薄桜鬼・妄想小説【白雨の恋】第1話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

小説設定はこちらをご覧下さい→








いつものようにキャラ崩壊、設定無視などございます。



かなりのお目汚しとなりますが、それでも宜しければ。



















いつものように蒸し暑い夏の京。


新撰組屯所内の一室で近藤、山南、土方、平助が集まっていた。




「じゃあ、伊東さんを新撰組に」
話を聞いた平助が応える。

「腕の立つ剣客であり、優れた論客でもあることは平助も山南君も認めているようだし」
近藤が力強く伝える。

「ええ、しかし伊東さんは水戸の流れを汲む尊王派。我ら新撰組と相容れるかどうか…」

「なぁに、義を持って話をすれば必ずや力を貸してくれるに違いない。」
不安げな山南に近藤は拳を作り、自信を表す。


その様子を思案しつつ静かに見守る土方。


「平助、伊東先生と同門であるお前に橋渡しをお願いしよう。いずれ私も江戸へ参る」

「おう、わかった」
近藤の言葉に平助も任せろとばかりに応える。



平助は隊士募集のついでに千鶴の父、綱道が家に戻っていないか確認するため、
千鶴に千鶴の家までの行き方を書いてもらい、江戸へと旅立った。









何日もかけ、ようやく江戸にたどり着く。



『先に…少し遠いから千鶴ん家に寄ってから道場にいくか』

千鶴の家まで足を向けるが呼び掛けや玄関を叩くも中からの応答はない。
人がいる気配もなかった。

近所の人に尋ねるも「誰もいない」と言う。


『また日を改めて来るか』





平助は伊東のいる北辰一刀流剣術伊東道場へ足を向けた。

伊東と会い、挨拶をすませ近藤からの文を渡す。


その場で文を読む伊東。


「わかりました。すぐに返事は出来ませんが、この文は確かに頂きました。
隊士募集ということなら、しばらく江戸に留まるおつもりでしょう?」

「はい」

「ならば、お時間ある時は道場へ来て下さいな。藤堂さんが来てくれるならばいい稽古が出来ますわ」
口元に笑みを浮かべる伊東。

「わかりました。しばらくお世話になります。」
平助は頭を下げる。



道場を後にして、平助は京を出るときに連絡しておいた知り合いの家へと向かう。

伊東道場に通う前からの馴染みで、今回はその家の離れを使わせてもらうことになっていた。




ふと、足を止める。


『そういや、茜は元気かな』

茜とは、いうならばこの土地での平助の幼馴染であった。



『…会いたいなぁ』

気づけば茜がいるであろう青山家へと足を向けていた。








平助の呼び掛けに茜の両親が出迎えてくれた。

久しぶりだからというわけではなく、茜の両親はどちらともご機嫌といった感じで
平助は若干戸惑っていた。


「おじさん、おばさん…何かあったの?」

「ぃや、そんなことはないだろう。さあさ、茜のところへ行ってくれ」

「久しぶりの平助くんだもの。あの子も喜ぶと思うわ」

両親に促され、縁側沿いにある茜の部屋へと足を向ける。



「茜?入るぞ」

襖を開けた先には布団に横たわる女が一人。

陽に触れていないであろうその肌は白く透き通るようだった。

2年ぶりに見る姿は更に端麗とした姿だった。

その姿に平助は少し戸惑った。



「…平ちゃん?」
大きな目が更に大きく見開かれ、上体を起こす。

「久しぶりだな。身体の調子はどうなんだ?」
布団の横に腰を落として胡坐をかく。


「ったく、ほんと相変わらず白いな。日光浴くらいしろよ」


「…何で、何でここにいるの?」
少し眉間に皺を寄せて茜が訴える。


「新撰組が隊士募集することになってさ。今日、江戸に着いたんだ」


茜の頬に涙が伝う。

平助は息を飲んだ。


「…茜?どうした、気分でも…」

「何で戻ってきたのよ…」
布団をぐっと掴む白い手。


「は?」
その言葉に目を丸くする平助。

「何で今頃戻ってきたのよっ!」
茜が叫ぶ。


「ちょ、どうしたんだよ、茜…」
あからさまな茜の敵意に戸惑う平助。

「帰って!いいから帰ってよ!!」
茜は顔を赤くしながら平助に吠えた。


「…わかった、帰るよ。何だかよくわかんねーけど。…そんな大きな声出して無茶すんなよ」
困惑した表情の平助は茜の部屋を出た。





「…何なんだよ、いきなり」
腑に落ちない表情の平助は頭をかきながら廊下を進む。


帰ろうと玄関に向かう途中、ここの奉公人の老婆たえと出合った。

「平助さん!」

「ああ、たえさん。久しぶり。元気?」

「ええ、お陰様で。…何かありましたか?」
平助の表情に何かを察したようなたえ。

「…今、茜に会ってきたんだけど出て行けって追い返されちまって…」
溜め息混じりに言葉を吐いた。

「…そう、でしたか」
目を伏せるたえ。


「あいつ、病気悪化してんの?」
眉間に皺を寄せて、たえに問う。

「ぃえ、最近は調子はいいんですよ。ただ…」

「ただ?」

「…色々ありまして、お嬢様は気が立っているんだと思います。すみませんでした」
頭を下げるたえ。

「ぃや、たえさんが謝らなくても…」


「…平助さんはしばらく江戸に?」

「うん、隊士募集に来たからしばらく江戸にいる」

「…ではまた日を空けてから茜様に会いに来ていただけませんか?
その時には落ち着かれていると思いますので」

「わかった。たえさんが言うならそうするよ」
口元に軽く笑みを浮かべて応える。

「ありがとうございます」
たえは再び頭を下げた。


「じゃあ、今日はもう帰るよ。おじさん達にも伝えておいて」

「わかりました。またお待ちしています」

「うん、また」
手を上げてたえに別れを告げた。



『…会って初っ端帰れはねーだろ、普通…。二年振りに会ったっていうのに』
しばらく平助は茜の表情を思い出すたびに溜め息を吐いた。




『…茜、綺麗になってたな…』

幼い頃から抱いていた感情が甦ってくる。


平助が京へ行くと告げた時の茜の泣き顔が脳裏に浮かぶ。


『…もう茜のことでこんな感情にはなっちゃいけないんだけどな』

深い溜め息を吐いた平助の足取りは重かった。












◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





はーい。

「白雨の恋」第1話目でした。


最初の場面はアニメの場面をなぞらせてもらいました。


平ちゃん、いきなり茜ちゃんに吠えられましたね~。


あ、伊東さん、ちょいちょい出てきますw





みふゆ