先日のカンファレンスでは、スペイン(遠い!)からオステオパシストのJuan Neito先生がお越しになりました。
といってもオステオパシーの講義をされたわけではありません。あくまでポールスター・ピラティスのカンファレンス、基本はムーブメントについての講義であり、先生自身も「わたしはムーブメントのインストラクター」であるとおっしゃっていました。Dav先生も「最近はあまり手技に頼らなくなった」とおっしゃっていたなあ。
人体をTensegrity modelとして考え、適度に緊張を保ったfasciaの中に骨が浮かんでいる構造(←わたしなりのざっくりな解釈です)を捉える中で、その理解を妨げる意外な伏兵が。それは日本語の誤訳です。
日本では「fascia」は「筋膜」と訳されることが多く、膜の中に骨が浮かぶ??と少々謎めいてしまっていたのですが、「fascia」=「身体の中のすべてのコラーゲンでできた結合軟組織」と訳す方が適しているようです。なるほどこれならその中に骨が浮かぶ様子がイメージできます。
「『筋膜』というのは誤訳ではないか」という件について質問してくださった医師の曾根崎桐子先生、経験をもって説明してくださった、ロルファーであり通訳を担当された池島良子先生に感謝です。
わたしのざっくりな解釈ですが、
・fascia=身体の中のすべてのコラーゲンでできた結合軟組織。
・その結合軟組織が内圧によって適度な緊張を保っていて、その中に骨や、圧力をかけられた「袋」が浮かんでいる。
(人体の構造の捉え方、Tensegrity model)
・myofascia=筋肉が入っている袋。連結して影響を与え合っている。
↑このように考えると、わたしは捉えやすかったです。
Juan Neito先生は「一般的な解剖学書はみんな嘘なんです。(個別の筋肉などについて)誰かが決めたからそうなってるんですね」とおっしゃってました。
確かにお肉はつながっているものなので、筋肉を個別に捉えることや、個々に名前をつけることは、どこかの時点で誰かが決めるからそうなるのでしょうね~。もちろんそれも必要なことでしょう。部分的に手術したり、ある部位を指す時に個別の名称は必要ですし、便利です。しかしそれにとらわれすぎて、それらが独立して動くように解釈してしまうと、ムーブメントの指導者やつながりを捉えて施術しなければいけない治療者にとっては妨げになることもあるでしょう。
アナトミー・トレイン(解剖列車)の考え方。東洋には「経路」があり、昔から「身体の道」を研究してきた東洋人にとって、そのこと自体はものすごく新しい感覚ではないのかもしれませんが、西洋の人にとっては「画期的!!」なアイデアとして迎えられている様子が伝わります。(わたしは東洋人ですが、経路について学んだことはなく詳細は知りません。でも、「経路」というものがあるという考え方は、一般に多くの人がどこかしらで見聞きしていると思います。「アナトミー・トレイン」と聞いて、経路を連想する人もきっと多いのではないかと思います。)
「お肉はつながっている」ことを見せるために、人体の解剖の様子をスライドで見せてくださいました。「あーほんとにお肉だな~。つながっているのう」と思いました。実際の身体の中では、筋肉はぶちぶちと切れて個別に存在しているのではなく(もちろん解剖学書のように個々の筋肉が色分けされているわけもなく)、ながーい肉がつながってます。
その映像を見せてくださったJuan Neito先生と、映像中のご献体をされた方には本当に本当に感謝いたします。初めて人体の肉を見て、「あーお肉なんだなあ」とおもいました。失礼で申し訳ないのですが、普段スーパーで買ってくる牛肉なんかと、見た目は同じような感じ。そうかーわたしもお肉なんだなーと思いました。
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横浜のちいさなピラティススタジオ、メタモルフォーゼ。