の鳥になってしまうより、
僕の元に居てくれたほうが君はずっと幸せになる。

そう思ったからこの話をしたし、すすめたんだ。
君にしたら無理やりかもしれないけどね」

茜の目を見つめながら言葉を紡いでいく。



『…あ。前の先生だ』
茜は以前の椎名を思い出す。

輿入れの話をする以前の椎名は穏やかに茜に接していた。



「後悔はさせないよ?僕は君を幸せに出来る自信があるから。

茜が彼を好いているのは知っている。
でも彼についていくのは危険だし、その身体がいつまでもつかわからない。
彼自身も新撰組に身を置くのだから、彼もきっとわかっているはずだ。
だからこそまだ君はここにいる。

愛し合う二人が短い時間を過ごすのもいいと思うが…、
君たちにとってはきっとそれは刹那の時間だ」


茜は静かに目を伏せた。


椎名は言葉を続ける。

「輿入れの話をしてから…突然彼が現れて…恥ずかしいが僕は凄く焦っていたよ」
その言葉に驚いて茜は少し目を見開いた。

少し照れくさそうな椎名。細い目が更に細くなる。


「誰かに君を盗られるんじゃないかと。彼が君を奪っていくんじゃないかと思って。
だから君が欲しくて堪らなかった。許して欲しい」
軽く頭を下げる。


「茜、僕は君を好いている。君の笑顔が心底好きだ。
時間がかかってもいい。僕の隣に居て、いつか心の底から僕のためだけに笑って欲しい。

僕の傍にいてくれるね?」

握る手にやんわりと力が籠められる。




茜は何ともやり切れない気持ちでいた。


椎名は純粋に自分を好いてくれていた。

その事実を今知ったという皮肉。

この気持ちを知っていれば、まだ平助や自分は苦しまなくて済んだのか。

でも自分達の気持ちや行為に後悔がないのは平助も同じことだと思う。



『やっぱりこの人について行くしかない』
茜は椎名の目を見据える。



「宜しくお願いします」

その言葉に破顔した椎名は茜を抱きしめた。













輿入れの日。


茜の家の前には沢山の人で溢れていた。


平助が人ごみを掻き分けて前の方に行くと同時に、「わぁ」と声が次々と上がった。



丁度、白無垢を着た茜が玄関を出たところだった。

手を添えられ、ゆっくりと籠に歩みを進める茜。

籠に乗る前にゆっくりと回りを見渡す。



平助と目があう。

口元に少しの笑みを携えて少し頭をさげる茜。



『…綺麗だ』

茜を眩しそうに見つめてふわりと笑う平助。



踵を返して人を掻き分けて歩く。


『これでいい。これで良かったんだ』

唱えるように自分に言い聞かせた。







ふと気づけば顔に当たる空からの雫。


明るい空にうっすらとかかる小さな雲からの雫だろうか。


平助は歩みを止め、空を見上げる。


「こんな日くらい降らずに止んでやれよ」

独り、呟いた。













◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇







ほら。黒くなかったよ?←若干、無理やりだねw(自覚あり)

椎名くんは不器用だっただけ~♪



白雨=夕立と前に説明しましたが、「明るい空から降る雨」との説明もあったので
ちゃっかり利用しましたw


次で最終話です。

宜しくお願いします。



みふゆ