信州大学教育学部解雇事件 | メタメタの日

 (mixi信州大学教育学部コミュでの発言)


 第三者が議論する節度の範囲内で、一般論として続けたいと思います。

(要点は、私のブログhttp://ameblo.jp/metameta7/day-20070712.html  にすでに書いたことの繰り返しになると思いますが・・・)

 

>私は、大学教員(男性)の何人かと直接話をしてきていますが、教え子(女性)と話すときには決して密室にならないよう配慮するということです、自分の研究室で話すときも、必ずドアを開けたままにして話すそうです。そうしないと、何かあったときにこちらの分が悪くなるということでしょう。<

 こういう配慮は、昔は女性側のマナー(たしなみ)として聞いていましたが、現在は男性側のマナーとなっているということは、男女間でトラブルが起きたとき、「強い男性側」の主張より「弱い女性側」の主張が受け入れやすくなったための男性側の防御策ということですね。

 誤報の多い最初の記事を書いた毎日新聞の記者も、女性側の主張を聞き、それを大学側に確認しただけで、男性側には取材していないという、ジャーナリストとしてあるまじき不手際をしたわけですが、「弱い女性」側に立つべきだという「正義感」に囚われていたのでしょう。


また、「密室にならない配慮」が要請されているのは、そもそも公的な関係に私的な要素が介入する余地をなくすということでもあるのでしょう。

 でも、人間同士の関係ですから、私的な感情は生ずるだろうし、それが私的な関係に発展することもあるでしょう。その場合は、公私のけじめをつけることが必須でしょう。公私を混同しない、公的な処遇で私的なえこひいきをしない、逆に私的なトラブルは公的な場に持ち出さない、などなどは、公人としての常識でしょう。


>今回は、たとえ相手側からの申し出であったとしても、厳しく断るべきだったと考えます。それが大学という上下関係のある組織での対応ではないでしょうか。<


 これは、その通りだと思います。ただ、そうはいっても、恋愛関係に陥ることはあるでしょう。そのとき、恋に落ちた者を責めるのは無粋だなぁという思いは禁じえませんが・・・。

あるいは、一方だけが恋愛感情を持って相手に迫ることもあるでしょうが、この場合、男性側が迫ることは厳しく糾弾されて当然だと思いますが、女性側が迫った場合でも、後でトラブルが生じるとやはり男性の対応が糾弾されるのはやむをえないのかという疑問は残ります。

 ただ今回のケースでは、私は、男性准講師は不適切な対応をしたと思っていますし、それは本人も記者会見などの発言で認めていると思います。


>今回の争点は、大学準教授が教え子である院生と性的関係を持ち、それを教え子側から訴えられたとき、解雇処分が相当かということではないでしょうか。<
セクハラという範疇に入るかは別問題として、処分はその事実に対して
行われたものであると考えます。<


 「争点」は、その通りだと思います。

 で、私は、解雇処分は不当だと思っています。というか、こんなことで処分する権限が大学側にあるの?とさえ思っています。

 直接の指導関係にない両者が、一方が准教授という指導する側の人間であり、他方が院生という指導される側の人間であったということだけで「教師と教え子が性関係を持った」と表現することも、適当ではないとも思っています。

 報道等を追っていて感じた第一の疑問は、この女性はいったい何を大学に訴えたのか、ということです。トラブルが生じた、あるいは女性がそう思ったのは事実でしょうが、それは大学に訴えることだったのか? この女性の行動は、時系列に追っていると、実に不可解なのです。そして、それを取り上げて処分を下した大学側の対応も不可解です。

「セクハラという範疇に入るかは別問題として」ではなく、セクハラという公的ルールにもとる行為があったのか否かこそが処分の判断根拠であるべきでしょう。セクハラではない男女間の私的なトラブルに大学が口を挟むことは、とにかく臭いものには蓋という、安易な対応ではなかったのかと思います。


>成人した男女のことなんだから周囲が色々言うべきでないというのは、あまりに乱暴な議論であると思いますがいかがでしょう。<


 ミッテランがフランス大統領在任当時、記者会見で、私生児の存在について質問され、それを認めて、「エ・アロール(それがどうしたの)」と問い返し、記者たちはそれ以上その件は質問しなかったことがあったといいます。

 これが成人した男女関係についての大人の対応ではないでしょうか。

 周囲でいろいろ言うのが好きな人たちはいます。しかし、「教員同士」「教員と院生」の間でも、セクハラあるいはエコヒイキという公的ルール違反がなく、公私のけじめをつけた付き合いがなされていれば、公的には問題はないでしょう。その男女関係がこじれてトラブルになり大学の公的機関に持ち込まれたとしたら(持ち込む者が愚かだと思いますが)、大学は、当事者間で解決するようアドバイスするか、民事の問題として、弁護士なりを紹介すればすむ話ではないでしょうか。それさえ大きなお世話という気がしますが。

 
>確かに、妊娠との因果関係は、厳密には問えないと思います。これは、
争っても不毛なものになると思います。<


現代の医学では、「因果関係が100%ある」とは言えなくても、「因果関係が100%ない」ことは言えるのではないでしょうか。