【ゲーム無駄知識】ゲーム音源・後編
▼店長の自称大人気コーナー▼
私のコーナー「ゲーム無駄知識」。 今回は、前回の続き。”ゲームの内蔵音源”についての後編です。 |
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前編(リンク) では、ファミコンとメガドライブの音源についていろいろ話したんだよね。 | |
はい。 そして、今回はスーパーファミコンとプレイステーションの音源について解説したいと思います。 |
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メガドライブは、たしかFM音源っていうのを使ってたのよね。 | |
はい。 良く覚えていましたね。 しかし、その音源はメガドライブ以降。ほとんどのゲームで使用されなくなります。 |
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え!! そうなの!? だって、色んな音が再現できるようになったんでしょ? |
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はい。 ですが、その後開発されたPCM音源というものにとって代わられます。 |
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FM音源はメガドライブの後継機「セガサターン」にも搭載されていますが、チップが積まれているわけではなく、CPUで仮想的に再現しているだけなので、セガサターンのソフトでFM音源を使ったゲームはほとんどありません。 | |
こうしてFM音源の歴史は、花開いてあっという間に散っていくことになりますが、ここで養われたノウハウはゲーム音楽で違った形でプラスに働いているはずです。 | |
メガドライブに、カルト的な人気があるのは、こういったところにあるだね。 | |
そして、先ほども言いましたが、スーパーファミコンの時代になるとPCM音源というものが主流になってきます。 | |
PCM音源って何? | |
これは要するに音楽CDとおなじ作りです。 サンプリング・・・つまり事前に音を録音しておいたものを、組み合わせて一つの音階を作り出すんです。 |
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そりゃ、本物そのまんまの音が出るんだったら、FM音源に勝ち目はないね。 | |
はい。ですが、FM音源の方が容量が圧倒的に小さくて済みます。 PCM音源の場合は、音をサンプリングして、それを限られたメモリーに乗せなければなりません。 そうなると、徹底的にサンプリングしたデータを削ることになりますので、またそこで職人技が光るわけです。 |
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なるほど・・・ で、スーパーファミコンはPCM音源だったのね。 |
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はい。 S-DSPと呼ばれています。 そして、これはSCEの元会長・久多良木社長が作ったものなのです。 |
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えええ!!! だって・・・ライバル会社の社長じゃない! |
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それは、後々の話です。 この頃の久多良木さんはソニーのまだ開発部の部長。 彼は、自分で開発した内部音源のチップを任天堂に持ち込み、売りこんだんです。 |
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へぇ・・・ そんな歴史があったなんて、知らなかったよ・・・ で?どうなったの? |
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そのチップは想像を絶するほどのパワーを持った物でした。 PCM音源・・・つまりサンプリングした音楽が8チャンネル同時発音できるんです。 スーファミのライバルだったメガドライブは、FM音源で・・・しかも、最大でも6つ同時発音が限界です。 |
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た・・・たしかに数だけ見ても、全然違うね・・・ | |
もともと違うチップを搭載する任天堂でしたが、この技術にはびっくり。 巷では「もし任天堂が設計道理のチップを搭載していたならば、あのような任天堂のシェア独占の状態にはならなかった」といわれています。 |
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へぇ・・・そんなに可能性を秘めたチップだったんだね。 |
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はい。 しかし、どんな優れた商品でも欠点があります。 なんと、スーパーファミコンに搭載された音楽用のメモリーの容量は64KBしかなったんです。 |
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えええ!!少ない!! |
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・・・でも、これ今と比べたら小さいけど、昔にとっては結構大きな容量だったんじゃないの? | |
64KBの容量の中に納められるデータは、およそ5秒ですね。 | |
・・・やっぱり、少なすぎる・・・ | |
つまり、5秒間のサンプリングを使い回して、すべての音楽を表現しなくてはなりません。 もう、これは極限状態です。 サンプリングの長さを極限まで減らす努力を強いられます。0.1秒分を削るために職人が汗を流すんです。 |
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苦しいのはサンプリングを削ることだけはありません。 ROMカートリッジのデータをメモリーに移すのに時間がかかります。なので、そのラグを考えつつメモリーの中には必要最低限のサンプリングを常駐させる。 プログラマーも相当の努力必要でした。 |
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それは・・・知らなかったわ・・・ 私達が普通にプレイして、なんとなく耳にしてる音楽って、こんなに苦労して作り上げられたものだったなんて・・・ |
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しかしこんなじゃじゃ馬も、騎手によっては名馬になります。 スーファミの発売からわずか1か月。 エニックスから伝説のゲームが発売されます。「アクトレイザー」です。 |
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あ! それ聞いたことある。 アクションゲームとシミュレーションゲームが融合した、面白いゲームんだんたよね! |
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ゲームの面白さにも定評がありますが、なによりズバ抜けていたのが音楽です。 他のゲームとは段違い。サンプリングされた音色のリアリティはもちろんのこと、オーケストラを彷彿とさせる厚みのある美しい楽曲で、プレイヤーの度肝を抜きました。 |
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プレイヤーは数か月前までファミコンのピコピコ音で遊んでいた人たちですからね。驚きははかり知れません。 作曲は古代祐三さんで、彼の音源チップの特性を考慮した曲作りによって、スーファミの音源の視界がグッと広がりました。 |
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なるほどねぇ・・・ 古代さんのゲーム音楽への情熱と完成度はすごいもんね。 さすが古代さんとしか言いようがないよ・・・ |
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そして、時の流れはプレステ時代に突入します。 スーファミのとき、超高性能チップを任天堂に持ち込んだ久多良木さんが、こんどは自社のソニーで新型ゲーム機の開発の指揮をとることになります。 |
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もちろん音源チップは彼のノウハウを最大限発揮した物になり、事実上スーファミの音源チップの上位にあたるものはプレステで搭載されることになりました。 | |
なるほど! 同じ設計者だものね! |
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はい。 そして、プレステに搭載されることになった多良木さんの開発したチップ。今度は同時発音24チャンネルとなりました。 こうして時代はプレステ時代へと突入していくんです。 |
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既に、メディアの容量も大きくなり、ハードの性能も向上している中。もはや音源チップの性能や特性などには目が行きにくい時代になりました。 しかし、こういう時代があり、それに挑戦していったクリエーターがいたことは、今のゲーム業界を見る上で必要なことではないでしょうか。 |
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なるほど・・・ 昔のゲームクリエーターは、少しでもクオリティの高いゲームを作るために努力してたのね・・・ |
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今の元気のない日本のゲーム業界も、昔の事を少し思い出しながら、気持ち新たにクオリティの高いゲームを作ることに闘志を燃やすのもいいかもしれないね。 |