空飛ぶタイヤ/池井戸 潤
¥1,995
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勝手に採点 ☆☆☆☆☆☆!


トラックの脱輪事故で若い母親の尊い命が奪われる。


事故を起こした運送会社の社長は、当初自社の整備不良を疑うが、
整備担当者の仕事振りを目の当たりし、製造元である財閥系自動車
メーカーの欠陥を確信し孤独な戦いを始める。


実際に起った三菱ふそうの事件を下敷きにしている。


被害者家族、メーカー関係者、取引銀行、警察、週刊誌記者たちが
複雑に絡み合い、事件は迷走するが・・・。


大企業VS中小企業という分かりやすい構図に、中年社長の苦悩、奮闘、
家族の協力などがブレンドされ、とても感情移入がしやすい。


関係者が多く登場するも、それぞれの役割分担が明確なため、それほど
混乱することなく読み進めることが出来る。


中盤、スクープが発表されて事態が好転すると思い気や不発に終わり
ますます事態が悪化して行くあたりは思わずガンバレと応援したい気持ちに。


終盤にかけて支援銀行が登場し、強制捜査が入るなど胸のすく納得の
展開に。被害者の夫までもが謝罪に訪れるなど、ひとつ残らず社長に有利
な展開となるがそれもご愛嬌。


また、PTA会長である彼が悪の権化のような母親から突き上げを食うあたり
も絶妙なスパイス。


絶体絶命をピンチを幾度となく切り抜け、従業員と家族を守り通した社長
に拍手喝さい!