成年後見;居住用建物の処分;「居住の用に供する」の解釈~成年後見;居住用建物処分;家裁の許可~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
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Q 被後見人の不動産売却を考えています
  どのような状況であれば「居住の用」として家裁の許可が必要になるのでしょうか。


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A 毎日過ごしている,というのは当然として,
  「現在施設に入っているが,その前に住んでいた住居」まで含めて考えることも多いです。


【成年後見;居住用建物の処分;「居住の用に供する」の解釈】
Q被後見人の不動産売却を考えています
どのような状況であれば「居住の用」として家裁の許可が必要になるのでしょうか。

A毎日過ごしている,というのは当然として,「現在施設に入っているが,その前に住んでいた住居」まで含めて考えることも多いです。

処分時に裁判所の許可が必要な建物は,条文上,「居住の用に供する建物」という表現です(民法859条の3)。
この趣旨は被後見人の生活の本拠の保護,です。
当然転居が前提となるでしょうけど,「転居」自体が,一般的に大きな精神的負担となります。
そこで,本人以外(後見人)の判断だけで行う,ということにブレーキをかけているのです。
そうすると,この趣旨自体は,「毎日寝泊まりしている」という場合以外でも該当します。
実務上は「居住の用に供する建物」については,ある程度広めに解釈することが多いです(文献後掲)。
具体例について↓に示しておきます。

<居住用建物,の解釈の具体例>
※あくまでも原則的な例です。別の解釈となることも実際にあります。
1 「居住の用に供する」に該当する例
→被後見人が生活の本拠として現に居住の用に供している,または居住の用に供する可能性がある建物およびその敷地
・被後見人が現に居住する建物
・被後見人が将来居住する可能性のある不動産
 ・被後見人が近い将来,家を建てて住むつもりで購入した土地
 ・被後見人が近い将来,転居する予定で建築(購入)した建物で居住実績のない建物
・被後見人が施設・病院にいて帰る見込みが全く立たない自宅
 →帰る予定があるものも当然に含む
・過去に被後見人の生活の本拠であった不動産

2 「居住の用に供する」に該当しない例
→被後見人が生活の本拠として現に居住しておらず,かつ居住する可能性が全くない建物およびその敷地
・転居前の建物(現在居住している建物に転居する前に居住していた建物,施設に入所直前まで居住していた建物に転居する前に居住していた建物)
・第三者に賃貸中の共同住宅
・別荘
・農地
・山林

<参考情報>
片岡武他『家庭裁判所における成年後見・財産管理の実務』日本加除出版46~50頁


[民法]
(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
第八百五十九条の三  成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。


[基本法コンメンタール 第五版 親族 日本評論社 p262]
現在は居住していないが,過去において生活の本拠として居住の用に供していた不動産も場合によっては含まれる余地があることを認めるべきであろう。
たとえば,被後見人が永年にわたって居住していた住居を離れ,既に施設に入所している場合において,そのかつての住居を処分することは,被後見人の精神の状況に著しい悪影響をもたらすことがある。
本条の趣旨からすると,そうした場合も家庭裁判所の後見監督の対象というべきであろう。

[相談事例からみた成年後見の実務と手続 日本評論社 p150]
居住の有無は,本人の住民票の住所などの形式的な基準で判断されるのではなく,これまでの本人調書の生活実態に鑑みて実質的に判断されます。
現実にも,本人が,各種施設に入所したり,病院に長期入院するなどして,処分を検討する時点では住民票上の住所地に居住していないケースが多いのですが,安易に非居住用不動産と判断するのではなく,「現在本人は居住していないが過去に本人の生活の本拠として実態があった建物及びその敷地」と考えるのが,制度の趣旨に合致します。

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