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かなりのお目汚しです。
それでも宜しい方はどうぞ。
美桜が拐われた夜。
眠れない沖田。
脳裏には風間に拐われ消えていく美桜がずっと残っている。
「くっそ…!」
拳には紅い滴が垂れていた。
『美桜…』
沖田は廊下に出て縁側に座る。
夜の空気は冷たさを増し、
浮かぶ月は沖田を照らしていた。
じっと庭を見つめている沖田。
「総司」
呼び掛けられた方を向く。
「…近藤さん」
「夜風は身体に障る。部屋に戻りなさい」
その言葉に沖田は庭に顔を向け俯く。
「…トシから聞いたよ」
「近藤さん!僕は…僕は…!」
沖田は絞るように声を出す。
「美桜くんならきっと大丈夫だ、総司」
近藤はしゃがみ、沖田の肩をポンと叩く。
「美桜くんが戻ってきた時に
総司が倒れてしまっていたらどうする。
我々も怒られてしまう。
総司も美桜くんには怒られたくないだろう?」
「…そう…ですね」
『近藤さんらしいや』と思い、
思わず笑みがこぼれてしまった。
「さあさ、部屋に戻りなさい」
「近藤さんにも敵わないや」
ぼそっと沖田は呟いた。
「ん?何か言ったか?」
「いえ、大人しく部屋に戻ります」
「うむ、それがいい」
近藤はにかっと笑った。
翌日、翌々日と巡察の組長や巡察に同行する千鶴が
美桜の家を訪ねるが美桜はいないという。
苛立った沖田は土方に許可をもらい美桜の家に行く。
斎藤も同行することになった。
夕刻、美桜の家に着いた。
庭や家の中を探すも、やはり美桜の姿はなかった。
屯所に戻る。
沖田は庭に何かの気配を感じた。
庭に向かうと天霧が縁側に美桜を座らせようとしているところだった。
「美桜!」
沖田が叫ぶ。
「貴様!」
斎藤がいち早く天霧に斬りかかるが
「彼女を宜しく頼む」
と言い、消えていった。
魂を抜かれたように美桜は佇んでいた。
「美桜!!」
沖田が駆け寄りきつく抱き締める。
「…総司…さん?」
「美桜!」
「…」
美桜は気を失ってしまった。
「…一くん。土方さんに伝えて。部屋に誰も来ないでって」
「…承知した。お前も無理はするな」
沖田は自身の布団に美桜を寝かせる。
そっと美桜の顔に手を添える。
青白い顔。
沖田は美桜の裾を捲った。
青あざ、ひっかき傷などが酷く残されていた。
はだけていた胸元を見ると
そこにも青あざやひっかき傷、そして赤い花が沢山散らされていた。
「くっ…!」
美桜に会えた嬉しさよりも、風間に対する憎しみが込み上げる。
「美桜…」
沖田は美桜の顔を見つめ続けていた。
翌朝、沖田と美桜を心配した千鶴が声をかけた。
「おはようございます。沖田さん、ご飯をお持ちしました。
…入っても宜しいですか?」
少し間を置いて中から沖田の返事が返ってくる。
「いや、そこに置いておいてくれるかな?」
「…はい。…沖田さん、きちんと食べてくださいね?」
「そうだね…」
「あの…美桜さんは…」
「…眠ったままだよ。…ありがとう、千鶴ちゃん」
千鶴は俯いたまま、しばらくその場所から動けなかった。
美桜が目を覚ましたのは2日後の朝だった。
美桜が目を覚ますと
隣には沖田が眠っていた。
美桜の涙が次々に溢れて流れていく。
何度も名前を呼んだ人。
ずっと会いたかった人。
狂おしいくらい愛しい人。
美桜は沖田の顔にそっと指で触れた。
うっすら開いた目が愛しそうに美桜を見る。
口元には微かに笑みがあった。
「…おかえり、美桜」
「…お身体は…大丈夫…ですか?」
今の美桜には涙を止める術などなかった。
「…美桜。先に言う言葉があると思うよ?」
沖田が美桜の髪を撫でながら優しく言う。
「…ただいま…戻り…ました」
「…うん。おかえり」
沖田は美桜の唇に軽く自分の唇を重ね、
優しく美桜を自らの胸に引き寄せた。
美桜は声もなくただ泣き続けた。
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はい。第14話でしたー。
天霧さん、風間の目を盗んで美桜を助けてくれました…。
ええ鬼さんや(T-T)←書いた人。
美桜ちゃん、多分ね~、この後、石田散薬飲まされてるね…www
最近アクセス数が上がっていて、
本当に嬉しいです。
こんな拙いブログを読んで下さって
ありがとうございます!m(__)m
みふゆ