「日日平安」

テーマ:
日日平安―青春時代小説 (時代小説文庫)/山本 周五郎
¥600
Amazon.co.jp

勝手に採点 ☆☆☆☆


初めて手に取る山本周五郎作品。


作者の名前だけは知っていたものの、本書の内容を全く
知らない者にとっては思い書けない珠玉の短編集に喜びを感じる。


最近の小説にはない人物に対する微妙で丁寧な心理描写が深い味
わいを呼ぶ。


短編だけに感想を書くのが難しいのが難点。


それでも、表題となっている「日日平安」は格別。


仕官を望む浪人が切腹のマネまでして引きとめた若者。

彼は藩の有力者の婿養子で、職にありつくにはもってこいの人物。


様々な知恵を絞り、策を労して彼の望みを適えてやり仕官も当然
といった状況で、なんと浪人は彼の前から姿を消そうとする。


この相反した行動と思考がユーモラスに描かれてる。


策士なのかお人よしなのか、浪人の機微が絶妙で
特にラストは思わずニンマリさせられる。

AD

「暗殺の年輪」

テーマ:
暗殺の年輪 (文春文庫 ふ 1-1)/藤沢 周平
¥500
Amazon.co.jp

勝手に採点 ☆☆☆


直木賞を受賞した表題をはじめとする中編集。


「刺客」のような痛快時代劇を期待していたが、内容は全体的に
暗鬱でとっつきにくい。


一番印象的だったのは「ただ一撃」
舅のために自害してしまった若い嫁がいたわしい。


逆につかみ所のなかったのが葛飾北斎が主人公の「溟い海」。
どうも藤沢作品は武士が主人公でないと躍動感が出ない。


ここでの北斎は若い才能を羨む卑しい人物として描かれ、
最後までその卑しさが取れない印象。


文学的な評価は高いのかもしれないが、娯楽作品として純粋に
楽しめないが残念。

AD
おれは非情勤 (集英社文庫)/東野 圭吾
¥500
Amazon.co.jp

勝手に採点 ☆☆☆


非常勤の教師として様々な小学校を渡り歩く主人公の若者が、
行く先々で出会う殺人事件を始めとする様々な難事件を解決
する痛快ミステリー。


児童向け雑誌に連載されていたライトミステリーを加筆修正し、
文庫用に新たに新調。


短期間しかいない赴任先でこうも人が死ぬところに出会う確率は、
天文学的な比率であるはずだが、彼は例外らしい。


ただ、殺人だけでなくいじめ問題や小学生が抱えるトラブルを
題材にして軽妙に仕上げるあたりはかなりの力量。


そのうえ、本格推理小説ばりのトリックを散りばめることで謎を
深め、読者の興味を引き付ける。


宮部作品の少年ものにも共通する味付け。


ちょっと頭が疲れたときにお奨めの一服の清涼剤。

AD
最愛/真保 裕一
¥1,575
Amazon.co.jp

勝手に採点 ☆☆☆


音信不通だった姉が危篤との連絡が警察から入る。


主人公である小児科医師の弟は、早速姉の元へと駆けつけるが、
彼女はある事件に巻き込まれていた!


真相を知るべく姉の知人を訪ねていくうちに次第に明らかになる
驚愕の真実とは!?


全体的に話が暗い。


いつもは元気いっぱいのアクションものを得意とする筆者が、
東野圭吾張りの愛憎劇を書いて失敗した感じ。


特にラストの必然性が全く理解できない。


それでも不幸な再会から、愛する姉の暮らしぶりを調べ、彼女の
生き様を詳らかにしていく過程は、緻密に計算されている印象。


以外と簡単に核心に迫るあたりは物足りないものの、実際人の生
き様とはそんなものかもしれない。


姉と弟の隠された秘密は後半明らかになるが、二人の関係がイマ
イチすっきりしないのはなぜか。


弟の人物描写に躍動感、リアリティが欠けているためか。

空飛ぶタイヤ/池井戸 潤
¥1,995
Amazon.co.jp

勝手に採点 ☆☆☆☆☆☆!


トラックの脱輪事故で若い母親の尊い命が奪われる。


事故を起こした運送会社の社長は、当初自社の整備不良を疑うが、
整備担当者の仕事振りを目の当たりし、製造元である財閥系自動車
メーカーの欠陥を確信し孤独な戦いを始める。


実際に起った三菱ふそうの事件を下敷きにしている。


被害者家族、メーカー関係者、取引銀行、警察、週刊誌記者たちが
複雑に絡み合い、事件は迷走するが・・・。


大企業VS中小企業という分かりやすい構図に、中年社長の苦悩、奮闘、
家族の協力などがブレンドされ、とても感情移入がしやすい。


関係者が多く登場するも、それぞれの役割分担が明確なため、それほど
混乱することなく読み進めることが出来る。


中盤、スクープが発表されて事態が好転すると思い気や不発に終わり
ますます事態が悪化して行くあたりは思わずガンバレと応援したい気持ちに。


終盤にかけて支援銀行が登場し、強制捜査が入るなど胸のすく納得の
展開に。被害者の夫までもが謝罪に訪れるなど、ひとつ残らず社長に有利
な展開となるがそれもご愛嬌。


また、PTA会長である彼が悪の権化のような母親から突き上げを食うあたり
も絶妙なスパイス。


絶体絶命をピンチを幾度となく切り抜け、従業員と家族を守り通した社長
に拍手喝さい!

「Kの日々」

テーマ:
Kの日々/大沢 在昌
¥1,785
Amazon.co.jp

勝手に採点 ☆☆


元刑事の探偵がヤクザから足を洗った二人組からある依頼
を受ける。依頼の内容は彼らが強奪し、仲間が隠したはず
の大金の在り処を探し出すこと。


早速彼は事情を知っていると思われるKという女性にコン
タクトし、金の隠し場所を探し始めるが・・・。


この探偵、口が軽すぎる。依頼人の秘密をバンバンしゃべり
まくる。挙句の果てには、Kに惚れて依頼人を裏切る気満々。


スジが通っていないので、どうしても好きになれないし、
感情移入も難しい。


さらにKという頭の悪い女性もいただけない。


普通、見ず知らずの男性には警戒を抱くはずの若い女性が、
探偵の嘘にホイホイと簡単に乗っかってしまう。


金をもてあましたオバサンじゃないんだから。


ストーリーの強引さに取って付けたような薄っぺらい登場人物。
リアリティが完全に欠如した駄作。

隣の子どもはどうやって東大に行ったのか──東大生親子1000人に聞いた子育て術/講談社
¥1,365
Amazon.co.jp

勝手に採点 ☆☆☆


東大生約1,000人にインタビューを行い、彼らがどのような
幼少期を過ごしたかを徹底取材。


そこで浮かびあがってきた日常生活とは!?


書いてあることはとっても正論でもしかしたらウチノの子で
も東大にいけるのではと思わせる内容。曰く、


・朝ご飯は和食をしっかり食べる
・家族内のコミュニケーションを大切にする
・勉強の押し付けはしない
・小学校受験組はたったの10%
・父親と夕食を食べる家庭が多い
・タイミング良く具体的にほめる


などなど。要は東大の試験では、真の知性を試されるので、
小さいころからの詰め込み、ガリベンだけではモチベーション
が続かない。


そこで、小さいころから頭脳を使わせる訓練を地道に続ける
ことで東大脳を作ろうということ。


それを育てる基本となるのは、家庭内でのコミュニケーション
だそう。子供との会話を通じて問題を把握、解決する能力や
プレゼンテーション能力を培ってあげることが大切。


悪いことをしても頭ごなしに叱り付けるのではなく、「なぜ」
と問いかけを多くすることでよーく子供に考えさせなければならない。


東大は子はもちろん親も立派じゃないと合格は難しい。


かみさんも読んだ翌日。


朝は時間がないからと、いつもパン食の子供の朝食は見事納豆と
ご飯に味噌汁。これでわが子も東大合格間違いなし!?