「セクハラ」報道、毎日新聞が謝罪 | メタメタの日

 信州大学教育学部准教授の「セクハラ」解雇事件は、「性的関係の強要」はなかったことが明らかになった。

 事件の経過と私の意見は、以下。

http://ameblo.jp/metameta7/entry-10039546261.html

http://ameblo.jp/metameta7/entry-10051370873.html


 今回、毎日新聞が次のように謝罪した。

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おわび:「セクハラ:信州大准教授」の記事=6月21日掲載

 6月21日に掲載した「セクハラ:信州大准教授が女子大学院生に関係強要、妊娠」の記事で、諭旨解雇処分の理由として「性的関係を強要し」と記述しましたが、処分理由に「性的関係の強要」は含まれていませんでした。また、「准教授は事実関係を認めている」と記述しましたが、「強要」については認めていませんでした。おわびして訂正します。

 2007年12月7日

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20071207mog00m040070000c.html

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 東京新聞のサイトによれば、次の通りだ。

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 毎日新聞が謝罪記事掲載へ 信州大元准教授と和解

2007年12月7日 20時17分

 女子大生に性的関係を強要し諭旨解雇されたとの報道で名誉を傷つけられたとして、信州大教育学部(長野市)の元准教授が毎日新聞社に慰謝料1100万円などを求めた訴訟は7日、長野地裁(近藤ルミ子裁判長)で、毎日新聞社側が記事に誤りがあったことを認め謝罪記事を掲載、訴訟費用の一部50万円を支払うことで和解が成立した。

 問題の記事は6月21日付朝刊で「准教授がセクハラ 院生妊娠させ諭旨解雇 信州大」との見出しで、処分理由として「性的関係を強要した」ことを挙げた。

 謝罪記事は「処分理由に『性的関係の強要』は含まれていなかった」などとして誤りを認め、訂正する内容。8日付朝刊とインターネットのサイトに掲載する。

 毎日新聞東京本社の広田勝己地方部長は「記事の一部に不適切なところがあり、裁判所の和解勧告に応じた」とコメントした。(共同)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007120701000503.html

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 問題点はいくつかある。

 毎日新聞の記者は、大学と女性側には取材したが、男性側には取材せずに、男性が「性的関係の強要」も認めたと間違った報道(男性が認めたのは性的行為があったことだけ)をした。これが第一報だったため、ネットに男性非難の書込みがあふれた。その後、男性が大学側に解雇撤回を求めると、セクハラ教員が何を抜かすのか、という非難もあふれた。毎日新聞の誤報の責任は重重重大だ。


 私の意見は、前の発言で書いたが、男性側からの「性的関係の強要」がなかったということは、両者の合意か、女性側からの性的関係の強要があったということだ。男性の主張は、そのように精神的に追い込まれたということのようだが、それであっても、性的関係を持ったこと自体は反省しているとも述べている。

 女性の妊娠と中絶は事実としてあったが、その原因がその男性との性的関係であったかどうかは争われているようだ。「それが原因だ」ということを100%の確率で証明することは不可能だろうが、「原因ではない」ことは100%の確率で証明可能だと思う。


 ネットの書込みには、教える立場の教員が教えられる立場の院生と性的関係を持ったこと自体が許されるべきではない、という発言もあったが、二人は直接の指導関係にはなかったことと、二人とも30歳前後の大人で独身であったことは、考慮すべきことだろう。

 ということは、どちらにしろ問題は、男女間のもつれという私的レベルの問題のはずだ。二人の間で解決できなかったら、最終的には、民事裁判に頼るというのが、市民社会のやり方ではないのか。

 それを、女性は大学の「セクハラ相談室」(名称未確認)という公的機関に訴えた。これはどう考えてもおかしい発想ではないのか。なぜ女性は、少なくとも強要されなかった性的関係(自分から望んだ関係)がもつれたことが公的に訴える価値がある問題と信じたのか。

 しかも、大学側は、その訴えを取り上げ、調査の結果、男性側からの「性的関係の強要」がなかったことを認めながら、諭旨解雇した。臭いものには蓋という発想としか思えない。

 そして、この事件を知った毎日新聞の記者は、きちんとした取材もせず、セクハラ問題だと思い込み、しかも、「権力」を持っている「男性」の「教員」が悪で、「弱い」立場の「女性」の「学生」の言い分が正しいという先入観の持ち主でもあったようだ。

 そして、毎日のマスコミ報道をそのまま信じて、男性大学教員という、「勝者」に見える立場の者を非難すれば、自分は正義の立場にいると思っているらしい多くのネットユーザー。最初の報道を信じればそうなるのも止むを得ないが、その後の報道から、問題を考え直そうとは思わなかったのだろうか。