法定利息5%の行方は? 民法大改正か | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

ブログの説明を入力します。

 たとえば、交通事故で損害賠償を請求する場合など、支払いを命じる判決が確定してから、実際に支払うまでの「遅延損害金」としては、年5%の法定利息を支払う、ということが実務では行われています。
 これは、民法404条で「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。」と定められているからです。

 年5%との利率か・・・いわゆる市中金利が0.02%とか、激安な金利状況であることを考えると、かなり高額な金利、ということになります。明治時代には、それが「標準的」ということだったようですが。

 しかし、現在では、あまりにも、日常の金利とかけ離れているので、様々な「非常識」が生じます。
たとえば、先の損害賠償についての逸失利益の計算や養育費の一括払いなどの計算のときに、「中間利息控除」というのを行うのですが、ここで法定利息を用います。「中間利息控除」というのは、いわば「普通に銀行に預けていれば運用できるのだから将来貰うべきものを今もらうのであれば、運用利益分は控除すべきでしょ」というような考え方です。

だとすると、利率5%というのは、あまりに現実と違いすぎます。だって、今どき、銀行に預金預けておいても・・・ねえ・・・。
ということで、民法改正により利率を5%から3%に引き下げ、さらに三年ごとに見直す(変動制)、という方向になりそうです。

それでも3%か・・・というところですが、民法は、120年ぶりの大改正ということで、実務には様々な影響が出そうです。改正、そして施行のタイミングによっては、賠償額が大違い、なんてことも起こりそうです。

ある意味、法定金利5%というのは、法律家の常識としてかなり定着してきましたが、これが変動することになる、というのは、なかなか衝撃的なことではありますね。

利子の発生が禁止されるということは、歴史上、めずらしいことではありません。そもそも、利子ってなんだろう?とも思いますよね。マイナス金利なんて事態も起こる現実の日々、「無利息」っていうのが、あらためて新鮮だったりして・・。