「背の眼」

テーマ:
背の眼 下 (3) (幻冬舎文庫 み 11-2)/道尾 秀介
¥680
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勝手に採点 ☆☆


福島のとある片田舎で発生した児童猟奇殺人
とその後続発した児童連続行方不明事件。


そんな事実をまったく知らないホラー作家の
道尾氏が、わずかな休暇を楽しむために滞留
したこの地で、この世のものでない恐怖を感じる。


心霊研究で著名な大学時代の友人に協力を依頼し、

事件の真相を探っていくが・・・。


これはミステリーとしては全くの禁じ手。
なので正確にいうと猟奇ホラー作品。


殺人が死者の怨霊の憑依によって行われたことや
被害者が心霊写真に写ることで助けを求めるなど
この種の作品としてはありえない荒唐無稽な設定。


さらに、郷土史や風俗、心霊に関する無駄な説明
が長すぎるせいで、全体にスピード感が欠け、冗
長な印象が拭えない。


また、こんな大事件にあって、状況から見て有力
参考人であるべき犯人に対して、警察が全くのノー
マークであることもあり得ない設定のひとつ。


今では秀作を送り続ける道尾氏の初期作品として、
その成長度合いを見極めたい方には一読の価値あり!?

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片目の猿

テーマ:
片眼の猿 One‐eyed monkeys/道尾 秀介
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆


耳に特徴を持つ探偵の主人公が、企業スパイ事件
の調査を引受け巻き込まれる事件。


道尾作品特有の設定がひっくり返るだましうちは
押さえ気味。


スピーディーな展開に引き込まれるものの、全体
としては意外性に乏しく、あっけなく開放されて
しまうあたりは物足りない。


いくら昔馴染みとはいえ、敵役に冷酷さが足りず、
殺人事件の真相もかなり粗雑で説得力に欠ける。


それでもまた読んで見たいという独特な魅力は顕在
なので次回作に期待。

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ベーコン/井上 荒野
¥1,470
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勝手に採点 ☆☆


若手女流作家による短編集。


だから何なのよ?と突っ込みたくなる話ばかり。


女性的な視点で食べ物にまつわる話をまとめた、
いかにも芥川賞候補に上りそうな作品。


でもどうやら直木賞候補だったらしい。


こんな作品ばかり作っているようでは、いつまでたって
も女性作家の地位向上、実力の認識にはつながらない。


ごく平凡な日常の風景をただダラダラと描くだけの若手
女性作家には最近落胆されられるケースが多い。

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空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)/北村 薫
¥714
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勝手に採点 ☆☆


文学好きの女子大生と人気落語家がコンビを
組んで、彼らの近辺で巻き起こる日常の些細
な謎や疑問を明快な論理で解決に導く軽妙なミステリ。


文章自体が難解なうえに女子大生が主人公と
読む意欲を削ぐのに十分な条件。


それほど難しくない内容なはずなのに、書い
てあることがあっちこっちと飛んでいって、
比喩も多いことで読解力を試される。


さらに全く興味のでない落語までもが謎解きの
重要な要となるので、男性にとっては逃げ出し
たくなること請け合い。


かといって、事件自体は全くたいしたことのない
もので、刑事事件でもない。


若い女性達が喫茶店で大量の角砂糖を飲み物に入
れている事件や夜の公園に赤頭巾を被った少女が
現れるといった類。


それをここまで引っ張られること自体が苦痛。
このシリーズは二度と手に取ることはない。

制服捜査/佐々木 譲
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆


北海道の片田舎に駐在として単身赴任した主人公。


彼がその地区で頻発する放火や窃盗といった事件の裏
に潜む真実を見逃さず、隠され続けていたタブーへ挑
戦する。


交通事故を起こした悪餓鬼をあの世へ送るあたりは
お前、必殺仕事人かと思ったが、以降の話は自ら手を
下すことはない。


主人公である警官が血の通った躍動感のある存在と
して描かれておらず、むしろ淡々と仕事を処理して
いくので感情移入も難しい。


謎解きで攻めるのか、物語のリアリティーで攻めるのか、
男の生き様で攻めるのか、イマイチ焦点がぼやけてしま
っているところが残念。


テーマをより突き詰めた人間ドラマを期待したい。

独白するユニバーサル横メルカトル/平山 夢明
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆


あまりに残虐でスプラッター色が強すぎて、生理的に
拒否反応を示す、とても万人にはお勧めできない作品。


作者は腐乱死体や肉体的・精神的拷問、人間の内臓と
いったものにいたく興味をそそられるらしい。


陰鬱な雰囲気が乙一にも通じるところはあるが、彼の
ファンタジー性を一切排除して、残虐性を前面に押し
出した感じといえばイメージが掴めるだろうか。


小説自体の創造性や発想・着想にはかなり優れた部分が
あると感じたので、ぜひこうした血なまぐさい題材から
離れた世界で正攻法で新作に取り組んでほしいところ。

ジェネラル・ルージュの凱旋/海堂 尊
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆☆☆


愚痴外来・田口医師シリーズ第三弾。


前作ナイチゲールの沈黙と同時進行していた別の事件に
スポットを当てた意欲作。


今回の主人公は、抜群の医療技術と迅速・的確な判断で
急患を引き受け、能力に劣らず強引な性格からジェネラル
と畏怖されている速見救急部長。


リスクマネジメント委員長を務める田口へ速見が業者と癒
着して裏金を作っているという投書が来る。


早速、高階病院長の許可を受け、調査に乗り出すが・・・。


展開のスピード感と設定のリアルさ、個性溢れる登場人物
が相まって、優れたオリジナリティーを発揮している。


人をむやみに殺さなくとも、優れたミステリーは成立する
良い見本。


三作目ともなるとマンネリ化が進み、新鮮さがなくなっていく
ものだが、ぜひとも次回作が待たれる良作となっている。

勝手に採点 ☆☆☆


武士や町人などの生き様を丁寧な筆致と地道な
描写で描く時代人情短編集。


印象に残ったのは「討九郎馳走」と「主計は忙しい」。


どちらも武士が主人公だが、対象的な二人。


前者では江戸初期で戦国時代の荒々しさ、生き様を
強く残した勇ましい部下が、殿様の企図した通りの
活躍を見せる物語。


一方、後者はユーモア溢れる一編。


忙しさに翻弄され、妹の婚礼や自身の結婚話までも
忘れてしまう主人公が、最後はしっかり仕事をやり
遂げる。


こうした輩は仕事が出来ないものだが、彼は別、。


粗忽を装っているものの、やることはしっかりやり、
いざというときは流血も辞さない男らしい心意気。


本当の武家社会に思いを馳せて、いろいろ想像した
くなる一編。

「町長選挙」

テーマ:
町長選挙/奥田 英朗
¥1,300
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勝手に採点 ☆☆☆


巨人軍オーナーのナベツネやホリエモン、女優の黒木瞳
をモチーフに強烈なブラックユーモアで彼らを生活ぶり
を描く有名人編と東京の過疎の村を舞台に繰り広げられ
る強烈な買収選挙を描く短編集。


すべての作品に登場するのはトンデモ精神科医伊良部と
美貌の看護婦の変態コンビ。


「空中ブランコ」や「インザプール」など、奥田作品に
はおなじみの二人だが、今回もやってくれてます。


ぶっとい注射を打つ注射マニアに吸い寄せられるように
群がる患者達。彼の持つ独特なオーラが患者を引き付ける。


有名人編は対象者がすぐに限定されてしまうので、マスコ
ミを通じた彼らのパーソナリティに引っ張られ、それほど
意外性、創造性に欠ける。要は妙に納得してしまう展開に。


一方、題名にもなっている町長選挙はドタバタコメディー。


ここまで突っ走しられると細かい不整合や現実感のなさは
どうでも良くなる。


少々物足りないのはラスト。尻切れトンボの感。

彼岸の奴隷 (角川文庫)/小川 勝己
¥820
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勝手に採点 ☆☆☆


究極のグロ・エロ・バイオレンス小説。


警視庁捜査一課の蒲生とタフな所轄刑事の和泉が、
首と手首を切断されて殺害された老女殺害犯を追う。


主人公の二人は完全に変態。


蒲生は、ガンマニアで人間を射撃することに快感を覚え、
和泉はなんと強姦魔であるうえに暴力団と癒着し、様々
な悪事に手を染めている。


そんな二人がコンビを組んで、事件を解決するどころか
引っ掻き回して、上げ句にヤクザを殺しまくる展開。

とても一般人向けではない。


その他の登場人物も狂っている奴らばかりで、何をしで
かすか分からない。


そういった意味では先が読めないスリリングな展開。


しかし、ラストはいただけない。
それだけ殺してお咎めなしとは・・・。