薄桜鬼・妄想小説【空が鳴っている】第11話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

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第1話はこちらから→






キャラ崩壊、設定無視など、かなりのお目汚しです。


それでも宜しい方はどうぞ。

















島原から帰った翌日。



『頭、痛い…』

上半身を起こすかなめ。


『そっか。山崎さんが送ってくれて…。
あ、今日山崎さんいないんだっけ…』




「かなめさん、起きてますか?」

廊下から千鶴が声をかける。


「あ、おはよう。起きてるよ」

「お身体大丈夫ですか?朝ご飯が出来てます」

「…うん、行くよ。ありがと。先に行ってて」



男装に着替えながら昨日の事を思い出す。

酔っていたとは言え、かなめは男性に夕べのようなことをされたのは初めてだった。

少し、怖かったし、どうしたらいいかわからなかった自分がいる。


『隊士は皆、男なんだよね…』

山崎に「君は女なんだから」と言われた言葉を思い出す。

松本の診療所にいたことで、男性の裸に慣れすぎていたのかもしれない。

今回たまたま沖田だっただけで、相手は違ったのかもしれない。


『…山崎さんがいてくれて良かった』と心底思う。


昨日の沖田が脳裏に浮かぶ。

『…考えすぎても仕方ない…か。お仕事はきちんと勤めないと…』

部屋を出るかなめ。




『…沖田さん…どんな顔して会えばいいんだろ…』

小さなため息をつきながら廊下を歩く。



いつもの広間に着くと、沖田も同じように部屋に入るところだった。


「あ…」

思わず身体に力が入る。



「おはよ、かなめちゃん。」

いつもの笑顔だった。


「…おはようございます」

沖田の笑顔に安堵のような少しほろ苦いような感情が胸に広がる。



部屋に入る沖田。

続いて入るかなめ。


「おはようございます…」

「おう、かなめ!体調は大丈夫なのか?」

永倉が声をかける。


「あ~、はい…」

「なんだぁ、スッキリしない返事だな」

原田が言葉を投げる。


「頭が少し痛くて…」

「あ~、おんなじ。俺も頭いてぇ」

互いの顔を見やって笑う藤堂とかなめ。








それからはいつもの日常が続いた。


かなめと沖田が挨拶以外に言葉を交わすことが無くなった以外は。

医務所からも沖田の足は遠のき、定期的に鍼をしにも来なくなった。


かなめは時間をもて余すと沖田の事を考えてしまいそうで、毎日忙しなく動いていた。










「おい、かなめ」

不意に後ろから声がかかる。
振り向くと原田の姿があった。


「原田さん、どうされました?どこか怪我でも?」

「いんや、どこも悪くねーよ。それより時間あるか」


「そう…ですね。大丈夫です」

「土方さんには許可も取ってある。町に出ようぜ 」

「町、ですか。じゃあ少し買い物も付き合って頂けますか?」

「ああ、いいぜ」

原田の笑顔にかなめも笑顔で応える。


「じゃあ、準備しますね」





原田に付き合ってもらい、薬などの買い出しをする。


「かなめ、お茶に付き合ってくれよ」


『あ、山崎さんと来たことのある茶屋』
つい一ヶ月くらい前のことなのに懐かしい気持ちになる。


「はい、喜んで」
かなめは原田に笑顔を向けた。




「かなめ、最近働きづめじゃねーか?ちゃんと休んでるのか」

覗き込むようにしてかなめを見る原田。


「大丈夫ですよ」

原田の言葉にかなめはくすりと笑った。


「夜も遅くまで医務所に灯りがついてるみてーだし」

「ああ、それは山崎さんに報告することがあったり、
私は先に休んでて山崎さんが帳面を見ていたりとか」


「土方さんも心配してたぜ?」

「ご心配かけてしまってすみません。…何かやってないと落ち着かなくて」

目線を原田から逸らす。


「溜め息ばっかなんだよな~、お前も総司も」


「…」

『分かりやすく動きが止まってしまった』とかなめは思った。


「何があったかは聞かねーが、あんまり考えすぎるなよ」

「…はい、ありがとうございます」

かなめは笑顔で返した。


「何か気遣って頂いてすみません」

「いいってことよ。女は笑顔が一番だからな」

原田はかなめの頭に手を置く。


「はい」

笑顔で返すかなめ。



原田とかなめは茶屋を後にした。









原田と共に屯所に戻り、医務所に戻ると山崎の姿があった。


「山崎さん、おかえりなさい。今日はお戻りが早いんですね。」

「ああ、ただいま。任務が早く済んだんだ。どこかへ行っていたのかい?」


「原田さんが買出しに付き合ってくださって、
山崎さんとも行ったあのお茶屋さんに寄って来ました」

「そうか。それは良かったね」

「はい」

互いに笑いかける。


「最近君が疲れているような気がしていたんだ。今日は早めに休むといい」

「そんな!お手伝いします。あ、お茶を煎れてきますね」


机の上にあった空の湯飲みを取ろうとするも
手が滑って床に落とし、湯飲みを割ってしまった。


「すみません、すぐ片付けます」

「ぃや、俺が…」

「痛っ!」

欠片を拾おうとして指を切ってしまう。


スゥっと溢れてくる血。


山崎がすぐさま駆け寄り、ごく自然に切った指を自身の口に含んだ。


「…!!!」

まさか山崎が自分にそんなことをしてくれるなんて微塵も思ってなかったかなめは
みるみるうちに顔を赤らめた。


「…だっ、大丈夫です…大丈夫ですから…」

搾り出したかなめの声に山崎は口から指を離したが、傷口を見てまたペロッと舌で舐めた。


「…!!!!!」

身体全体が心臓になってしまったかのような、かなめ。


「結構切れたね。ちゃんと処置しないと…」

山崎は止血をし、包帯を傷口に覆っていく。


「これでいい。あとは俺がやっておくから君は部屋で休んでおいで。
また夕飯になったら呼びに行くから」

「…はい」

短く返事をするのが精一杯だったかなめは足早に部屋を出て行った。


隣のかなめの部屋の障子戸が閉まる音を聞いてから
山崎は深いため息をついた。


脳裏には先程の耳まで赤くしたかなめの顔が浮かぶ。


『何やってるんだ、俺は…』


一人、目を伏せた。














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そういや左之さんもきちんと描いたことないなと思って
追加したお話です。

アニメでの落ち込む千鶴を気遣う左之さんにお話をなぞらせてもらってます。


面倒見のいいアニキですよねぇ。惚れ惚れ。


私。。。いつか「歩く18金」を描くことが出来るんだろうか。。。

自信にゃい。




かなめちゃんが指を切ったのは、私が「ベタ」を「ベッタベタ」に描きたかったからですww





このお話から1話分をボリュームアップしてます。

読後感、どうでしょうか?






みふゆ